2023年11月22日ニューヨーク発
国連安全保障理事会が開催したパレスチナ・ガザ地区に関する緊急会合において、1週間前にガザを訪問したユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルが、子どもたちが置かれている状況について報告を行いました。以下は発言の要旨です。
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ガザは子どもにとって世界で最も危険な場所
・紛争当事者たちに対し、国際法の下で子どもが有する特別な保護を与えるよう求めることで、現下の軍事衝突が子どもたちにとりわけ大きな影響を及ぼしていることを認めた「決議第2712号」を、本理事会が採択したことに感謝します。しかし、これだけでは十分には程遠いのです。戦闘を終結させ、子どもを殺傷することを直ちに止めなければなりません。
・10月7日以来、イスラエルの子ども35人が死亡し、30人以上がガザで人質になっていると報じられています。国連事務総長が述べたように、人質解放の合意は歓迎されるが、さらに多くのことを行う必要があります。 ユニセフは、拉致されたすべての子どもを安全に解放するよう、引き続き当事者に求めていきます。
・ヨルダン川西岸地区では、この6週間で、パレスチナの子ども56人が亡くなり、多数の子どもが住処を追われています。また推定45万人の子どもが人道支援を必要としています。ユニセフとそのパートナーは、同地区の28万人の子どもに対し、メンタルヘルスサポートと保護、水と衛生サービス、補習授業などを提供しています。
・ガザ地区ではわずか46日間で5,300人以上のパレスチナの子どもが死亡したと報告されています。つまり、何週間にもわたって、日々115人以上の子どもが亡くなっているのです。この数字に基づけば、ガザでの死者の40%を子どもが占めていることになります。このようなことは前代未聞です。言い換えれば、今日のガザ地区は、子どもにとって世界で最も危険な場所なのです。比較として、2005年から2022年までの17年間にわたり、子どもに対する重大な権利侵害のモニタリングと報告において確認された子どもの死亡数は、合計1,653人です。
・また、1,200人以上の子どもが、爆撃で破壊された建物の瓦礫の下敷きになったままか、あるいは行方不明になっているという報告も受けています。
・今回の事態が起きる以前から、ガザでは54万人以上の子ども(ガザの子ども全体の半数)が、メンタルヘルスサポートと心理社会的支援が必要だと認められていました。
・今日、ガザでは170万人を超える人々が避難生活を強いられており、その半数は子どもです。
・今後数カ月の間に、子どもの栄養不良の中でも最も致死的な消耗症が、ガザで30%近く増加することが予想されています。
・学校への破壊的な攻撃もあり、すべての学校の建物の90%近くが被害を受けています。残っている学校施設の80%近くは、国内避難民の避難所として使われています。しかし、子どもや家族が家から逃れ安全を求めた先のこうしたスペースでさえ、攻撃を受けています。 例えば先週末、避難民を保護していた国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のファクラ校を含む2つの学校が攻撃され、少なくとも24人が死亡したと報じられています。ユニセフは、学校に対するすべての攻撃を非難します。
・ユニセフは、いわゆる "安全地帯"の設置に強く反対します。今、ガザ地区に安全な場所はありません。そして、提案されている地帯には、そのような多数の市民のニーズを満たすだけのインフラも人々を保護するための手だてもないのです。
・パレスチナとイスラエルにおけるこのたびの武力紛争の真の代償は、子どもの命で測られるでしょう。戦闘を終結させ、人道的アクセスを全面的に確保しなければ、その犠牲は指数関数的に増大し続けます。
ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」 ご協力のお願い
(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」を受付しています。最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。