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日本ユニセフ協会
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東日本大震災10年
「あの日から10年~支援現場の記憶」(3)
竹友有二さんのメッセージ

【2021年3月4日  東京発】

「あの日」から10年。

当時、ユニセフとして“半世紀ぶり”の日本国内での支援の最前線で活動したユニセフ専門家から、当時被災された方々、そして、力強いご支援をくださったみなさまに、メッセージが届きました。

今回は、世界各国のユニセフ現地事務所で、支援活動に必要な様々な物資やサービスの調達、物流に関わる仕事をされている竹友有二さんのメッセージです。


 

2011年4月10日、盛岡から大船渡へ向かう竹友専門官

© 日本ユニセフ協会/2011/R.Grehan

2011年4月10日、盛岡から大船渡へ向かう竹友専門官

 

「東日本大震災の際は、当時勤務していたアフガニスタン事務所代表からの後押しを受け、私の生まれ故郷でもある釜石のある岩手県を中心に、支援物資の調達や物流ルートの確保、そして、学校や保育園・幼稚園の瓦礫撤去・清掃や子どもたちの外遊び企画などを手伝ってくださった地元の学生ボランティアのみなさんの調整業務などに携わりました。

 

あのような状況の中にあっても、子どもたちは、例えば、全国のみなさんからお寄せいただいた絵本や児童書を避難所の体育館に持っていくと「この本読みたかったんだー!」と言ってくれたり、一緒に身体を動かす遊びをしたりして、こちらがかえって励まされました。保護者の方々も「ユニセフからの文房具を受け取りました」との声をかけてくださったり。部活動などをされているお子さんたちが、スポーツを続けていくためにどうすればいいかなどを一生懸命に考えておられる方々もいらっしゃいました*。

 

一方で、やるせない思いからか、ひたすらに攻撃的になっていた子どももいました。福島では、「ストレスのはけ口が全くありません」とおっしゃっていたお母さまもいらっしゃいました。多くの人が、様々な形で心身に傷を負い、そうした方々を前に、本当にどうしていいのかわからなくなる場面も少なくありませんでした。

 

そうした苦しみが、今日も続いている方々がまだいらっしゃるということは、否めないところだと思います。直接の被害にはあってない私でさえ、被災地から戻ってからは、暫く気持ちが暗たんとしていました。
東北での活動の後、南スーダンの虐殺現場での仕事にかかわったり、内戦が続くイエメンの絶望的な状態の中で勤務したり、亡き母の介護のために少しお休みをいただいたり。そして、10年を経た今は、コロナ禍のイラクで勤務しています。スタッフの中には、新型コロナウイルスで家族を失った者もいます。

 

ユニセフは、今年中に20億回分の新型コロナウイルスワクチンを自力で調達できない国々の医療従事者などに届けるため、総力を挙げて取り組んでいます。その実現のため、私も、イラク国内で、必要な注射器などの資材の確保や、遅滞なくワクチンが輸入できるよう通関当局との調整などの仕事に、微力ながら全力を尽くしているところです。

 

「命ある限り、きっといつかはいいことがある」と信じています。そして、日常においてはユーモアを大切にしながら、小さな喜びを見出すようにしています。実は、日本ユニセフ協会からメッセージを求められた時、私は、たまたま日本に一時帰国をしておりました。道を歩いていて咲き始めた梅の香りを感じた時、嬉しくて、犬のようにクンクンと嗅いでまわった自分に気が付き、思わず笑ってしまいました。

 

末筆ながら、日頃から、募金や共感などを通じてユニセフを支えて下さっている多くの方々に感謝を表すことで、この拙い文章を終わらせていただきます。

竹友有二(たけとも ゆうじ)

ユニセフ・イラク事務所

物資調達担当官

*日本ユニセフ協会注:こうしたお声を受け、この年の夏、被災地の子どもたちの様々なスポーツ大会への参加をサポートしました

大船渡に到着し、「子どもにやさしい空間」準備のためスタッフと打合せ中の竹友専門官(写真中央)

© 日本ユニセフ協会/2011/R.Grehan

大船渡に到着し、「子どもにやさしい空間」準備のためスタッフと打合せ中の竹友専門官(写真中央)

日本ユニセフ協会公式ホームページでは、3月1日から3月11日にかけて、ユニセフ東日本大震災緊急・復興支援に携わったユニセフ日本人職員等からのメッセージを順次紹介しています。

メッセージ一覧
「あの日から10年~支援現場の記憶」(1) 國井修さんのメッセージ

「あの日から10年~支援現場の記憶」(2) 井本直歩子さんのメッセージ

「あの日から10年~支援現場の記憶」(3) 竹友有二さんのメッセージ

「あの日から10年~支援現場の記憶」(4) 武居利恵さんのメッセージ

「あの日から10年~支援現場の記憶」(5) 近藤智春さんのメッセージ

「あの日から10年~支援現場の記憶」(6) 加藤正寛さんのメッセージ

「あの日から10年~支援現場の記憶」(7) 水野谷優さんのメッセージ

「あの日から10年~支援現場の記憶」(8) 安田直史さんのメッセージ


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