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日本ユニセフ協会

人道危機緊急募金情報

アフガニスタンの子どもたちの危機
現地で続くユニセフの支援活動

2022年8月15日アフガニスタン

アフガニスタンのパクティカ州ガヤン地区にあるユニセフの支援する移動診療所にいる、マジャベンちゃん(2歳)。急性水様性下痢症(コレラ)の治療を受け、快方に向かっている。

©UNICEF/UN0665339/Bide
アフガニスタンのパクティカ州ガヤン地区にあるユニセフの支援する移動診療所にいる、マジャベンちゃん(2歳)。急性水様性下痢症(コレラ)の治療を受け、快方に向かっている。

アフガニスタンでタリバンが政権を掌握してから、今月で1年が経過しました。

ユニセフは現地に留まり、子どもたちへの支援を続けていますが、過去数十年にわたる情勢不安と自然災害の影響ですでに悪化していた人々の生活は、アフガニスタンが国際社会からも距離を置かれるなかで、さらに危機に直面しています。アフガニスタンで起きている危機は、子どもの権利を脅かす危機です。

何百万人もの子どもたちが、プライマリ・ヘルスケア、ポリオやはしかから命を守る予防接種、栄養、教育、保護、避難場所、水と衛生などの必要不可欠なサービスを必要とし続けています。

ユニセフは、70年以上にわたりアフガニスタンで支援活動をつづけており、全土にある13の事務所と多くのパートナーと共に、最も弱い立場にある人々、特に子どもたちに支援を届けています。しかし、冬が近づく中で、アフガニスタンのすべての子どもたちに重要な支援を公平に届けるためには、緊急に資金が必要です。

アフガニスタンで起きていること

女子高校の教室に座る女の子たち。

©UNICEF/UN0656883/Bidel
女子高校の教室に座る女の子たち。

アフガニスタンの人口の半数以上にあたる2,400万人(子ども1,300万人を含む)が、人道支援を緊急に必要としています。

深刻な貧困により、親は子どもを学校に通わせる代わりに、時に危険を伴う労働に従事させざるを得ません。今なお、爆発性の戦争残存物をおもちゃと間違えた何百人もの子どもたちが命を奪われたり、傷つけられたりしています。慢性的な飢餓、栄養不良、病気により、乳幼児や子どもたちは消耗しています。干ばつや地震などの自然災害は、最も弱い立場にある人々をさらに窮地に追い込んでいます。

女の子の、日本の中学校・高等学校に相当する「セカンダリースクール」への通学は、アフガニスタンの事実上の当局より禁止されています。例えば昨年8月以降、7年生から12年生にあたる年齢の女の子の大多数が通学できていません。長期にわたる休校や欠席は、子どもたち、特に女の子が学校へ戻れず教育課程を修了することができない結果を招き、子どもたちにこの先も続く長期的な影響を及ぼすことが懸念されています。

ユニセフの支援:すべての子どもの権利を守るために

カンダハールのコミュニティ教育センターで本を読む子どもたち。

©UNICEF/UN0595094/Karimi
カンダハールのコミュニティ教育センターで本を読む子どもたち。

アフガニスタンの子どもたちの世代にとって、今、極めて重要な岐路にいます。子どもたちの権利はますます侵害され、子ども時代を奪われています。

ユニセフは、より多くの子どもや母親に支援を届けるため、紛争の影響や遠隔地であるが故に過去20年もの間アクセスできなかった地域にも活動を広げています。

教育を受けることにより、将来より良い所得を得られるため、教育機会の欠如による潜在的コストは、男の子も女の子も同様に高くなります。そして特に女の子が教育を受けて学業を修了することによって、子どものうちに結婚や出産をすることがなくなり、社会に出て働く機会を得られるため、将来子どもを持ったときにはその子の健康や教育により多くの投資ができ、次世代により良い機会を提供できるようになります。

ユニセフは、アフガニスタンのすべての子どもが学校に通い、学ぶことを目標に、活動を続けています。特に学校がない地域や、何年も教育の機会を奪われている子どもたちの教育に対する需要はこれまでにないほど高まっています。そのため、学校での教科書の配布、女性教師への研修、コミュニティを基盤とした教育の授業の拡大などを行なっています。また、小規模な教育活動への資金援助や、タブレット端末・ラジオ・テレビを使った授業など、代替的な教育手段を探っています。

水と衛生の分野では、給水車による安全な水の供給、手押しポンプ式井戸の建設や修理、衛生物資の提供や衛生習慣の促進などの支援もしています。

保健分野では、外来患者の診察を含む基本的な保健サービスを提供するプライマリ・ヘルスケアを支援しています。ユニセフが支援する170以上の移動式保健・栄養チームが、これまで支援を届けることができなかった、最も遠く離れた地域のアクセスが困難な山間部を含むアフガニスタン全土で活動しています。2022年6月22日の地震発生以降は、ユニセフは、救急セット、経口および注射用抗生物質、点滴などの医療品とテントを地震の被災地に届けました。

ヘラートのユニセフが支援する学校で、手を洗う女の子。

©UNICEF/UN0679811/Naftalin
ヘラートのユニセフが支援する学校で、手を洗う女の子。

 

©UNICEF/UN0665287/Bidel
パクティカ州のユニセフが支援するクリニックを訪れる親子。

 

あまりに多くのアフガニスタンの子どもたちは、子どもが決して見るべきでない光景を目にしています。子どもたちや若者たちは、不安や恐怖と闘い、メンタルへルスの支援を切実に必要としています。そのためユニセフは、紛争や避難によって影響を受けている子どもたちのために、子どもにやさしい空間を設置したり、子どもと親、養育者への心理社会的支援などのサービスをすぐに提供するなど、子どもの保護の支援規模を拡大してきました。

300万人以上の子どもたちが急性栄養不良の状態にあり、予防可能な病気にかかりやすい状況にあります。そのうち100万人以上の子どもたちが、栄養不良の中でも最も致命的な重度の急性栄養不良の危険にさらされています。ユニセフとパートナーは、栄養状態のチェックや栄養治療を通じて、重度の消耗症の子どもたちを特定し、治療しています。またユニセフは、微量栄養素のサプリメントを提供する栄養プログラムも支援しています。

命を守る支援を届け続ける

2022年、アフガニスタンは、感染症のさらなる流行、経済の衰退、深刻な食料不足、そして壊滅的な自然災害に見舞われています。支援ニーズの増大に直面したユニセフは、パートナーとともに、人道的支援の規模を拡大しました。2022年前半に届けた支援の一例は下記のとおりです。

しかし、危機は今なお続いています。800万人の子どもを含む1,500万人のアフガニスタンの人々が切実に必要とする支援を届けるために、20億ドルが緊急に必要とされています。(2022年8月時点)