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日本ユニセフ協会

ウクライナ緊急募金

ウクライナ危機
ウクライナの子どもたちに平和を ユニセフ・ウクライナ代表スピーチ概要

2022年6月4日キーウ

キーウの聖ソフィア大聖堂において、ユニセフ(国連児童基金)・ウクライナ事務所代表のムラート・シャヒンが発言した内容を抜粋してお知らせします。

* * *

100日間にわたる紛争

4月に起きたクラマトルスク駅への攻撃で、両足を失った11歳のヤナさん。リヴィウの病院で治療を受け、容体は回復に向かっている。(ウクライナ、5月12日撮影)

© UNICEF/UN0643725/Lviv Territorial Medical Union Hospital
4月に起きたクラマトルスク駅への攻撃で、両足を失った11歳のヤナさん。リヴィウの病院で治療を受け、容体は回復に向かっている。(ウクライナ、5月12日撮影)

今年もこの時期に、昨年のようないつもの日常が訪れていたら、家族や子どもたちはどんな話をしているか、少し想像してみましょう。子どもたちは学校から成績表を持って帰って来るでしょう。夏休みの計画を立てたり、家族と一緒にレストランで食事を楽しんだり、自転車やタブレットを学年末のプレゼントにもらったりしているかもしれません。また、祖父母は孫と一緒に過ごし、家族の思い出をつくり、伝統を次の世代に伝えていくことに貴重な時間や年金を使ったでしょう。

100日前、子どもたちは普段の生活をしていました。安全で、希望や夢を追いかけることができました。学校にも行き、友人にも会うことができました。しかし、紛争は彼らとその家族のすべてを変えてしまったのです。安定、安全、学校、友人、家族、家、そして将来に対する希望を奪っています。さらに、子どもたちの命も奪い、心も体も傷つけているのです。

100日間にわたる紛争は、第二次世界大戦以降最大の規模と範囲で、ウクライナの子どもたちに壊滅的な影響と苦しみをもたらしました。そして、彼らの生活に深刻な影響を与え、今後何年もかけて向き合っていかなければならない問題を生みました。およそ3人に2人の子どもが戦闘によって避難を余儀なくされています。

 家族は引き裂かれてしまいました。学校、病院、遊び場、公園、そして何千もの家屋が被害を受け、いまだに破壊され続けています。戦闘が激化している地域で暮らす子どもたちの状況は絶望的になる一方です。暴力行為から避難している子どもたちは、家族離散、暴力、虐待、性的搾取、人身売買などの被害を受ける大きなリスクを抱えています。ほぼすべての子どもが、今後何年にもわたって残り続ける深刻なトラウマと精神的苦痛にさらされています。

毎日、平均して2人以上の子ども亡くなる

ザポリージャの物資供給センターで、ポーランドへ避難するバスを待つ12歳のアリサさん。(ウクライナ、2022年5月12日撮影)

© UNICEF/UN0643760/Filippov
ザポリージャの物資供給センターで、ポーランドへ避難するバスを待つ12歳のアリサさん。(ウクライナ、2022年5月12日撮影)

この恐ろしい紛争によってお子さんを亡くされたすべてのご家族に、心よりお悔やみ申し上げます。毎日、平均して2人以上の子どもが命を落とし、4人以上が負傷しています。そのほとんどは、人口密集地での爆発物を使った攻撃によるものです。これは国連が確認できた数字に過ぎず、実際の数はもっと多いと思われます。

ウクライナ内外で暮らすすべての親と養育者の強さは、最も尊敬されるべきです。毎日毎日、ウクライナの母親、父親、そして養育者は、明日がどうなるかもわからないまま眠りにつき、目を覚ますのです。それでも彼らは、子どもたちの安全を守るため、最善を尽くしています。

ユニセフとパートナーは、戦争の影響を受けた子どもたちとその家族が、この信じられないほど困難な時期を乗り越えられるよう、できる限りの支援をしています。私たちは今までも、そしてこれからも、保護、水と衛生、保健、栄養、教育サービスなど、必要不可欠な人道支援を提供し続けます。

しかし、今の子どもたちにとって何よりも必要なのは平和です。暴力と苦しみは止めなければなりません。紛争が長引くほど、世界中で厳しい状況に置かれている子どもたちにとって長期的に続く壊滅的な影響は大きくなっていきます。

今すぐ平和が必要

国内避難民が多い自治体に設置されたセンターを訪れるユニセフ・ウクライナ事務所代表ムラート・シャヒン氏(左上)。(ウクライナ、2022年3月撮影)

© UNICEF/UN0619544/Haro
国内避難民が多い自治体に設置されたセンターを訪れるユニセフ・ウクライナ事務所代表ムラート・シャヒン氏(左上)。(ウクライナ、2022年3月撮影)

すべての子どもたちが日常を取り戻すことは、簡単ではありません。しかし、不可能に見えたとしても、私たちは彼らがより良い未来を手に入れることができるよう、より懸命に努力していきます。ウクライナのすべての子どもたちが自分の可能性を発揮し、夢を実現できるよう、私たちとともに、この野心的で大胆な旅に参加してくださる皆さま一人ひとりに期待しています。

ウクライナの子どもたち、そして国を離れなければならなかった子どもたちが、もう100日どころか、もう1日も紛争で苦しむことがないよう、強く願います。彼らには今すぐ平和が必要なのです。

 

■ユニセフ「ウクライナ緊急募金」ご協力のお願い

ウクライナでは、2022年2月から続く戦闘によって、今すぐに人道支援を必要としている子どもの数は、ウクライナ国内で300万人、避難先の難民受け入れ国で220万人以上にものぼっています。

ユニセフはウクライナ国内に留まり、子どもたちと家族のための支援活動を継続するとともに、周辺国に避難しているウクライナ難民支援も強化しています。

その活動を支えるため、日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ウクライナ緊急募金」を受け付けております。

避難を余儀なくされ、教育の機会を奪われ、恐怖におびえ心身ともに影響を受けている子どもたちとその家族に、人道支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。

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