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日本ユニセフ協会

自然災害緊急募金

トルコ・シリア地震から半年
今なお多くの子どもたちと家族が避難生活を送る
復興に向けた継続的な支援が必要

2023年8月15日トルコ/シリア

トルコ南東部を襲った2つの壊滅的な地震の後、ハタイにある仮設の避難場所でおもちゃを手にする女の子(トルコ、2023年5月1日撮影)

©UNICEF/UN0835808/Kiliç
大地震で被災したハタイにある仮設の避難場所で暮らす女の子。(トルコ、2023年5月1日撮影)

 

トルコ・シリア地震発生から6カ月

今年2月にトルコとシリアが2度の大地震と多数の余震に襲われてから、半年が経過しました。地震によって自宅を失った多くの家族は、今なお避難生活を余儀なくされています。また、学校やその他の重要なインフラにもたらされた被害は甚大で、安全な水、教育、医療などの必要不可欠なサービスの復興に向けた継続的な支援が必要です。

ユニセフは、子どもたちと家族の最も緊急なニーズに応えるため、現地での活動を続けています。災害発生直後からこれまでに、安全な水や衛生キットなど命を守る物資の配布に加え、予防接種の実施、心理社会的支援の提供、一時的な学習センターの設置などを支援してきました。

トルコ南東部を襲った2度の大地震の後、アンタキヤの仮設避難所にユニセフ設置したテント教室で、授業を受ける子どもたち。(トルコ、2023年3月10日撮影)

© UNICEF/UN0801732/Karacan
トルコ南東部を襲った2度の大地震の後、アンタキヤの仮設避難所にユニセフが設置したテント教室で、授業を受ける子どもたち。(トルコ、2023年3月10日撮影)

 

シリア北西部に位置するアレッポ北部の避難民キャンプに到着した、ユニセフ支援物資の衛生キット。(シリア、2023年3月30日撮影)

©UNICEF/UN0827891/Fricker
シリア北西部に位置するアレッポ北部の避難民キャンプに到着した、ユニセフ支援物資の衛生キット。(シリア、2023年3月30日撮影)

 

 

トルコ

ハタイのSelam Camii一時避難所に並ぶテント式住居(トルコ、2023年4月3日)

© UNICEF/UN0823983/Kiliç
ハタイのSelam Camii一時避難所に並ぶテント式住居。(トルコ、2023年4月3日)

トルコでは、いまだ人道支援を必要としている400万人の子どもたちを支援するため、復興に向けた努力が続けられています。

トラックでの給水支援、浄水剤の提供、貯水タンクの設置、水質検査、給水システムの修繕を含むユニセフの支援により、安全な水を利用できるようになった人は6月末までに138万人以上にのぼっています。さらに58万人以上が、家庭用衛生キット、赤ちゃん用衛生キットなど、感染症の予防に不可欠な衛生用品を受け取りました。またトルコ保健省へのワクチン提供を通じて、のべ98万人以上の子どもたちの予防接種を支援しました。

8月上旬時点において、今なお、約240万人が、地震で被災した州の公式な避難場所および非公式な避難場所で避難生活を送っています(公式な避難場所に約80万人、非公式な避難場所に推定160万人)。公式な避難場所では、人々はテントやコンテナで暮らし、政府・州による管理および人道支援機関による支援によって、様々な社会サービスが利用できますが、非公式な避難場所で暮らしている人々は、様々な公共サービスの利用が限られているか、まったく利用できない状況にあります。

地震の被害に遭ったハタイにユニセフが設置した「子どもにやさしい空間」で遊ぶ子どもたち。(トルコ、2023年4月5日撮影)

©UNICEF/UN0826793/Karacan
地震の被害を受けたハタイにユニセフが設置した「子どもにやさしい空間」で遊ぶ子どもたち。(トルコ、2023年4月5日撮影)

ユニセフはトルコ教育省を支援し、学校の校舎の修繕を支援するための財政的支援や、臨時の教育対策の実施をサポートしています。ユニセフの支援により、8月上旬までに、約40万人の子どもたちがフォーマルまたはインフォーマルな教育を受けることができ、110万人以上が学習教材を受け取りました。

