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日本ユニセフ協会
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ユニセフ最新報告書
『レポートカード14』
SDGsで先進各国を順位づけ
日本の子ども 格差の大きさ 41カ国中10番目

【2017年6月15日  フィレンツェ/ニューヨーク/東京発】

ユニセフ(国連児童基金)が本日発表した報告書によれば、先進国では、子どもの5人にひとりが相対的貧困状態にあり、平均で8人にひとりが食料の確保が不安定な状況にあることがわかりました。

SDGsで先進各国を順位づけ

『レポートカード14 未来を築く:先進国の子どもたちと持続可能な開発目標(SDGs)』

『レポートカード14 未来を築く:先進国の子どもたちと持続可能な開発目標(SDGs)』 英語版ダウンロード 日本語版ダウンロード

ユニセフ・イノチェンティ研究所の『レポートカード14 未来を築く:先進国の子どもたちと持続可能な開発目標(SDGs)』は、国連で2015年に採択されたSDGsのうち、子どもに最も関連が深いと考えられる10の目標に焦点をあて、先進国の子どもたちの状況を比較、分析した初めての報告書です。

「『レポートカード14』は、先進国においてさえ、進歩はすべての子どもに恩恵を与えているのではない、ということに警鐘を鳴らしているのです」とイノチェンティ研究所のサラ・クック所長は言います。「高い所得が自動的にすべての子どもにとって良い結果をもたらすわけではなく、格差を助長することさえあるのです。すべての国の政府は、格差が縮小され、子どもに関するSDGsが達成されるよう、行動をおこす必要があります」

『レポートカード14』に日本についてのデータを提供した、首都大学東京の阿部彩教授は、「順位に一喜一憂することはない」としつつも、「日本については、特に底辺に属する子どもたちの状況が厳しいことがわかりました。また、今回成績がよかった栄養等の分野についても、若干異なる指標によれば成績が低いのではと懸念される分野もあります」と述べています。

 

日本についての結果の一部(『レポートカード14』より):

  • 健康、教育の分野では比較的良い結果(それぞれ40カ国中8位と41カ国中10位)だったが、子どもの貧困では23位(37カ国中)、格差では32位(41カ国中、つまり格差が大きい方から10番目)
  • 社会移転による子どもの貧困率の削減幅は31 位(37カ国中)
  • 教育については、基礎的習熟度に達する子どもの割合では2位(38カ国中)だった一方で、社会経済階層による学力格差を示す指標では26位(39カ国中)
  • 若者(15-19歳)の自殺率は26位(37カ国中)

『レポートカード14』日本語版発表(2017年7月20日プレスリリース)はこちら

 

その他『レポートカード14』の主な内容:

  • 貧困の撲滅:平均して子どもの5人にひとりが相対的貧困状態にあるが、国によって大きく異なり、デンマーク、アイスランド、ノルウェーでは10人にひとりである一方、イスラエル、ルーマニアでは3人にひとり。
  • 飢餓の撲滅:平均で8人にひとりが食料の確保が不安定な状況にあり、英国、米国では5人にひとり、メキシコ、トルコでは3人にひとり。
  • 健康:新生児死亡率はほとんどの国で劇的に低下し、若者の自殺率、出生率、飲酒率も低下。しかし、若者の4人にひとりが、週に1回以上、複数の精神上の問題症状があると回答。
  • 質の高い教育:日本やフィンランドを含む、最も結果のよかった国でも、15歳の約5人にひとりが、読解、数学、科学において基礎的な習熟度に達していない。
  • ジェンダーの平等:平均して、おとなの14%は、男子が大学教育を優先的に受けるべきだと考えていて、ほとんどの国では、そう考える人の割合は女性よりも男性の方が高い。

誰ひとり取り残さないために

タイヤのない古い自転車で遊ぶ4歳の女の子 (ルーマニア)2016年8月撮影

© UNICEF/UN040565/Cybermedia

タイヤのない古い自転車で遊ぶ4歳の女の子 (ルーマニア)2016年8月撮影

41カ国の順位を見ると、北欧諸国、ドイツ、スイスといった、同様の比較で頻繁に上位に登場する国々が上位にあり、先進国の中では所得が低い方であるルーマニア、ブルガリア、チリといった国々は下位に見受けられます。しかし、より詳しく見ると、すべての国について、二つ以上、順位が中位か下位に入っている分野があり、何らかの改善の余地があることがわかります。国の所得では、各国間の差異を説明することができません。例えばスロベニアは、多くの指標について、所得のより高い国々より、はるかによい結果を示した一方、米国は、総合順位で41カ国中37位でした。

所得格差、精神的健康や肥満については、ほとんどの国で懸念すべき結果となりました。比較可能なデータのある国のうち3分の2では、底辺に置かれた子どもたちの世帯所得は、2008年時点と比べて、平均的な子どもたちをさらに大きく下回っています。肥満児の割合や、精神の不調を訴える若者の割合は、ほとんどの国で増加傾向にあります。

 

分析結果に基づき、『レポートカード14』は、以下を提言しています。

  • 公平で持続可能な開発の中心に子どもを置く。今日のすべての子どもたちの状況を改善することは、公平性と持続可能性の達成のために不可欠。
  • 子どもを誰ひとり取り残さない。国別平均値は、しばしば深刻な不平等や最も困難な状況にあるグループを覆い隠してしまう。
  • 比較可能なデータの収集を強化する(特に子どもに対する暴力、乳幼児期の発達、移民の子ども、ジェンダー)
  • レポートカードの「順位」を、各国の状況に合わせた政策対応を改善することに活用する。
  • グローバルな持続可能な開発への約束を尊重する。

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6/16(金) 『レポートカード14: SDGsで見る日本の子どもの課題 』記者発表会 

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