日々、教育に携わっていらっしゃるみなさま。子どもたちの権利について定めた「子どもの権利条約」について、どのくらいご存知でしょうか。また、「子どもの権利」という言葉を聞いて、どのようなことを思い浮かべるでしょうか。

「子どもの権利条約」は、1989年の第44回国連総会において採択されました。ユニセフは、この「子どもの権利条約」を活動の基盤としており、子どもの権利をあらゆる面で実現していくことが、その使命となっています。日本も1994年にこの条約を批准しました。日本の子どもたちにとっても、とても重要な条約です。

ユニセフは、世界各国で「Child Rights Education (CRE): 子どもの権利を大切にする教育」を推進しています。子どももおとなも子どもの権利を理解し、その権利が実現される環境や学びをともにつくること。また、その過程で子どもたちが人権とは何かを理解し、人権尊重の態度を養うこと。そうした取り組みを通して、おとなも子どももお互いを尊重しあえる、そして、すべての子どもたちの権利が守られる、学校・園づくりを目指します。

日本の子どもたちの抱える問題としてよく取り上げられる、いじめや差別、自己肯定感の低さや無力感なども、子どもの権利に深く関わる問題です。子どもの権利について理解を深め、「子どもの権利条約」に謳われている精神を浸透させていくことが、教育現場での子どもたちを取り巻くさまざまな課題の解決にもつながり、そして子どももおとなも生き生きと安心して過ごすことのできる環境がつくられていきます。

このサイトでは、「子どもの権利条約」に定められた子どもの権利を理解し、教育現場で具現化する上での大切なポイントについてお知らせするとともに、子どもの権利をよりよい学校・園づくりのためにどのように生かすことができるか、実践のヒントや実践例を交えて紹介しています。ぜひ、みなさまの学校・園で活用してみてください!

子どもの権利の推進が
もたらす効果

学校・園をはじめ教育におけるさまざまな場において、
子どもの権利を推進することにより、多くの良い効果を生むことが期待できます。

はじまりは
「子どもの権利」について学ぶこと

子どもたちが生まれながらにもっている自らの権利について学ぶことにより、自分自身の尊厳や価値に気づくことができます。そして、自分だけでなく、他の子どもたちにも同じ権利があることを知ります。人権の学びを深めるなかで、先生方や保護者など、おとなも人権をもった存在であることにも気づき、互いに他者の権利を尊重しあうことを学んでいきます。

信頼関係の構築が可能に

みなに基本的な権利があることを知ることにより、子どもたちの中にそれぞれの違いや多様性を認める意識が育ち、次第に差別やいじめなどが減っていきます。また、子どもたちと共に先生たちも子どもの権利について学ぶことは、先生と児童生徒の信頼関係の構築につながり、子どもたちが学校・園でより安心して生活できるようになっていきます。

あらゆる場面で
子どもの声が聞かれる環境を

「子どもの権利条約」の4つの原則の一つに「子どもの意見の尊重」がありますが、学校・園でも子どもの意見に耳を傾けることが鍵となります。日々の生活において自分の意見が受けとめられることにより、子どもたちは自分が大切にされていると感じ、毎日を前向きに過ごすことができるようになります。このことは、子どもたちの学校・園への帰属意識と学校満足度を高め、学習意欲の向上と学業における成果にもつながります。

自らの権利を享受し、社会を変える力に

子どもの権利について学び、権利が尊重された環境で過ごすことは、子どもたちの成長に大切な自己肯定感を高めます。自らの権利を享受できる子どもたちは自己有用感を育み、他者の権利にも目を向け社会をよりよく変えていくための力を養っていきます。持続可能な社会の担い手として、主体的に行動できる市民としての成長にもつながります。

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