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日本ユニセフ協会

ウクライナ緊急募金

ウクライナ危機
ユニセフ、水道インフラの修復を支援
幼稚園に戻ってきた子どもたちの笑顔

2024年1月25日ウクライナ

ウクライナにおける戦争は、子どもたちに壊滅的な影響を与え続けています。特に戦闘の最前線の地域において、子どもたちとその家族の命と生活が脅かされています。カホフカ水力発電所のダムが2023年6月に破壊された後、最大100万人が持続的で安全な水へのアクセスを失いました。また、エネルギー・インフラへの攻撃により停電が発生し、水道網が寸断され、700万人の子どもたちが保健・教育サービスを受けられなくなりました。

ユニセフは、ウクライナ全土のすべての子どもたちが、衛生面や栄養面において非常に重要な、清潔な水を絶えず確保できるよう取り組んでいます。2023年、ユニセフはパートナーの支援を得て、被害を受けたインフラを復旧させることにより、 約300万人に水道サービスを提供しました。ユニセフはまた、水処理に必要な機器や浄水剤も提供しています。

©UNICEF/UNI497905/Vashkiv
ユニセフの支援により、安全な水を常時使えるようになった幼稚園で、手を洗う女の子。(ウクライナ、2023年11月撮影)

 

砲撃によって断水によって及ぼす生活への影響

©UNICEF/UNI472355/Klochko
ユニセフの支援で安全な水がでるようになった自宅の蛇口から、バケツに水を注ぐビクトリアさんと祖母のヴァレンティーナさん(ウクライナ、2023年11月撮影)

2022年に激化した戦争は、ウクライナ全土の村や町、都市に破壊と荒廃をもたらしています。南部のザポリッジャ州では、砲撃の被害によって、家族が飲料水を手に入れることができなくなりました。11歳のビクトリアさんもその一人です。

「1週間ずっと、水が手に入らないときもありました。普段から水を備蓄しておいて、なるべく使わないようにしていました」(ビクトリアさん)

ザポリッジャ州で暮らす10万5,000人以上の住民(うち約1万人が子どもたち)は、頻繁に起こる断水の中で、なんとか生活を続けてきました。ビクトリアさんは、両親と姉、祖母とともに、州内にある小さな村で暮らしていますが、給水システムの損傷によって、自宅の蛇口から水が出なくなることがよくありました。

「断水によって、大変な事がたくさんありました。特に夏にはシャワーも洗濯もできませんでした。自宅に給水タンクがなかったので、ペットボトルや樽に水を貯めていました」。(祖母のヴァレンティーナさん)

 

©UNICEF/UNI472359/Klochko
ユニセフの支援で改修されたポンプ場で働く水道事業の従業員。(ウクライナ、2023年10月撮影)

そのような状況に対応するため、ユニセフは、給水システムの復旧のための財政支援を提供しました。その資金は、給水インフラの修復、14のポンプ場の設置、飲料水の安全性を確保するための浄水剤や破裂した水道管の修繕用資材を購入に充てられました。

「水道管が取り替えられたことで、自宅の台所やお風呂場で、水をいつでも使えるようになりました」とヴァレンティーナさんは感謝を口にします。

水道の復旧工事に携わった、ザポリツィア地方水道事業会社の技術部長アルトゥール・ハコビアンさんは、「ユニセフは、破損した給水システムの復旧を支援してくれただけでなく、包括的な計画をともに考え実行してくれました。私たちは共同で、緊急に交換が必要なパイプラインの優先順位マップを作成しました。必要不可欠な資材、機材、工具、職員に必要な作業着の支援も受けました」と言います。

水道事業会社はザポリッジャ州北部でのべ2.5キロメートル以上の水道管を交換し、新しいバルブを組み込み、必要不可欠なポンプ場を設置しました。この地域の給水は、ドニプロ水力発電所の上流から行われていますが、砲撃による停電が一部で中断の原因となっていました。

ユニセフの支援により、水道事業会社は停電時にも給水を続けるための体制を整えました。「停電が起きた場合に、飲料水をコミュニティに届けるための給水車両を備えています」とハコビアンさんは説明します。「ユニセフから提供された浄水剤によって、飲料水の安全も保証されています」。

 

幼稚園に戻ってきた子どもたちの笑顔

© UNICEF/UNI497924/Vashkiv
ヴァスィリキーウの幼稚園に通う子どもたち。(ウクライナ、2023年11月撮影)

ウクライナのキーウ州にあるヴァスィリキーウの人々も、問題の多い給水システムに悩まされてきました。故障による断水が頻繁に起こるほか、金属製の水道管が老朽化して管を流れる水に鉄分が多く含まれてしまうため、水道の蛇口から錆びたような色の水が出ることもありました。

特にこの地域の幼稚園にとって、安全な水を安定的に使うことができないという問題は大きく、園の運営にも影響が出ていました。

しかし最近、ヴァスィリキーウにある上下水道管の緊急交換のための資金をユニセフが支援したことで、優先的な供給先となっている学校や幼稚園、医療機関への水供給が回復しました。

幼稚園の職員であるユヘニイアさんは、上下水道管の修繕が行われる前は、幼稚園の水道は月に1、2回は断水していたと言います。そのたびに教育省が給水トラックを派遣し、幼稚園に水を運んでいました。

©UNICEF/UNI497925/Vashkiv
ユニセフの支援により、安全な水を常時使えるようになった幼稚園で、水を飲む子どもたち。(ウクライナ、2023年11月撮影)

この幼稚園に6歳の娘、ミロスラヴァちゃんを通わせている母親のインナさんは、「幼稚園で断水があったことを知り、十分な水がない中で過ごしている娘のことが心配でした」と言います。「その時は、娘を早めに迎えに行かなければなりませんでした。そして、断水が1日以上続いている場合は、翌日の登園もできず、家で過ごさざるを得ませんでした」

母親にとって、娘が通う幼稚園が、適切な衛生基準を満たしていることはとても重要です。けれでも、水が出ないということは、その基準を満たせないということです。

「上下水道管が修繕されて以来、水の供給に問題は生じていません。浄水フィルターも設置され、水は沸騰させてから子どもたちに飲ませています。子どもたちは一日中、いつでも水を飲んだり使ったりすることができます」(幼稚園の職員、ユヘニイアさん)


ウクライナの子どもたちのために

ハルキウの地下鉄の駅構内で、授業を受ける子どもたち。(ウクライナ、2023年11月7日撮影)

© UNICEF/UNI466987/Filippov
ハルキウの地下鉄の駅構内で、授業を受ける子どもたち。(ウクライナ、2023年11月撮影)

ウクライナにおける戦争は、子どもたちに壊滅的な影響を与え続けています。特に戦闘の最前線の地域において、子どもたちとその家族の命と生活が脅かされています。2023年末時点で、370万人が国内で避難生活を余儀なくされています。

子どもたちは、病気、家族離散、暴力、人身売買、不発弾などのリスクの高まりに直面し続けています。最前線では2,321校が安全上の理由から閉鎖されているなか、就学年齢の全人口の半数に当たる200万人近くが、授業の一部または全部をオンラインで受けています。

困難な状況が続く中、ユニセフは、ウクライナ国内および難民を受け入れている周辺各国で、教育支援や心のケアなど、子どもたちと家族のための支援を継続しています。その活動を支えるため、日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ウクライナ緊急募金」を受け付けております。

避難を余儀なくされ、教育の機会を奪われ、恐怖におびえ心身ともに影響を受けている子どもたちとその家族に、人道支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。

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