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日本ユニセフ協会

人道危機緊急募金情報

アフガニスタン:子どもたちの危機
貧困、児童労働、女子教育の禁止 ユニセフ、国際社会に支援を求める

2023年5月18日ニューヨーク

ユニセフ(国連児童基金)アフガニスタン事務所代表のフラン・エキーザが、アフガニスタンの子どもたちが直面している貧困、児童労働、教育などの危機について、その深刻な状況を定例記者会見で報告しました。

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多くの問題を抱えるアフガニスタン

日本からの支援で届けられた、ユニセフの冬服の支援物資を受け取った家族。長男の15歳のモハマドくん(右から3番目奥)は、父親が亡くなったため一家の大黒柱として牛飼いの仕事をしている。(アフガニスタン、2023年2月撮影)

© UNICEF/UN0804996/Haidary
日本からの支援で届けられた、ユニセフの冬服の支援物資を受け取った家族。長男の15歳のモハマドくん(右から3番目奥)は、父親が亡くなったため一家の大黒柱として牛飼いの仕事をしている。(アフガニスタン、2023年2月撮影)

アフガニスタン全土で、空腹で目覚め、空腹のまま眠りにつく子どもたちがいます。喉の渇きを潤すきれいな水も、眠るための柔らかい毛布もありません。彼らは、家庭や路上、田畑、鉱山、店舗で働くことに慣れきってしまっています。

暴力や早婚の恐怖に怯えながら暮らしている子どもも少なくありません。あまりにも多くの子どもが、おとなが担うべき責任を負わされています。より良い人生を歩むための唯一の希望である教育を奪われた子どもがあまりにも多いのです。

人道的大惨事、気候変動による災害、深刻な人権侵害など、多くの問題を抱えるこの国では、アフガニスタンが子どもの危機にあることを多くの人が忘れていて、危機は悪化の一途をたどっています。現在、アフガニスタンの人々の90パーセントが貧困の危機に瀕していると言われています。子どもたちはその矢面に立たされているのです。

栄養不良、貧困、児童労働などの危機も

ダーイクンディー州立病院で、治療用ミルクを口にする重度の急性栄養不良と診断された生後6カ月のアジマルちゃん。(アフニガスタン、2023年5月2日撮影)

© UNICEF/UN0838550/Karimi
ダーイクンディー州立病院で、治療用ミルクを口にする重度の急性栄養不良と診断された生後6カ月のアジマルちゃん。(アフニガスタン、2023年5月2日撮影)

2023年には、230万人の子どもが急性栄養不良に直面すると予想されています。そのうち87万5,000人は、命を脅かす重度の急性栄養不良状態で、治療が必要です。また今年、約84万人の妊婦と授乳中の母親が急性栄養不良に陥る可能性があります。このことは、赤ちゃんが人生の最良のスタートを切ることを妨げます。

戦闘はほとんど止みましたが、数十年にわたる紛争により、子どもたちの権利が、日々最も恐ろしい形で侵害されています。アフガニスタンは、世界で最も「兵器に汚染された国」の一つです。そうした兵器が生む犠牲者の多くは子どもたちです。速報値では、今年1月から3月にかけて、134人の子どもが爆破物によって死亡、あるいは重傷を負いました。これは、以前は戦闘のために立ち入ることができなかった地域に、アフガニスタンの子どもたちが足を踏み入れる際に直面する危険が、高まっているという現実を示しています。

死傷者の多くは、売って家計の足しにするために金属くずを集めている子どもたちです。貧困ゆえに、家族は子どもたちを、働きに出さざるを得ないのです。望んでそうしているのではなく、他に選択肢がないのです。

アフガニスタンでは、約160万人の子どもが児童労働に従事しています。6歳という幼い子どもが、親が食卓に少しでも食べ物を並べられるように、危険な環境で働いています。パンや豆、じゃがいものためです。

続く女子中等教育の禁止

女子中等教育が禁止され、学校へ通えなくなった15歳のザーラさん。「教育を受ける権利を奪われ、医者になる夢も叶えられず、とても絶望的で悲しいです」と話す。(アフガニスタン、2023年3月18日撮影)

© UNICEF/UN0820919/Munir Tanweer/Daf records
女子中等教育が禁止され、学校へ通えなくなった15歳のザーラさん。「教育を受ける権利を奪われ、医者になる夢も叶えられず、とても絶望的で悲しいです」と話す。(アフガニスタン、2023年3月18日撮影)

そして、アフガニスタンではかつて教育が希望の象徴であったのに、子どもたちの学ぶ権利は侵害されています。アフガニスタン全土の女の子たちは、もう3年以上も学ぶ権利を否定されています。最初は新型コロナウイルス感染症のため、そして2021年9月からは中等学校への女子の通学が禁止されたためです。学校へ通えないことが彼女らのメンタルヘルスに与える影響については、言うまでもないでしょう。

アフガニスタンの女性を標的にした最近の容認しがたい禁止令が発令されるなど、引き続き困難な状況は続いていますが、ユニセフは現地ですべての子どものために活動を続けています。私たちは、急速に変化する現地の状況に適応し、私たちを最も必要としている子どもたちに手を差し伸べるための解決策を見つけると同時に、ユニセフに雇用されているアフガニスタンの女性が、子どもたちのための活動の非常に重要な一翼を担い続けてもらえるようにしています。

国際社会に支援求める

バーミヤン州で、ユニセフが支援する教員養成コースの講習を受ける母親のラヒマさん。このコースは女性教員を増やすことを目的とし、教育学や指導方法を学ぶことができる。(アフガニスタン、2023年5月1日撮影)

© UNICEF/UN0840053/Fazel
バーミヤン州で、ユニセフが支援する教員養成コースの講習を受ける母親のラヒマさん。このコースは女性教員を増やすことを目的とし、教育学や指導方法を学ぶことができる。(アフガニスタン、2023年5月1日撮影)

以下は、ユニセフがアフガニスタンにおいて今年1月~3月の間で達成した成果の一部です。こうした活動は、現地雇用のアフガニスタン女性スタッフを含めたユニセフスタッフ、および地元コミュニティへの支援提供を可能にしてくれたパートナー、そしてドナーのみなさまのご支援に支えられています。

  • 750万人がユニセフが支援する保健施設を利用し恩恵を受けた。
  • 60万人の子ども(うち55%が女の子)がコミュニティを基盤にした学習教室で学んだ。
  • 5歳未満児14万人以上が、重度の急性栄養不良の治療を受けた。
  • 8万6,000世帯が人道的現金給付を受けた。

支援ニーズは、日々ますます高まっていますが、ユニセフの「子どもたちのための人道支援(HAC)」の資金要請に対して、わずか22%の資金しか集まっていません。一年の半分が過ぎようとしている中、このままでは、支援すべき子どもたち全員を支援することは、現実的に難しいです。

そこで私たちは、国際社会に対し、アフガニスタンの子ども、女性、家族の苦境を少しでも減らすための協力を求めています。この苦境は、彼らがつくり出したものではありません。

私たちは力を合わせれば、子どもたちや女性たちを含む家族の生活を、より健康で希望に満ちたものにすることができますし、そうしなければなりません。緊急の支援が必要なのは、今なのです。

 

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