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日本ユニセフ協会

ウクライナ緊急募金

ウクライナ危機
ポーランドに避難した母親と子どもたち
ユニセフ、生活再建を支援

2022年9月22日ポーランド

©UNICEF & U.S. CDC/UN0705584/Strek
ポーランドのクラクフで暮らす、母親のカテリーナさんと息子のミキータ(6歳)

 

今年2月、ウクライナ紛争が激化したとき、2人の子どもの母親であるカテリーナさんは、おむつや衣類など最低限の必需品のみを手早くまとめ、キエフに近い故郷のクリュキフシナ村をあとにしました。

「私たちは自宅にすべてを置いてきました。戻れないなんて、まったく想像していなかったのです。家は私たちの人生の大きな部分を占めていました。子どもたちが生まれた時からずっとそこに住んでいたのですから」とカテリーナさんは涙ながらに語ります。

「ぼくの家はかっこいいんだよ。ベッドにはたくさんのおもちゃがあるの」長男のミキータ(6歳)は言います。「親友のダーニャに会いたい。ダーニャは誕生日に僕を家に招待してくれたし、どこに行くときも僕を誘ってくれるんだ」

今年は、2人の男の子が一緒にお祝いをすることはありません。

安全を求めて隣国のポーランドへ

ポーランド・クラクフのアパートでくつろぐ一家。

©UNICEF & U.S. CDC/UN0705566/Strek
ポーランド・クラクフのアパートでくつろぐ一家。

カテリーナさんは2月に息子たちと妹と共に自宅から避難し、ウクライナ西部のフメリニツキー州にある実家に身を寄せました。そして、実家のテレビのニュースで連日流れてくる、爆撃を受けた住宅地の映像を見ていました。そしてある日、映像に映された爆撃された場所が、住んでいた自宅の近所であることに気が付きました。

しかし、カテリーナさんの実家も安全ではありませんでした。子どもたちが低空飛行するヘリコプターの音をとても怖がったこと、隣人が窓の外をロケット弾が通過するのを見たことを、彼女は覚えています。「私は子どもたちの目の奥に恐怖が映っているのを見て、再びの避難を決断しました」3月上旬、彼女は妹のダリナさん、ミキータ、そしてもうひとりの息子マトヴィ(1歳)を連れてポーランドへ向かい、クラクフという町で暮らすことになりました。

ポーランドは多くのウクライナ難民を受け入れており、約140万人が登録されています。

カテリーナさんは息子たちが必要なワクチンを受けられるよう、新しい家から近いクラクフの医療センターで登録手続きをしました。「ワクチン接種は子どもたち、そして人々みんなのために大切です。たとえ紛争中であっても止めるべきではないと思います。重大な病気へのリスクはそばにあるのですから」と彼女は話します。

クラクフの医療センターで、看護師から予防接種を受けるミキータ。ワクチンは、はしかや風疹、おたふくかぜ、ジフテリア、破傷風、ポリオなどから、幼い命を守ります。

© UNICEF & U.S. CDC/UN0705561/Strek
クラクフの医療センターで、看護師から予防接種を受けるミキータ。ワクチンは、はしかや風疹、おたふくかぜ、ジフテリア、破傷風、ポリオなどから、幼い命を守ります。

 

母親のカテリーナさんにに抱かれながら、医療センター予防接種を受ける、マトヴィ(1歳)

© UNICEF & U.S. CDC/UN0705564/Strek
母親のカテリーナさんに抱かれながら、医療センターで予防接種を受ける、マトヴィ(1歳)

 

 

ワクチン接種の需要増加に対応するため、ユニセフはポーランドに追加のワクチンを供給しています。医師のイウォナ・パチェプニックさんは、ワクチン接種の無料での実施によって、より多くのウクライナの子どもたちにワクチンが届いていると言います。「保護者の方々が子どもにワクチンを受けさせる動機にもなり、接種のスピードアップにもつながっています。まだ一度も接種を受けていない2歳、3歳の子どもたちがたくさんいます。私たちのクリニックでは、すべての年齢の子どもたちへの予防接種を開始しました」とパチェプニックさんは話します。専門家として、また親としても、ワクチンの影響を重要視しています。「自分の息子はワクチンを接種しています。それは重要なことです。この世の多くのリスクから息子を守ることは難しいかもしれませんが、予防可能な病気からなら守ることができます」

サッカーを通して友達をつくり、日常をサポート

「将来、チームの誰かがサッカー界のスターになることを期待しています」とオレクサンドル監督は言う。

©UNICEF & U.S. CDC/UN0705553/Strek
「将来、チームの誰かがサッカー界のスターになることを期待しています」とオレクサンドル監督は言う。

ワクチン接種に加え、カテリーナさんが大切にしているのは、二人の子どもが楽しめる活動に参加し、新しい友だちをつくることです。「ミキータはとても社交的な性格なので、どこでも友達を作ることができると思います」と彼女は言います。「サッカークラブのメンバー募集広告を見つけて行ってみたところ、コーチはウクライナ出身で、近所に住んでいる方でした」

コーチのオレクサンドルさんは、スポーツセンターでクラブを運営しています。子どもたちにサッカーをする機会を提供するだけでなく、スポーツを通じて友だちをつくる手助けをするなど、子どもたちの健康的で幸せな日常をサポートすることにも力を注いでいます。

