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日本ユニセフ協会

人道危機緊急募金情報

アフガニスタン
児童婚の増加に警鐘 困窮する家族、生後20日の乳児も

2021年11月12日ニューヨーク/カトマンズ/カブール

アフガニスタンで児童婚が増加している状況を受け、ユニセフ(国連児童基金)事務局長のヘンリエッタ・フォアは以下の声明を発表しました。

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生後20日の乳児を差し出す事例も

ヘラートで、ユニセフが支援する「子どもの委員会」に参加する子どもと親たち。委員会では、貧困や失業、児童婚や児童労働などについての啓発活動を行っている。(2021年9月撮影)

© UNICEF/UN0512868/Bidel
ヘラートで、ユニセフが支援する「子どもの委員会」に参加する子どもと親たち。委員会では、貧困や失業、児童婚や児童労働などについての啓発活動を行っている。(2021年9月撮影)

アフガニスタンで児童婚が増加しているという報告を、深く憂慮しています。

ユニセフが得た信頼性の高い報告には、生後わずか20日の娘を持参金と引き換えに将来の結婚相手として差し出す家族の事例もありました。

今回の政情不安以前にも、ユニセフのパートナー団体は、2018年から2019年にかけて、ヘラート州とバグディス州だけで、183件の児童婚と10件の子どもの人身売買を確認しました。子どもたちは、生後6カ月から17歳でした。

ユニセフは、15~49歳のアフガニスタン女性の28%が18歳未満で結婚していたと推定しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック、現在も続く食料危機、冬の到来は、家族の状況をさらに悪化させています。2020年には、アフガニスタンの人口の約半数が、基本的な栄養や安全な水などの必需品を欠くほど貧困に陥っていました。

多くの家族が貧困に追い込まれる

小学1年生から高校3年生までの女子生徒が通うMawlana Hatefi女子学校で、授業を受ける女の子たち。(2021年9月撮影)

© UNICEF/UN0518457/Bidel
小学1年生から高校3年生までの女子生徒が通うMawlana Hatefi女子学校で、授業を受ける女の子たち。(2021年9月撮影)

アフガニスタンの極めて厳しい経済状況によって、より多くの家族が貧困に追い込まれ、子どもを働かせたり、女の子を幼いうちに結婚させたりするなど、絶望的な選択を強いられています。

ほとんどの10代の女の子たちは未だに学校に戻ることが許されていない現在、児童婚のリスクがさらに高まっています。教育は多くの場合、児童婚や児童労働といった負の対処方法から子どもたちを守る最善の道です。

ユニセフはパートナーと協力して、女の子の早すぎる結婚のリスクについてコミュニティの意識を高めるために活動しています。児童婚は、生涯にわたる苦しみをもたらします。18歳未満で結婚した女の子は、学校に通い続けられる可能性が低く、家庭内暴力や差別、虐待、メンタルヘルスの悪化を経験する可能性が高くなります。また、妊娠・出産時の合併症も起こりやすくなります。

学校再開の優先を

学校の教室に座る9歳のアジーザさん。(2021年4月撮影)

© UNICEF/UN0467407/Fazel
学校の教室に座る9歳のアジーザさん。(2021年4月撮影)

私たちは、最も弱い立場にある家族の飢餓、児童労働、児童婚のリスクを軽減するために、現金給付支援を開始しました。今後数カ月で、こうした支援やその他の社会サービスプログラムの規模を拡大していく予定です。

ユニセフはまた、宗教指導者たちに働きかけ、女の子たちを対象にしたニカ(宗教に基づく結婚契約)に宗教指導者が関与しないよう取り組んでいます。

しかし、これだけでは十分ではありません。

ユニセフは、中央、州、地方の当局に対し、最も弱い立場にある家族と女の子を支援し、保護するための具体的な対策を講じるよう求めます。私たちは、事実上の当局に対し、すべての中等学校(中学・高校)の女子生徒のために学校再開を優先すること、且つ、すべての女性教師がこれ以上の遅延なく仕事に戻れるようにすることを強く求めます。

すべての世代の未来がかかっているのです。

 

■ ユニセフ「人道危機緊急募金」ご協力のお願い

世界中で起きている紛争や武力衝突、感染症の流行など人道危機に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「人道危機緊急募金」を受け付けております。アフガニスタンの子どもたちを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるために、ご協力をお願い申し上げます。

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