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日本ユニセフ協会

プレスリリース

気候変動に関する日本を含む世界の子どもたちの声
半数以上が気候変動や環境破壊に不安
国連子どもの権利委員会が公表

2022年10月7日東京/ジュネーブ

国連子どもの権利委員会(以下、委員会)は、気候変動や環境問題への対策に関する「一般的意見26」策定のために、世界の子どもたちから集めた意見をとりまとめて公表しました。

委員会は2022年3月31日から6月30日まで、気候変動や環境問題に関して、世界中の子どもたちから意見を集めました。日本ユニセフ協会もこれに協力して、5月5日から6月26日にかけてYahoo!きっずの協力を得て「子どもパブコメ2022」(子どもパブコメ2022のサイトはこちらを実施し、集まった日本の子どもたちの回答を委員会に提出しました。ご意見をお寄せくださったみなさん、本当にありがとうございました。

今回子どもたちからの意見募集やそのとりまとめについては、様々な地域の、多様な背景や経験をもつ13人の子ども(10~17歳)で構成される「子ども諮問チーム」が重要な役割を担いました。子どもたちの意見は、委員会が本年11月に公開する予定の「一般的意見26」のドラフト作成に活用されます。その後、2023年2月までの間、ドラフトについての意見募集が行われる予定です。

【回答者内訳】
委員会の呼びかけに対し、日本を含む世界103カ国、7,416人の子ども・若者から意見が寄せられました。

 

子どもたちの声から明らかになったこと

今回公表された内容からは、以下のような世界の子どもたちの声が明らかになりました。日本の子どもたちの声も紹介されています。

・気候変動や環境破壊の影響が子どもたちの「日常」になっている

気候変動と環境破壊による自身の生活や地域社会への影響について、全体ではそれぞれ35%と42%の子どもたちが影響が「ある」と答えています。気候変動の影響について、サハラ以南のアフリカの子どもたちの64%が「ある」と答えたのに対し、東アジア・東南アジアではわずか15%でした。この結果について委員会は、これらの地域の子どもたちは、生まれた時から気候変動の影響を経験しているため、既にその変化が「日常」になってしまっている可能性があると、子ども諮問チームのメンバーのコメントと共に言及しています。

 

・子どもたちは気候変動や環境破壊に対して不安を感じている

88%の子どもたちが、気候変動や環境破壊が将来の子どもたちの世代を脅かしていると考えています。また、半数以上にあたる57%の子どもが、環境問題や気候変動について心配していると回答しています。

 

 

・環境や気候変動について学んでいない、影響を受けた時に支援を受けられないと考える子どもたちもいる

環境や気候変動について学校や地域で「学んでいない」と回答した子どもは、東アジア・東南アジアで27%と、その他の地域(約10%かそれ以下)より高くなりました。また、「環境破壊や気候変動によって子どもの権利が影響を受けた場合に、おとなの支援を受けることができると思う」と回答した子どもは世界全体で41%にとどまります。

・子どもたちは環境保護や気候変動についてあまり声を聞いてもらえないと感じている

「環境または気候変動に関するあなたの考えや意見を政治家などに伝えたことがあり、それで何かが変わったと思う」と答えたのは全体で29%でした。また、41%の子どもが「環境保護や気候変動について話そうとすると、無視したり、取り合ってくれない」と感じていると回答しています。意見を「聞いてほしい」という、日本の子どもの声も紹介されています。

「もっと対策をして、リスクがある子どもたちを救ってほしい。僕たちの意見をもっと聞いてほしい」(11歳男子、日本)

 

・環境保護や気候変動に関するわかりやすい情報がないと感じている子どもも多い

「環境を保護し、気候危機を防ぐために政府や企業が行っていることについて、十分でわかりやすい情報がある」と答えたのは全体で36%でした。「おとなを信用していない」と感じているケースとして、日本の子どもの声も紹介されています。

「正直変えたいと思っても、どこから始めれば良いのかわからない。 そして、今の状況がどうなのか大人達が正直に伝えていないと思う」(15歳女子、日本)

 

気候変動や環境問題に関する子どもたちからの主なメッセージ

「気候変動や環境対策の強化を求める立場にあるおとなたちに、届けたいメッセージはありますか?」という質問に対して、多くの子どもたちが挙げたのは、以下の点でした。

1. 清潔で健康的な環境で暮らしたい
2. 気候変動や環境問題の対策について、子どもの意見を聞いてほしい
3. 政府、企業、おとなたちには、大胆で緊急の行動をとってほしい
4. 世界の国々に協力してほしい
5. 意識啓発と教育を充実させてほしい
6. 気候変動や環境問題の解決策についてのアイディアを共有したい

