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日本ユニセフ協会

ガザ人道危機 緊急募金

ガザ、衝突激化100日
「安全・物流・商業活動、3つの障壁」 ユニセフ・パレスチナ特別代表 国連定例会見発言要旨

2024年1月12日ジュネーブ

ユニセフ(国連児童基金)のパレスチナ事務所特別代表のルシア・エルミは1月12日にジュネーブで行われた国連の定例記者会見において、パレスチナ・ガザ地区の状況について、現在「安全」「物流」「商業活動」の喫緊に解決しなければならない3つの障壁がある、と発言しました。

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衝突激化100日

アル・アクサ大学内にある避難所のテントの隣に座り込む子ども。(ガザ地区、2024年1月11日撮影)

© UNICEF/UNI501860/BA
アル・アクサ大学内にある避難所のテントの隣に座り込む子ども。(ガザ地区、2024年1月11日撮影)

ガザ地区の子どもたちにとって、約100日間にわたる暴力、殺りく、爆撃、拘束がもたらしたそのすべての苦しみは、あまりにも大き過ぎるものです。

ガザ地区の子どもと家族は日々増す、空からの攻撃による死、安全な水の不足による疾病、食料不足による栄養の欠乏の危険に直面しています。また、依然として人質に取られている2人のイスラエルの子どもにとって、10月7日に始まった悪夢は、今も続いています。

そして、状況は急速に悪化し続けています。ユニセフは先週、紛争、病気、栄養不良という、ガザ地区の子どもたちに襲いかかる「三重の脅威」について述べました。私たちはできる限りのことはやっていますが、これらに対処するには、大きな難題が立ちはだかっているのです。

対応に制約がかかっている状況

アル・アクサ大学内の避難所で診察を受ける女の子。「1日に約200人の子どもを診察していますが、ほとんどの子どもに下痢や皮膚炎の症状があります」と、医師は話す。(ガザ地区、2024年1月11日撮影)

© UNICEF/UNI501868/BA
アル・アクサ大学内の避難所で診察を受ける女の子。「1日に約200人の子どもを診察していますが、ほとんどの子どもに下痢や皮膚炎の症状があります」と、医師は話す。(ガザ地区、2024年1月11日撮影)

ガザの子どもたちには時間がない一方で、彼らが切実に必要としている、命を守るための人道支援のほとんどは、不十分なアクセス路と長引く検査の狭間で足止めされたままです。ニーズが増大する一方で対応に制約がかかっている状況では、とてつもない惨事が引き起こされるのは明らかです。

何千人もの子どもがすでに命を落としています。急迫した以下の3つの問題を直ちに解決しなければ、さらに何千人もの子どもがすぐに後を追うことになるでしょう。

1つ目は、「安全」です。ガザ地区に安全な場所はありません。激しい爆撃と衝突が続く人口密度の高い都市部では、市民や人道支援従事者の命が脅かされています。

爆撃はまた、切実に必要とされている支援の提供を妨げています。先週私がガザにいた時、私たちは北部に燃料と医療用品を届けようと6日間試みましたが、移動制限のために6日間とも実現できませんでした。ガザの同僚たちは、私が到着する何週間も前から、これと同じ困難に立ち向かっていました。北部の人々は、水と衛生のインフラを稼働させるために、燃料を何としても必要としています。彼らは今もなお待ち続けているのです。

理由なく制限され、届けられない物資も

ハンユニスで激化する紛争から逃れるため南部のラファに家族と避難した11歳のタリンさん。毎日約3時間、水を汲むために並んでいる。(ガザ地区、2024年1月8日撮影)

© UNICEF/UNI501904/El Baba
ハンユニスで激化する紛争から逃れるため南部のラファに家族と避難した11歳のタリンさん。毎日約3時間、水を汲むために並んでいる。(ガザ地区、2024年1月8日撮影)

2つ目は、「物流」です。昨日はラファ検問所経由73台、ケレム・シャローム検問所経由66台のわずか139台のトラックしか入域できませんでした。検査手続きは依然として遅く、見通しが立ちません。また、非常に必要とされている物資の中に、明確な理由もなく制限され続けている物もあります。それらには、水道施設や病院に電力を供給するための発電機や、ひどく損傷した水道インフラを修復するためのプラスチックパイプが含まれています。

さらに、いったん支援物資が搬入されても、ガザ地区全体、特に北部や最近では中部への配送には難題があります。

頻発する通信の途絶により、支援物資の配送を調整することや、いつ、どのように支援物資にアクセスできるかを人々に知らせることは極めて困難です。

大規模な避難による南部の過密状態と深刻な物資欠乏のため、絶望に打ちひしがれた人々がトラックを止め、手に入るものは何でも手に入れようとする事件が続いています。

ガザ地区内では燃料やトラックが不足し、道路の損傷も激しいため、輸送には時間がかかり、頻度も減っています。

支援を早急に提供するために

ハンユニスの工業地帯にある避難所で生活する13歳のメイズさん。身体は火傷を負い、脚は骨折し、避難途中には兵士に押さえつけられたため、顔の神経が損傷し、一部に麻痺が生じ、上手く会話ができないという。(ガザ地区、2024年1月11日撮影)

© UNICEF/UNI501952/BA
ハンユニスの工業地帯にある避難所で生活する13歳のメイズさん。身体は火傷を負い、脚は骨折し、避難途中には兵士に押さえつけられたため、顔の神経が損傷し、一部に麻痺が生じ、上手く会話ができないという。(ガザ地区、2024年1月11日撮影)

3つ目は、「商業活動」です。人道支援だけでは事は足りません。ガザ地区で販売される商品の量を増やす、それも迅速に行う必要があります。必要なのは、毎日少なくともトラック300台分の市販用の商品です。そうすれば、人々は必需品を購入し、コミュニティの緊張をほぐし、ユニセフなどが提供する現金給付支援を活用することができます。

しかし、変化はほとんど見られません。はっきり言って、その結果は、日々、子どもたちの命が失われるという形でもたらされているのです。

即時かつ長期的な停戦こそが、子どもとその家族の死傷を食い止め、切実に必要とされている支援を早急に提供する唯一の方法です。しかし、その実現に向けた提言と働きかけを続ける一方で、私たちには以下のようなことが緊急に必要なのです。

  • ガザ地区へのすべての検問所の利用再開
  • 支援物資の承認・検査手続きをより迅速かつ効率的にし、予測可能なものにすること
  • 商業・民間部門の活動の再開
  • ガザ全域に輸送できるよう、多量の燃料を直ちに搬入すること
  • 信頼性が高く、途切れない通信手段
  • ガザ地区内でのトラックなどによる輸送能力・容量の向上
  • 学校や病院などの民間インフラを必ず保護すること
  • そして、人道支援を切実に必要としている脆弱な立場にいる子どもや家族に手を差し伸べることができるよう、ガザ地区北部へのアクセスを確保すること

最後に、拉致された2人のイスラエルの子どもは、無条件で安全に解放されなければなりません。

この暴力は今すぐ止めなければなりません。

 

ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」 ご協力のお願い

(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」を受付しています。最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。

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