2021年12月24日マニラ(フィリピン)発
超大型の台風22号(フィリピン名:オデット、国際名:ライ)がフィリピンを襲ってから1週間以上が経過しました。ユニセフ(国連児童基金)を含む国連機関や人道支援団体は、超大型台風によって壊滅的な影響を受けた子どもたちと家族が元の生活を取り戻せるよう支援を届けるため、総額で1億700万米ドルの資金を国際社会に要請しました。そのうち、ユニセフが最も被害を受けた20万人の子どもの命と権利を確実に守るために必要な資金は、少なくとも1,100万米ドルにのぼります。
生活を取り戻すために
ユニセフ・フィリピン事務所代表のオユンサイハン・デンデブノロブは「台風の被害を受けた子どもたちとそのご家族が、暗い年末年始を過ごしていることに心が痛みます。今夜は家族とノーチェ・ブエナ(聖餐)でクリスマスをお祝いしますが、食料、水、避難場所など最も基本的な必需品の確保にさえ苦労している人々がいることを忘れてはいけません。ユニセフは、フィリピン政府や他のパートナーとともに、最も厳しい状況にある人々に支援を届けるため、現地で活動を続けています。私たちは国際社会に対し、子どもたちの生活を取り戻すために、引き続きその役割を果たすよう訴えています」と述べました。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、差し迫った子どもの権利の問題はより悪化し、さらなる緊急事態によって、子どもや若者の福祉と健康全般はますます損なわれることになりました。
子どもの命と権利を最優先に
台風上陸から1週間が経過した現在、ユニセフの主な懸念事項は下記の通りです。
- 水と衛生(WASH):下痢の症例、水と衛生設備へのアクセス不足
- 保健:感染症の予防・管理
- 栄養:妊婦と子どもの栄養不良の予防・治療
- 子どもの保護:心理社会的支援、暴力・搾取・虐待・ネグレクトの防止
本日発表された『人道支援ニーズと優先事項 (原題:The Humanitarian Needs and Priorities)』には、フィリピン政府とともにユニセフが主導する以下の分野の支援が含まれています。
- 水と衛生(WASH):水とトイレへのアクセス向上、水と衛生用品の配布、衛生促進
- 栄養:妊娠中および授乳中の女性に対するタイムリーな栄養状態の検査・治療、栄養補助食品と日用品の配布、母乳育児の保護
- 子どもの保護:家族と離ればなれになった子どもや同伴者のいない子どもの家族との再会、メンタルヘルスと心理社会的支援、子どもへの暴力(VAC)防止に関する意識向上
- 教育:学習へのアクセス増加、教師へのメンタルヘルスサービスの提供、被災したコミュニティ内にある20校において試験的な対面授業を再開するための水と衛生および感染症の予防・管理の支援
ユニセフ「自然災害緊急募金」ご協力のお願い
地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けております。フィリピンの台風で被災した子どもたちを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるために、ご協力をお願い申し上げます。