西東京市立保谷小学校での実践記録
私たちの権利を大切にする学級目標づくり
4.学級目標を掲示しよう

いよいよ、各クラスの学級目標ができあがりました! これからの一年間、この学級目標をふりかえりながら、みんなの権利が大切にされる学級を目指して努力を重ねていきます。
また、保谷小学校の校長先生およびこの活動を実践くださった3クラスの担任の先生方からも、貴重なコメントをたくさんいただきました。学級目標と共にご紹介します。
※先生方の担当学年・役職は令和4年度当時のものです。

4th
grade

4年生

4年生は、5つの学級目標を考え、大きな樹で表現しました。みんなで選んだ9つの条文のカードも添えられています。大樹の周りには、身近な課題として短い期間で日々の達成を目指していく「行動目標」も、1年を通して貼られていきます。

4年生担任 濱先生

学級目標に「子どもの権利条約」というしっかりした根拠ができただけでなく、学級目標づくりの視点が広がったと感じます。たとえば、「教育を受ける権利」や「教育の目的」は、これまでの子どもたちの話し合いや学級目標づくりには出てきたことのない視点でした。
子どもたちの中に「自分の力を最大限に伸ばしていこう」という意識が生まれたのは大きな意義の一つです。学校生活のさまざまな場面で「自分の力を最大限に伸ばすためにがんばる」という言葉が、子どもたちから自然に出てくるようになりましたし、子どもたちの学びに対する意欲の向上つながっていると感じます。

表現の自由も大事な視点です。今までは発言者に偏りがあり、強い子の意見が通る傾向がありましたが、「子どもの権利条約」の学びを通して、意見を活発に言う子から「ほかの子の意見も聞いてみよう」という提案が出てきたりしています。また、道徳の授業でも「子どもの権利条約」の話が出たり、表現の自由についての意見が出たり、他の教科も「子どもの権利条約」の学びと繋がっていくように感じます。

第2条の「差別の禁止」の学びもよい効果を生んでいます。これまでは配慮が必要な児童にはきつく注意していた他の子どもたちも、「子どもの権利条約」の学びを通して、それぞれの人の個性や思いを理解し、違いを受け入れ、温かく見守れるようになってきました。
ぜひ今後もこの取り組みを続けていきたいと考えています。

5th
grade

5年生

5年生は「ちがいをみとめ合える仲の良いクラス」という大きな目標の下に、いくつかの行動目標を作りました。中心の大きな風船にはみんなで選んだ条文が書かれています。クラスみんなの写真も添えられました。

5年生担任 高橋先生

「子どもの権利条約」についての学びを通して、子どもたちは条文の文面を理解するだけでなく、日々の生活の中でもさまざまな気づきが大きく広がっていると感じます。まず、権利を尊重するという視点から、子どもたちの中で良いことと悪いことの違いが明確になりました。また、今までよりも自信をもって発言し行動できることが増えてきたように思います。

子どもたちからも、「子どもの権利の学習をしてクラスがよくなったと思う。笑顔があふれて、みんなが仲良くしているから」、「自分だけでなく、友達ももっている権利を大切にすることを意識しながら生活できるようになった」、「人のことを考えて行動できるようになったし、困っている人に手を差し伸べられるようになったと思う」という声などが聞こえてきました。

特に、差別の禁止や違いを認める意識が子どもたちの中に育まれてきたと感じます。たとえば、感情のコントロールが難しく暴言を吐いてしまう児童に対して、その子を一方的に責めるのではなく、他の児童たちが、その子のためにどんなことができるか、どう助けてあげられるかを、自然に考えられるようになりました。

また、「権利を知ったから道徳の授業でもより深く考えられるようになった」、「この条約が世界のもっとたくさんの人に伝わって、もっとたくさんの人が救われるといいなと思った」など、他の教科やSDGs学習でも子どもの権利につなげて考えるなど、子どもたちがより広い視点で社会を見ることができるようになってきました。

この活動は今後も続けていきたいと思います。来年度あらためて守られている権利と守られていない権利を考えるときには、同じクラスでもまた違うものが出てくるかもしれません。さらい新しい学びがあることを期待しています。

6th
grade

6年生

6年生は、先生の名前の4文字を使い、語呂合わせで学級目標を考えました。みんなで知恵を絞って考えた、「子どもの権利条約」に基づいた4つの目標。小学校最後の一年、これらの目標の達成を目指しながら、一日一日を大切に過ごしていきます。

6年生担任 板木先生

自分自身も子どもたちと一緒に「子どもの権利条約」について学べたことに、とても大きな意義があったと感じています。また、子どもたちにとっても、初めて「子どもの権利条約」に触れ自分たちにも権利があることを知る中で、「こんなことも守られているんだ」、「自分たちは守られているけれど、世界には守られていない子どもがたくさんいるよね」など、たくさんの気づきがありました。自分自身やクラスの枠を越えて、自分たちと世界の違いにも目を向けるなど、SDGs学習に繋がる学びにもなりました。

「子どもの権利条約」を生かした学級目標づくりは新しい試みでしたが、今まで漠然としたイメージで作られていた学級目標に、世界的にも守られなければいけない「子どもの権利条約」という基盤ができたことにより、説得力が増し、目標を達成する意義もはっきりしました。学級目標をもとに、日々の行動目標を子どもたちと共に考えながらつくっていますが、子どもたちも以前より「学級目標」に対する意識が高まり、学級目標や行動目標に照らして自分の行動を振り返る姿勢が増したと感じます。

また、この一年を通して、子どもたちの中にお互いの個性を認め合い、それぞれの違いを強みとして、プラスに生かしていくという意識が育まれたのは、大きな成果と感じています。卒業の際には、児童からも「違いを認め合うことを大切に、そして自分自身の個性を生かして、これからの中学校生活も頑張っていきます」という声を聞くことができました。

この活動全般を通じて、子どもたちのいつも以上に主体的に活発に頑張る姿が見られましたし、「子どもの権利条約」の学びは、今後の自分自身の教育活動の軸となっていくことと思います。

校長先生より

校長 野崎 信行先生

これまでの学級目標は、たとえば「こんなことは楽しかった」「こういうことは嫌だった」という子どもたちの経験則や、「こうあるべきだと思う」という個々の考え、また時には周りの目を意識して考えられたものでしたが、今回の取り組みでは、「子どもの権利条約」を拠り所として、自分の経験と関係づけながら学級目標を考えられたことが、とても意義深いと感じています。学級目標が「子どもの権利条約」に裏付けされたしっかりしたものになりました。今後の学校生活の中でも学級目標に立ち返ることが多くなるのではないかと思います。

保谷小学校では、学級目標の下に日々の行動目標を設定することを推奨していますが、行動目標にもより現実味が出てくると思います。行動目標も「子どもの権利条約」を拠り所としたより明確なものになり、子どもたちの行動にもつなげやすくなっていくと感じます。

この取り組みを通して、子どもたちが自らの権利について考えたという意義は大きいと感じます。「子どもの権利条約」について学ぶ機会を通して、自分が権利で守られているということ、そして周りの子も同じ権利をもっていることなどを知ることは、問題解決力、人間関係形成力、実践力の向上につながります。児童の成長を考える上でも大切な視点だと感じます。