「人見知りする子もいれば、コミュニケーションが得意な子もいます。でも、時間が経つにつれ、みんなが慣れてきて、今では保護者の方から、練習の時間になると子どもが喜んで走っていくんですよ、と言われるようになりました。サッカーはチーム戦なので、みんなが仲間になり、お互いに助け合うのです」とオレクサンドルさんは話します。

新しい学校生活の始まり

カテリーナさんは、ミキータが他の子どもたちと交流することを喜ぶ一方で、教育面について心配しています。夏の間中ずっと、新学期の最初の授業をミキータがどこで受けるのかさえ分からなかったそうです。避難のために子どもの生活環境を変えざるを得なかった多くの親と同じように、カテリーナもまた、刻々と変化する状況の中で、先を見通すのが難しいと感じていました。それでも、アルファベットの練習や、ポーランド語の学習をミキータにすすめて、基本的な学習の機会を確保しようとしました。

ミキータは現在、ユニセフが支援する「アンブレイカブル・ウクライナ(Unbreakable Ukraine)」という財団が設立した3つの新しい学校のうちの1校に通っています。

©UNICEF & U.S. CDC/UN0705565/Strek
クラクフのヨルダナ公園で授業に参加するミキータ。 ユニセフが支援するウクライナ難民のための学校では、校舎の改修工事が終わるまでの間、公園で授業を行っています。

校舎の改修工事が終わるまでの間、授業は公園で行われています。公園では、子どもたちが新しい学校生活になじめるよう、先生たちがゲームやアクティビティを用意しています。「子どもたちが精神的にリラックスし、一体感を持ち、サポートされていると感じられるような教え方やアクティビティを選んでいます」と、自身も難民であるナタリア・マカレンコ先生は話します。

マカレンコ先生は20年近くウクライナの教室で教えていたので、子どもたちが学校に戻ることがどれほど重要なことか、身をもって知っています。「今日は大切な日です。子どもたちと一緒に過ごします。私たちは言葉を交わし、思いを伝え、ハグをして、ここでの生活を続けるのです」

ミキータが通う学校はウクライナの学校です。ウクライナに帰る予定の子どもたちでも、ウクライナの教育カリキュラムを中断することなく、受けることができます。

しかし、今のところ、これらの新しい学校が対応しきれないほどの需要があります。アンブレイカブル・ウクライナ財団が設立したの3校の定員はそれぞれ500名程度にもかかわらず、計7,000名以上の応募がありました。

©UNICEF & U.S. CDC/UN0705552/Strek
ウクライナの伝統的なシャツ「ヴィシヴァンカ」を着て、ユニセフのリュックを背負い、初登校を迎えるミキータ。

またユニセフは、ポーランド政府と連携して、ウクライナ難民の子どもたちがポーランドの学校に入学できるように支援も行っています。そしてユニセフは、ウクライナの教育課程をオンラインで続けることを選択した子どもたちへの支援とともに、こうしたポーランドの学校の教員に、必要な備品と支援を提供しています。こうした子どもたちのために、アンブレイカブル・ウクライナは夕方の時間帯と土曜日の授業も行なっています。

ミキータはお母さんに学校での出来事をすべて話します。「紙で人形を作ったり、歌を歌ったり、ダンスをしたりしたんだ。あと先生が、森の学校のおとぎ話を教えてくれたよ。動物たちが学ぶ学校なんだ」

「対面式の学習やその他のアクティビティは、子どもたちが新しい生活に適応し、新しい日常を築くのに役立ちます」とグナプさんは言います。多くの親が、「子どもの幸せそうな顔を見ると、自分も癒されます」と言っています。

長い一日の終わりに

©UNICEF & U.S. CDC/UN0705549/Strek

©UNICEF & U.S. CDC/UN0705549/Strek
カテリーナさんが、1歳のマトヴィと6歳のミキータに、眠る前のお話を読んであげている。

一日の終わり、カテリーナさんはウクライナの故郷の村でやっていたことと同じことを、続けています。夜の日課である、寝る前の絵本の読み聞かせです。

「私は読書が大好きなので、ミキータにも幼い頃から本のすばらしさを伝えていました。私が愛読していた本はすべて、自宅に置いてきてしまったんです」と彼女は言います。「物なら取り替えることができます。けれど、人や命は、最も重要で価値があるものです。そして、私にとって、故郷のような場所は他にないと感じます」とカテリーナさんは故郷を思い、静かに語ります。

 

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ウクライナの子どもたちのために

ウクライナで、2022年2月に武力紛争が激化して9カ月。今すぐに人道支援を必要としている子どもの数は、ウクライナ国内で330万人、避難先の難民受け入れ国で約390万人にものぼっています。

ユニセフは、ウクライナ国内および難民を受け入れている周辺各国で、避難場所や衣服、食料、医薬品の提供にとどまらず、教育支援や心のケアなど、子どもたちや困窮する家族のための支援を継続して届けています。

ウクライナ危機

その活動を支えるため、日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ウクライナ緊急募金」を受け付けております。

避難を余儀なくされ、教育の機会を奪われ、恐怖におびえ心身ともに影響を受けている子どもたちとその家族に、人道支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。