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日本ユニセフ協会

ウクライナ緊急募金

開催報告
ウクライナ危機500日
メディアブリーフィング・MISIAさん募金贈呈式

2023年7月21日東京

ウクライナ危機の拡大から500日が経過したことに合わせ、日本ユニセフ協会は2023年7月10日、ウクライナ支援に関する報道向けブリーフィングをユニセフハウス(東京都港区)で開催しました。

歌手のMISIAさんがゲストとして登壇し、歌手活動を通じて呼びかけ集まった1千万円の募金の贈呈式を行うとともに、「ウクライナの子どもたちにこれからも心を寄せてほしい」と力強いメッセージを語りました。

歌手のMISIAさんをゲストとしてお迎えし、開催した報道ブリーフィングの様子

©日本ユニセフ協会/2023
歌手のMISIAさんをゲストとしてお迎えし、開催した報道ブリーフィングの様子

 

ウクライナの子どもたちへの思い

日本ユニセフ協会専務理事 早水研

©日本ユニセフ協会
日本ユニセフ協会 専務理事 早水研

冒頭、日本ユニセフ協会 専務理事 早水研より、「ウクライナにおける戦争が長期化するなか、子どもたちが直面する困難な状況が伝えられる機会は減ってきています。なんとか打開できないかと思っていたところ、思いもかけずMISIAさんから『子どもたちのために何かできる機会があれば』とお声がけをいただき、実現しました」と、今回のウクライナ500日報道ブリーフィングにゲストとしてMISIAさんをお迎えした経緯を述べました。

そして、ウクライナで紛争が激化した昨年2月以来、日本の皆さまからユニセフ「ウクライナ緊急募金」に寄せられたご寄付は116億円を超えているとし、力強いご支援をいただいていることに、心からの謝意を示しました。

ユニセフ本部 民間支援企画調整局長 カーラ・ハダッド・マルディニ

©日本ユニセフ協会/2023
ユニセフ本部 民間支援企画調整局長 カーラ・ハダッド・マルディニ

続いて、ユニセフ本部 民間支援企画調整局長 カーラ・ハダッド・マルディニが登壇。「第二次世界大戦以来の規模とスピードで避難民を生み出している今回のウクライナ危機で、子どもたちは傷つけられ、ときに命をうばわれ、心に深い傷を負い続けています。学校や病院などインフラも破壊され続けており、家族は離れ離れになり、生活は引き裂かれている」と今なお続く子どもたちの窮状を語りました。

そして、ユニセフの支援活動は、世界中の多くの政府、企業、団体、そして数え切れないほど多くの個人から寄せられた惜しみない支援のおかげで可能になっていると話し、「今日、MISIAさんをそのような人々の一人として、共感と優しさと寛大さをもってお迎えできることは、私にとってこの上ない喜びです」と感謝の意を表しました。

現地の状況とユニセフの支援

ユニセフ・ウクライナ事務所緊急支援シニアコーディネーターのムスタファ・ベン・メサウド

©日本ユニセフ協会/2023
ユニセフ・ウクライナ事務所 緊急支援シニアコーディネーター
ムスタファ・ベン・メサウド

危機から500日が経過したウクライナ現地の状況について、ユニセフ・ウクライナ事務所とオンライン中継をつなぎ、緊急支援シニアコーディネーター、ムスタファ・ベン・メサウドがウクライナ東部ドニプロから報告しました。

危機拡大前は91人だった職員を2023 年6月までに264人にまで増員して活動を拡大し、人道支援にあたっていると述べ、今年6月のカホフカダム決壊の際は、ユニセフは緊急備蓄品を準備していたため、爆発から数時間以内に対応し、5~6リットルのボトル入り飲料水11万5,000本、ジェリー缶7万3,000本、貯水タンク、給水車などの支援を洪水の被害を受けた人々に届けることができたといった直近の支援活動についても報告しました。

一方で、「ウクライナ全土で、子どもたちが殺害されたり、負傷したり、避難したり、その他の被害を受けている。このような事態は、最前線の地域だけでなく、人々が移動している間の避難先でも、農村部でも都市部でも発生している。ウクライナの子どもたちは、16カ月以上前からこのような状況に直面しており現在も終わりが見えない」と現在も続いているウクライナの厳しい状況を伝えました。

