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日本ユニセフ協会

新型コロナウイルス緊急募金

ブルンジ
手頃な価格の「青い石けん」で
新型コロナ感染症から子どもたちを守る

2020年12月17日ブルンジ

「青いブルル」を使って手を洗う男の子。

© UNICEF/UNI349559/Nijimbere
「青いブルル」を使って手を洗う男の子。

東アフリカの国ブルンジで、ユニセフは、手頃な価格で質が保たれた「青い石けん」の普及と、石けんを使った正しい手洗いの啓発活動を通じて、子どもたちと家族が感染症から守られるように取り組んでいます。

人口の半数以上が貧困で暮らす

© UNICEF/UNI213006/Prinsloo
タンガニーカ湖のほとりにあるブルンジのルモンゲの港で、頭にバケツを乗せて運ぶ子どもたち。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を防ぐため、ユニセフ・ブルンジ事務所は今年の初夏、手指衛生を人々の間で普及させることを目指し、「石けんを使った手洗い」を促進する大規模なキャンペーンを開始しました。

感染予防に有効な正しい手洗いには、石けんの常備が必要です。しかし、経済的な課題がありました。

ブルンジでは、国人口1,200万人のうち65%以上が、1日1.90米ドルの国際貧困ラインを下回る生活をしています。そのため、多くの人々にとって、価格が1個300ブルンジ・フラン(0.16米ドル)する固形石けんを買う余裕はありませんでした。

手洗いをすべての人に

この課題を喫緊に解決するだけではなく、持続可能なものにするために、ユニセフは、ブルンジ国内の石けん製造・販売で最大のシェアを占める地元の企業「SAVONOR」に働きかけ、より手頃な値段の石けんの普及を目指すために互いに協力することになりました。

「青いブルル」のポスター

地元企業は、品質を保ったまま利益率を下げることで、より低価格の質の良い石けんを製造・販売すること、ユニセフは販売価格をさらに引き下げるために購入補助のための資金援助をすることで、合意しました。この取り組みにより、人々は以前の半額の価格で石けんを購入し、常備できるようになったのです。

ブルンジの現地語のキルンジ語で、石けんは「ブルル(Bururu)」と呼ばれます。ユニセフと地元企業との協力で誕生した青色の石けん「青いブルル」には、推奨販売価格である「150ブルンジ・フラン」(0.08米ドル)の値段が表面に彫られています。これにより、適正価格を人々に知らせる目的があります。

今年6月、「青いブルル」の最初の出荷分が販売され、わずか数日で完売しました。首都ブジュンブラ郊外のキナマ市場で小売りを営んでいるエリック・ンゾハボンワヨさんは「青いブルルは、本当に質が良いんです。泡立ちが素晴らしく、とても長持ちします」と太鼓判を押します。

青い石けんで手を洗う、母親のセシルさんと娘のマエバちゃん。

©UNICEF Burundi/Nijimbere
青い石けんで手を洗う、母親のセシルさんと娘のマエバちゃん。

感染予防のために青い石けんで手を洗う、母親のセシルさんと娘のマエバちゃん。

「石けんで手を洗うことは、新型コロナの感染から身を守るために本当に良い方法だと知っています」と語るセシルさん。「青いブルルが売られるようになったことで、私たちにも石けんが買えるようになり、前よりも安全だと感じます。」

正しい情報を伝えていく

石けんを手ごろな価格にすることは、感染予防対策の一つでしかありません。

「石けんを使った手洗い」の習慣を人々の間で広めるため、ブルンジ保健通信省との協力のもと、ユニセフは国内すべての州で、新型コロナウイルスの感染予防方法を伝えるメッセージを届けています。放送局に協力を求め、ラジオやテレビで手洗いの啓発メッセージが放送されました。

ユニセフは、手洗いや衛生に焦点を置いた新型コロナウイルス感染予防に関する研修用教材を開発し、担当官の訓練を行いました。訓練を受けた担当官は、地域のコミュニティのリーダーたちに研修を行い、リーダーたちは何千人もの地域住民にその情報を伝えていきます。

石けんの普及を確実にするために

© UNICEF/UNI349560/Nijimbere
ブルンジのブジュンブラにあるSavonor工場で、「青いブルル」の製造工程を見るユニセフ職員と工場のスタッフ。

プログラムが開始してからの4カ月間、SAVONORは月間1,000万個の青いブルルを生産し、2020年9月までに、ブルンジの18の州で計2,000万個以上の青いブルルが販売されました。ユニセフは加えて、感染予防のための啓発活動や、保健・医療施設への衛生用品の物資支援なども行いました。

6月には、ブルンジで新たに選出されたンダイシミエ大統領が、ユニセフの取り組みへの支持を公に表明したことにより、人々の間で、手指衛生の重要性についての認知度と意識がさらに高まりました。

ブルンジのブジュンブラにあるSavonor工場で、「青いブルル」が製造されている。

ブルンジ政府による関与は、「石けんを使った手洗い」を促進する大規模なキャンペーンの成功だけでなく、石けんの価格を抑制するためにも非常に重要でした。政府による公的な発信によって、人々は石けんの販売推奨価格を知ることができたため、小売り業者が供給を止めて在庫をため込んだり、価格を不当に値上げしたりすることを抑止しました。

プログラムの成功を測るために、ユニセフは独自のオンライン・アンケート・ツール「Report(ユー・レポート)」を用いた全国規模の調査を行い、石けんの価格と入手しやすさを人々から聞き取りました。最初の調査は、比較のための現状のデータを得るために6月末に実施されました。その後1カ月以内に、回答者の83%が自分たちの地域で石けんが入手可能であると答え、そのうちの92%が購入したことがあると答えました。石けんの価格は、調査初期のころは変動していたものの、7月末までには落ち着き、回答者の大多数が150~167ブルンジフラン(0.08~0.09米ドル)の価格帯で青いブルルを購入できたと答えました。

命を守る手洗い

© UNICEF/UNI306245/Prinsloo
ブルンジの小学校で手を洗う子どもたち。

自分の体を病気から守る、最もシンプルな方法のひとつが、石けんを使った手洗いです。SDGs(持続可能な開発目標)の目標6.2は「すべての人が平等に適切な衛生環境を利用できること」です。この衛生環境には、健康を維持し病気の蔓延を防ぐことにつながる手洗いも含まれています。

ユニセフは、ブルンジを含む世界各国で、手洗いのための設備をつくったり、「手洗いで命を守ることができる」というメッセージを学校やコミュニティで繰り返し伝えることで、石けんを使った正しい手洗いが日常の習慣になるよう取り組んでいます。