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日本ユニセフ協会

ウクライナ緊急募金

希望を持ち続ける、ウクライナの子どもたち

2022年9月26日ウクライナ

今年2月、ウクライナで激化した戦闘によって、平穏な日常を過ごしていた子どもたちは、多くを失いました。家族との平和な暮らしも、友達との学校生活も奪われ、不安な毎日を過ごす中で、心身ともに影響を受けています。

そんな状況でも希望を持ち続け、笑顔を見せてくれる子どもたちの姿は、家族や周囲のおとなたちの心の暗闇を照らす光のような存在です。

学校に戻れる日

リヴィウの避難所で本を読むデニス(8歳)。

© UNICEF/UN0686469/Gilbertson - Highway Child
リヴィウの避難所で本を読むデニス(8歳)。

避難所で真剣な眼差しで本を読む、ウクライナ避難民のデニス(8歳)。

今年6月、デニスは家族と一緒に、ウクライナ南部のヘルソンから西部のリヴィウに避難してきました。母親のナディヤさんが戦闘に巻き込まれ、拘束されるなどの多くの危険に直面したからです。「解放されたとき、もう一度捕まれば生きては帰れないと悟り、自分と子どもたちの命を守らなければと思いました」と、ナディヤさんは話します。

「ヘルソンのお気に入りの場所で、母さんに泳ぎ方を教えてもらったんだ」と、デニスは故郷を恋しく思い出します。でも、希望もあります。もうすぐリヴィウの学校に通い始めるのです。一時中断していた1年生の授業から学びなおす予定のデニスは、「リヴィウの学校に行くんだ。友だちと遊べるから、学校が好き。あと、算数も好き」と話します。

「息子は本当に学校が好きです。先生のことも好きで、とても会いたがっています」と、ナディアさんは話します。「いつ学校に行けるの?おもちゃを持っていってもいい?」と聞かれたナディアさんは、「ロボット1つだけよ、他のおもちゃは家でお留守番ね」と約束しました。

「大きくなったら警察官になりたい。パトカーに乗れるし、悪い人からお店を守ることができる。僕の母さんの友達には警察官がいて、パトカーに乗せてもらったこともあるんだ」(デニス)

いつかは治って、故郷に

リヴィウの病院の中にある「スピルノ・チャイルド・スポット」で、塗り絵をするエヴァ(9歳)。

© UNICEF/UN0695364/Filippov
リヴィウの病院の中にある「スピルノ・チャイルド・スポット」で、塗り絵をするエヴァ(9歳)。

9歳のエヴァは、医師の診察が終わるとすぐに病棟から病院の1階に移動し、「スピルノ・チャイルド・スポット」と看板が掲げられた部屋に駆け込みます。そこには友達がいて、おもちゃやゲーム、たくさんの本がそろっています。

「ここで、ドミノやタワーゲームで遊んだり、ぬり絵をしたりするのが一番好き」と話すエヴァは、戦闘が激化していたヴィンニツァから祖母と一緒に避難してきました。

エヴァは、ウクライナのリヴィウにある病院で、ユニセフ支援の恩恵を受けている子どもたちの一人です。この病院に入院している子どもたちの中には、計画的な治療を受けている子もいれば、避難生活を送るなかで体調を崩した子、地雷によって重傷を負った子もいます。

「戦争が始まって以来、多くの子どもたちが治療のために全国からリヴィウにやってきました」と、スピルノ・チャイルド・スポットで教師をしているナタリヤさん(39歳)は言います。「中には、身体的にも精神的にも非常に厳しい状況に置かれている子どもたちもいます。砲撃で両親を亡くした子ども、榴散弾が当たった子ども、家を失った子どもがやってきます。私たちは、そうした子どもたちのために家族のような雰囲気をつくり、楽しんでもらおうと努めています」

スピルノ・チャイルド・スポットの取り組みは、今年4月にユニセフなどによって開始され、リヴィウ州、イヴァノ=フランキウスク州、テルノーピリ州の数千人の子どもたちに支援を提供してきました。

子どもたちがこの安全で快適な場所で時間を過ごすことで、避難している親たちがひと時の休息をとれる機会にもなっています。ここでは、教師、プロのアニメーター、そして心理士が、ゲームや遊びを通じて子どもたちの発達を促す授業をしています。

エヴァは今、いつか病気が治って故郷に帰れることを願っています。「ここはとても居心地がよいけど、戦闘がなくなれば、家に帰りたいです。大切な人たちみんなに会いたい」。

「平和になってほしい」

戦闘の被害を受けた校舎を訪れたソフィア(13歳)。

© UNICEF/UN0687244/Gilbertson - Highway Child
戦闘の被害を受けた校舎を訪れたソフィア(13歳)。

首都キーウ近郊のイルピンで、ソフィア(13歳)が、修復作業中の学校の教室に立っています。校舎は戦闘で多数のロケット弾による被害を受けました。

ソフィアとリュドミラ(16歳)、学校で数学を教えている母親のレシャさんは、戦闘が激化した翌日の2月25日にイルピンを離れ、巻き込まれる前になんとか脱出できました。そして5月29日、破壊された橋や建物で迷路のような街の中を通って、イルピンに戻ってきました。

「最初は本当に怖かったです。でも、またいつものような日常を取り戻し始めた人たちを見て、私たちの未来に希望を持てるようになりました」とリュドミラは話します。リュドミラは、プロの翻訳家になるための専門的な教育を受けることを望んでいます。

ソフィアは、「この半年は、とても厳しい時期でした。戦争のことをずっと考えていました。でも、この状況に対応するために、できる限りのことをしていました」と語ります。学校が閉鎖されていたため、オンラインで勉強していたソフィア。好きな科目は歴史だと言います。

「将来は、ジャーナリストやニュースキャスターなど、多くの人とかかわる仕事を選びたいと思っています。そのためにたくさん勉強しないといけないし、英語のスキルも必要です。20年以内に自分の家を持って、好きなことを仕事にして暮らしていたいです。ウクライナに住みながら、海外に旅行に行くかもしれないです。なので、本当に戦争が終わってほしいです。平和になってほしいです」

ウクライナの子どもたちのために

ウクライナの戦闘激化から7カ月が過ぎた今なお、収束は見えていません。困難な状況が続く中、ユニセフは、ウクライナ国内および難民を受け入れている周辺各国で、避難場所や衣服、食料、医薬品の提供にとどまらず、教育支援や心のケアなど、子どもたちや困窮する家族のための支援を継続して届けています。

ウクライナ危機

その活動を支えるため、日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ウクライナ緊急募金」を受け付けております。

避難を余儀なくされ、教育の機会を奪われ、恐怖におびえ心身ともに影響を受けている子どもたちとその家族に、人道支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。