6月末までに、ユニセフは政府や市民社会のパートナーとともに、58カ所の施設において、子どもと養育者の計51万人以上にメンタルヘルスと心理社会的支援を提供しました。地震で被災した子どもたちや家族が、地震体験からくる不安や抑うつ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症するリスクを軽減するための心理社会的支援は、依然として必要とされています。

シリア

地震の被害を受けたアレッポ北部のアルサルヒーン地区で、緊急対応の一環として、5歳未満の子どもたちの栄養状態のチェックを行う、ユニセフの移動保健チーム(シリア、2023年2月10日撮影)

© UNICEF/UN0781271/Al-Asadi
地震の被害を受けたアレッポ北部のアルサルヒーン地区で、緊急対応の一環として、5歳未満の子どもたちの栄養状態のチェックを行う、ユニセフの移動保健チーム。(シリア、2023年2月10日撮影)

2011年から続く紛争によって、世界で最も複雑な人道的状況のひとつに直面しているシリアでは、2023年2月の地震によって、人道状況がさらに悪化しました。地震によって子どもを含む約6,000人が死亡、1万2,000人以上が負傷したと報告されています。そして、子ども370万人を含む880万人が地震の影響を受けました。

以前から脆弱だった保健システムは、今回の地震およびコレラの継続的な発生によって、さらに混乱を極めています。地震以前から、プライマリ・ヘルスケア施設の37%、公立病院の39%が、部分的あるいはまったく機能していませんでしたが、地震によって27の医療施設が全壊、214の医療施設が一部損壊したことが調査によって明らかになっています。

夏季は、急性水様性下痢症(AWD)やコレラなどの感染症が発生しやすい季節です。老朽化した給水網による感染症リスクを軽減し、信頼できる水サービスを確保するため、ユニセフは、アレッポやラタキアなどを含むシリア北西部で、上下水道網の復旧のための支援や、トラックによる給水支援を提供しています。地震被災者のための一時受入センターや、非公式な避難場所でも、水と衛生サービスを提供し続けています。また、石けんや浄水剤を含む家族用衛生キット、ベビー用おむつ、女性用生理用ナプキン、浄水剤など、必要とされている衛生用品を、被災した家族に配布しています。そして、被災地の避難所や国内避難民キャンプで、コレラ、ポリオ、はしかの予防接種キャンペーンを実施しました。

シリア・アレッポにある、避難所となっている学校で、ユニセフから配布された家庭用衛生キットを受け取ったアベッド(10歳)。(シリア、2023年6月14日撮影)

© UNICEF/UNI418162/Janji
アレッポにある避難所となっている学校で、ユニセフから配布された家庭用衛生キットを受け取ったアベッド(10歳)。(シリア、2023年6月14日撮影)

この地震によって、822棟の校舎が被害を受け、そのうち64棟が全壊していることが、調査によって明らかになっています。これにより、子どもたちの教育は中断を余儀なくされました。

ユニセフとパートナーは、これまでに13万人以上の子どもたちに、安全でジェンダーに配慮した環境のもとで、正規または非正規の教育を受けられるよう支援してきました。各教育局との連携により、被災した5つの州すべてで、地震で被災した学校の代替学習スペースとして38のプレハブ教室が設置され、学用品や備品などの提供も支援しました。また2月から5月にかけて、被災した子どもたちと家族の計23万人以上に、メンタルヘルスと心理社会的支援を提供しました。


 

トルコ・シリア地震で被災した家族の支援ニーズは依然として甚大であり、課題は多くかつ複雑です。ユニセフは、子どもたちと家族の命を守り、子どもたちが一刻も早く学習を再開できるよう努めるとともに、家族の経済的な負担を軽減するための支援など、引き続き包括的な支援を提供していきます。

危機に直面する子どもたちとその家族への緊急支援のため、皆さまからあたたかいご協力をお寄せいただいていることに、深く御礼申し上げます。ユニセフの子どもたちのための活動は、皆さまのご寄付に支えられております。大地震からの復興には長期的な支援が必要です。どうぞ引き続き、子どもたちと家族に心をお寄せいただけますよう、お願い申し上げます。

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