募金贈呈式

MISIAさんが中心となって実施された「ウクライナ支援プロジェクト」の一環で、支援の呼びかけを通じて集められたご寄付として、1千万円をユニセフ「ウクライナ緊急募金」にご寄付いただきました。募金贈呈式では、日本ユニセフ協会からMISIAさんへ感謝状を進呈。MISIAさんからは、目録の代わりに、青と黄色のウクライナカラーをモチーフにした素敵なひまわりの花束をいただきました。

募金贈呈式の様子

©日本ユニセフ協会/2023

(左から)歌手のMISIAさん、ユニセフ本部 民間支援企画調整局長 カーラ・ハダッド・マルディニ、日本ユニセフ協会専務理事 早水研

 

MISIAさんが紡いだメッセージ

ウクライナ支援への思いを語る、歌手のMISIAさん

©日本ユニセフ協会/2023
ウクライナ支援への思いを語る、歌手のMISIAさん

ウクライナの子どもたちや破壊された街の様子など、現状を映し出す写真スライドを背に登壇されたMISIAさん。「私のライブに以前参加したダンサーのなかにもウクライナの方々がいました。今も交流があり、彼らの苦しみ悲しみを聞くたびに胸が痛みます」と、ウクライナの方々への思いからスピーチは始まりました。そして、ウクライナ危機発生直後から、コンサート等で平和への願いを歌で伝えてきたこと、多くの人の協力を得て支援プロジェクトを立ち上げ、チャリティーTシャツを制作し募金活動を始めたことなど、これまでの歩みを振り返り、多くの方に賛同いただいたことへの感謝を表されました。

そして、「ウクライナでは、今も780万人の子どもたちが平和で安全な日々をうばわれたままです。今すぐに平和が訪れて欲しいと願っています」と、時折目を潤ませながら現地の子どもたちの窮状に思いを馳せ、長崎出身であるご自身の平和教育の経験から「私が子どもの頃一番平和の尊さを強く感じたのは、戦争では兵士だけではなく多くの子どもたちが亡くなると実感した時です」と語られ、戦争の恐ろしさ、哀しさをテーマにMISIAさん自身が書いた物語から一節を朗読。戦火にある子どもの気持ちを代弁するような物語に、会場は深い感動に包まれました。

日本政府の協力

外務省地球規模課題総括課長 松本好一朗氏

©日本ユニセフ協会/2023
外務省地球規模課題総括課長 松本好一朗氏

最後に、外務省地球規模課題総括課長 松本好一朗氏が登壇。「この危機で深刻な影響を受けているのは、子どもたち。特に日本の外交、援助政策上の重要なパートナーであるユニセフとは戦争状態が続くウクライナにおいても緊密に協力してきました」と語り、日本政府が、昨年3月以降ウクライナに対してユニセフを通じ合計約4000万ドルの拠出を行い、これまで累計260万人以上の子どもたち、妊産婦を含む女性たちとその家族に新生児用キットなどの緊急支援物資、移動式チームを用いた医療・心理的サポート、日常を取り戻すための教育やレクリエーション活動を提供することができたことを報告されました。

「いまこうしてお話をしている間も、彼の地では我々の助けを待っている子どもたちが多くいる。政府としても引き続きユニセフと協力を進め、多くの子どもたちを笑顔にできるよう、頑張っていきたい」と語られました。

今も続く戦争、子どもたちに心を寄せて

ウクライナやその周辺国の子どもたちがいまだ暴力にさらされ、愛する人を失い、家族と離ればなれになり、故郷を追われ、子ども時代の生活が一変し、恐怖や不安、悲しみを経験し続けていることに、あらためて思いを寄せていただくきっかけになればと開催した、今回の報道ブリーフィング。多くの報道でも取り上げられ、「ウクライナの子どもたちに思いを馳せ、これからも心を寄せてほしい」というメッセージを、これまでのご協力の御礼とともに、全国へ伝えることができました。

ユニセフは、ウクライナ国内および周辺国において、子どもたちと家族のために、保健、予防接種、栄養、教育、水と衛生、心のケアなどの支援を続けています。MISIAさんからお寄せいただいたご寄付を含め、日本の皆さまからのユニセフ「ウクライナ緊急募金」へのご寄付は、現地におけるユニセフの緊急支援活動に、大切に用いらせていただきます。

 

 

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