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日本ユニセフ協会
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東日本大震災10年
「あの日から10年~支援現場の記憶」(7)
水野谷優さんのメッセージ

【2021年3月9日  東京発】

「あの日」から10年。

当時、ユニセフとして“半世紀ぶり”の日本国内での支援活動の最前線に立たれた方々から、当時被災された方々、そして、力強いご支援をくださったみなさまに、メッセージが届きました。

今回は、現在、ユニセフ本部(ニューヨーク)で、主に教育分野の統計とモニタリング(事業評価)に関わる仕事をされている水野谷優さんのメッセージです。

福島県ユニセフ協会の菅田俊雄事務局長(当時・写真左)と、県内の保育園を訪問中の水野谷さん(2011年4月11日撮影)

© 日本ユニセフ協会/2011

福島県ユニセフ協会の菅田俊雄事務局長(当時・写真左)と、県内の保育園を訪問中の水野谷さん(2011年4月11日撮影)

 

当時、ユニセフ・ケニア事務所の教育部長をしておりました水野谷優です。

震災当日は、ケニアにおりました。福島の実家が被災し、生後4か月の息子と妻が日本におりましたので、日本に一時帰国して家族と合流した後、岩手と福島の緊急支援活動に参加しました。

 

岩手入りをしたのは3月下旬。陸前高田は最大級の津波被害を受けた町でしたし、大槌町も、津波後の火災で黒く焦げた建物やがれきが散乱していました。

 

日本ユニセフ協会は、当時「バックトゥースクール」と言うオペレーョンを行い、岩手県では、被災した子どもたちが通っていた全ての学校の全生徒1万6千人に、文房具セットを配布しました。心理的なサポートとしては、子どもたちに関わるおとなを支えることが、より多くの子どもを支えることに繋がるという考え方から、学校や幼稚園の先生を対象とした「心のケア研修」を行いました。

 

また、より多くの幼稚園や保育所が一日でもその活動を再開できるよう、必要な物資を、それこそ子ども用スプーンセットの様な小物から提供し、最終的にはプレハブの仮設園舎の建設まで行いました(日本ユニセフ協会注:宮城県内では、地元の方々のご要望を受け、プレハブの建物ではなく、恒久的に使用できる建物の建設支援を行いました)。

 

これらの復興支援活動は、本当に様々な人に支えられて行われました。
「バックトゥースクール」では、ユニセフのボランティアの方々が、(各学校で)配布しやすいように鉛筆や消しゴムなどの文房具セットを一つ一つパッキングしてくださったり、当時物流が滞っている状態でしたが、生協の方々や民間物流会社の方々に支えられて被災地に必要物資をいち早く届ける事ができました。自衛隊の方々には炊き出しから避難所の情報共有など大変お世話になりました。

 

そして何よりも、被災された方々が、ご自分の家族の安否も分からない状態で、コンテナハウスの仮庁舎で復興の陣頭指揮を執られていたり、保育園では、一日でも早く普通の日常に子どもを戻してあげようと先生方が頑張っておられました。そうした被災地で頑張っていらっしゃる方々を見て、本当に頭の下がる思いで、私たちももっと何かできるのではないかと思ったことを覚えています。

私は震災直後の一時期だけ岩手県と福島県での支援活動に関わらせてもらいましたが、その後10年に渡ってずっと復興に尽力されてきた方々、またユニセフを支援してくださった方々に改めてお礼を申し上げたく存じます。
東日本大震災から10年が過ぎまして、少なからず復興が進んできたかとは思いますが、世界的には様々な国で、災害・紛争、昨今では新型コロナウイルス感染症のために、サポートを必要としている子どもたちも多くおります。こうした子どもたちがすくすくと育つ手助けを、今後とも続けていきたいと思っております。

水野谷 優(みずのや すぐる)

ユニセフ本部 統計・モニタリング シニアアドバイザー

 

水野谷さんたちは、被災した保育園や幼稚園を一軒一軒訪問。被災状況によって異なるそれぞれのニーズを把握した。支援チームの間で「三河屋・御用聞き」プロジェクトと呼ばれた活動で、水野谷さんはじめ最前線のスタッフは、お布団やおまる、玩具、事務用品など多岐にわたる物資の調達に奔走。おやつ(副食)の支援も行った。(2011年6月30日撮影)

© 日本ユニセフ協会/2011/K.Goto

2011年当時、水野谷さんたちは、被災状況によって異なるそれぞれのニーズを把握するため、被災した保育園や幼稚園を一軒一軒訪問。支援チームの間で「三河屋・御用聞き」プロジェクトと呼ばれたこの活動で、水野谷さんはじめ最前線のスタッフは、お布団やおまる、玩具、事務用品など多岐にわたる物資の調達に奔走。おやつ(副食)の支援も行いました。(2011年6月30日撮影)

 

 

※日本ユニセフ協会公式ホームページでは、3月1日から3月11日にかけて、ユニセフ東日本大震災緊急・復興支援に携わったユニセフ日本人職員等からのメッセージを順次紹介しています。

メッセージ一覧
「あの日から10年~支援現場の記憶」(1) 國井修さんのメッセージ

「あの日から10年~支援現場の記憶」(2) 井本直歩子さんのメッセージ

「あの日から10年~支援現場の記憶」(3) 竹友有二さんのメッセージ

「あの日から10年~支援現場の記憶」(4) 武居利恵さんのメッセージ

「あの日から10年~支援現場の記憶」(5) 近藤智春さんのメッセージ

「あの日から10年~支援現場の記憶」(6) 加藤正寛さんのメッセージ

「あの日から10年~支援現場の記憶」(7) 水野谷優さんのメッセージ

「あの日から10年~支援現場の記憶」(8) 安田直史さんのメッセージ

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