 

1.清潔で健康的な環境で暮らしたい
・両親と川沿いを通るたびに、川がごみでふさがれ、汚れているのを見ますし、道もそうです。ごみのないきれいな川や道を見たいです。(13歳女子、インドネシア)
・公害を減らし子どもを守るために、家やコミュニティの近くの鉱山で化学物質を燃やすのはやめてほしい。とにかく、廃棄物を捨てるのはやめてほしい。(17歳男子、ザンビア)

 2.気候変動や環境問題の対策について、子どもの意見を聞いてほしい
・おとなだけでなく、私たち子どもも一緒になって行動することで、環境活動に変化を起こすことができると思います。(14歳男子、インド)
・私たち子どもは意見を聞かれるべきだし、環境を大切にし保護することを学ぶべきです。そのために、おとなが子どもに何を学んでほしいのか、実際におとなが行っていることを見なければなりません。なぜなら、私たちは見ることによって学ぶからです。もし悪いことばかり見ていれば、それを学ぶでしょう。私たちは未来ですが、未来は過去と現在があって初めて存在するのです。私たちが環境を壊してしまえば、私たちには未来はありません。(12歳女子、ブルンジ)

3.政府、企業、おとなたちには、大胆で緊急の行動をとってほしい
・まずおとなと政府にお願いしたいのは、地方に行って、何が起きているのかを見てくることです。水質汚染や大気汚染などの公害が主な原因となって起こる気候変動によって、病気になり、亡くなる人もいるのです。(16歳男子、南アフリカ)
・おとなたちへ。先延ばしにするのはやめて、私たちと一緒に変化を起こそう。「君たちは新しい世代だ、世界を変えていかなければならない」なんて言われたくありません。新しい世代だから世界を変えなければならないのではなく、「世界を私たちと一緒に変えていく」のです。おとなだけでなく、子どもたちの意識改革も急務です。それを子どもたちに伝え、興味を持たせることも必要です。政府は、(特に豊かな国では)このような行動に対しての決断を急ぐべきだと思います。(15歳女子、バングラデシュ 一部抜粋)

 4.世界の国々に協力してほしい
・地球温暖化などの問題は、地球規模の協力がなければ解決できないと思います。(11歳女子、中国)
・お金でどの国がより強いかを見るのをやめてください。すべての人に平等に目を向け、環境に対する意識を高め、配慮することを始めることです。(17歳男子、ブラジル)

 5.意識啓発と教育を充実させてほしい
・僕は、まだ小学生であまり環境問題についてあまり知ることがなく小、中、高校生をメインとして環境問題について考え、話し合う子供版の環境サミットを全国各地で行い環境問題に対し興味をもてるイベントなどを開催してほしいです。 もっと、僕たちが環境問題の情報を得やすくするために、環境問題専用のgoogleのようなサイトを作ってほしいです。 僕たちはいずれ大人になります。その時に環境問題と向き合うためにも今のうちから環境問題についてよく知っておくことが将来やくにたつと僕は考えています。 僕たちの将来のためにもユニセフ、国連などでいろいろ結果をHPなどで公開して頂けるとこのように考えているのだな、と分かり協力なども出来ると思います。よろしくお願いします。(12歳男子、日本)

・親愛なるおとなの皆さん、次世代に環境行動文化を伝え、環境災害時の対応について若い人たちに伝えてください。(14歳男子、ベラルーシ)

6.気候変動や環境問題の解決策についてのアイディアを共有したい
・環境を保護する方法はたくさんあります。より多くの木を植えたり、公害による深刻な被害についての認識を広めるキャンペーンに参加したり、エアコンや車、バイクの使用を減らしたりすることです。(13歳女子、インド)
・職場から遠いところに家があるおとなもいると思いますが、近いところに家がある人は、徒歩や自転車を始めて、気候や環境を「守って」ください。大したことないって思うかもしれないけど、きっと変わるから。まずはあなたから!今始められることはたくさんあります。例えば、レジ袋を使わない、ゴミはゴミ箱以外には捨てない、買うものは必要なものだけにする、など。リサイクルも大きな役割を果たします。もっとリサイクル/リデュースしてください。「自然の奥深くを見つめれば、すべてのことがもっとよくわかるようになる」。(13歳女子、コソボ)


※図表はすべて、委員会のレポートを基に日本ユニセフ協会作成

  • 国連子どもの権利委員会 気候変動に関する世界の子どもたちの声:掲載ページはこちら
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