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日本ユニセフ協会

人道危機緊急募金情報

イエメン紛争
戦闘で1万1,000人以上の子どもが死傷 ユニセフ事務局長、再度の停戦を求める

2022年12月12日ニューヨーク

ユニセフ(国連児童基金)によると、イエメン紛争により、これまでに1万1,000人以上の子どもが殺され、あるいは重傷を負っています。平均すると、2015年の紛争激化以来、1日4人が死傷していることになります。これらは国連が確認した件数のみなので、この紛争による本当の犠牲者数はもっと多いと見られます。

紛争の激化から8年

サヌアのユニセフが支援する病院で、栄養不良の治療を受けるホニーンちゃん。(2022年12月7日撮影)

© UNICEF/UN0748580/
サヌアのユニセフが支援する病院で、栄養不良の治療を受けるホニーンちゃん。(2022年12月7日撮影)

国連の仲介による停戦により、紛争は大幅に沈静化されましたが、10月初旬の停戦終了から11月末までの間に、さらに62人の子どもたちが死傷しています。2022年7月から9月の間だけでも、少なくとも74人の子どもを含む164人が地雷や不発弾により死傷しました。

紛争の激化から8年近くが経過するなか、1,290万人の子どもを含む、全人口のほぼ4分の3にあたる2,340万人以上が、人道支援と保護を必要としています。イエメンでは推定220万人の子どもたちが急性栄養不良に陥っており、そのうち54万人近くの5歳未満児が重度の急性栄養不良に苦しみ、生き延びるために必死に闘っています。

先週、ユニセフの人道支援計画の資金要請の発表をイエメンで行ったユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、「アデンの病院で生後7カ月のヤシンと母親のサバに面会しました。ヤシンのような子どもたちにとって、日々は生きるための闘いと化しています。何千人もの子どもたちが命を落とし、何十万人もの子どもたちが予防可能な病気や飢餓で命を落とす危険にさらされています。ヤシンはイエメンにいる多くの栄養不良の子どもたちの一人にすぎません。基本的サービスがほぼ崩壊しているため、彼らはみな早急な支援を必要としています」と述べました。

基本的なサービス機能せず

プライマリ・ヘルスケア・センターで、赤ちゃんに経口ワクチンを投与するラッセル事務局長。(2022年12月6日撮影)

© UNICEF/UN0748950/ALfilastini
プライマリ・ヘルスケア・センターで、赤ちゃんに経口ワクチンを投与するラッセル事務局長。(2022年12月6日撮影)

920万人の子どもを含む1,780万人以上の人々が、安全な水や衛生設備を利用できない状況にあります。長年にわたり、イエメンの医療制度は極めて脆弱で、医療施設の50%しか機能しておらず、約1,000万人の子どもを含む約2,200万人が医療を十分に受けることができない状況にあります。

予防接種率は全国的に伸び悩んでおり、1歳未満の子どもの28%が定期的な予防接種を受けられていません。コレラ、はしか、ジフテリアなどワクチンで予防できる感染症が一定の期間ごとに流行する中で、安全な水が手に入らない状況と相まって、子どもたちは非常に危険な状態に置かれています。

同時に、イエメンは深刻な教育危機に直面しており、子どもたちに甚大な長期的影響を及ぼしています。200万人の子どもが学校に通っておらず、その上、国内の4校に1校の学校が全壊または一部損壊していることから、教育が中断される子どもの数は600万人にまで増加する可能性があります。

ラッセル事務局長はまた、「イエメンの子どもたちがまともな未来を手にするためには、紛争当事者や国際社会、影響力を持つすべての人々が、彼らの保護と支援を保証しなければなりません。ユニセフが支援するリハビリテーション・義肢装具センターで出会った子どもたちも含まれます。マンスールという男の子は、足を狙撃兵に撃たれ、膝から下を切断されました。一人の子どもも、そのような苦痛を経験することがあってはなりません。停戦合意の迅速な更新が、重要な人道支援を届けるための最初の一歩となります。究極的には、持続的な平和がなければ、家族は、破壊された生活を再建し、将来への計画を立て始めることはできないのです」とも述べました。

命と健康的な生活を守るため

アデンのユニセフが支援するリハビリテーション・義肢装具センターで、義足を装着して歩く練習をする男の子。(2022年12月5日撮影)

© UNICEF/UN0747992/Al-Azarqi
アデンのユニセフが支援するリハビリテーション・義肢装具センターで、義足を装着して歩く練習をする男の子。(2022年12月5日撮影)

ユニセフは、2023年にイエメンの人道危機に対応するために、4億8,440万米ドルを緊急に必要としています。緊急支援のための予測可能な資金がないため、主要なサービスの継続が難しくなり、子どもたちの命と健康的な生活が危険にさらされています。

このような課題にもかかわらず、2022年にユニセフは以下を行いました。

  • 4,584のプライマリ・ヘルスケア施設と34の治療用給食センターで、26万人以上の重度の急性栄養不良の子どもたちへの治療を支援
  • 四半期ごとに約150万世帯に緊急現金給付を実施し、約900万人を支援
  • 給水車の稼働、給水所の設置、国内避難民キャンプへの給水システムの拡張など、幅広い取り組みを通じて470万人に安全で持続的な飲料水へのアクセスを提供。またユニセフは、15県にある36の水と衛生公社に対して、きれいな水をつくり供給するための燃料を支援
  • プライマリ・ヘルスケア施設へのアクセスが、ほとんどあるいは全くない、少なくとも160万人の子どもたちに、はしかとポリオの予防接種を実施
  • 紛争地域の25万4,000人以上の子どもと養育者に心理社会的支援を、42万3,000人以上の子どもと地域住民に命を守るための地雷リスク啓発教育を提供
  • へき地の農村に住む160万人以上に、公的な保健ケアサービスへのアクセスを提供
  • 24の病院で「妊産婦、新生児および子どもの保健プログラム」(MNCH)を支援し、運営支援や設備・備品を提供。さらに、4,500の常設の外来治療プログラム(OTP)センターと288の移動チームへの支援を通じて、栄養不良の治療と予防のサービスを拡充

 

 

注記:

以下は、国連が確認できた2015年3月~2022年9月30日の間のデータです。実際の数はもっと多い可能性があります。

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