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財団法人日本ユニセフ協会
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UNITE FOR CHILDREN UNITE AGAINST AIDS

 

インドネシア:若者がHIV/エイズに立ち向かうために

【2005年10月17日 ボゴール発】

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©UNICEF video

若者たちが輪になって床に座っている前で、デービッド・ゴードンはペンを転がしました。そして、ペンが指した方向に座っている若者にこう尋ねました。「インドネシアの若者にHIVについて伝えるにはどうしたらいい?」

22人の若者たちが口をそろえて答えました。「音楽だよ!」

ジャカルタから南へ約1キロの街、ボゴールの西ジャワでは、1カ月間のHIVピアー・グループ・エドュケーターのための講習が実施され、今日が第20日目でした。参加した若者に、HIV/エイズに関する知識を提供し、カウンセリング技術を身に付けてもらうことが、ユニセフ主催で今回行われている講習の目的です。薬物乱用や中毒についても取り上げられています。というのも、インドネシアでは、静注薬物の使用者が高い割合でHIVに感染していると考えられているからです。

デービッド・ゴードンと彼の妻であるジョイスは、インドネシアでは数少ない薬物中毒リハビリ施設を運営しています。この施設には、「私たちの子どもの願い」を意味する名前(ヤヤサン ハラペン パーマタ ハティ キタ)がつけられています。多くの人々に、ヤキタとして知られ、インドネシアの言葉遊びで、「そう、私たち!」という意味だそうです。

深刻化する問題

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©UNICEF video

ユニセフとヤキタは、大ジャカルタ地域とバンドン、マカッサル、バリの3州から若者を集めて、HIV/エイズ問題を扱うピアー・エドュケイターとして彼らを育てるという大掛かりな試験的研修プログラムを実施するためにパートナーとなりました。これは、ユニセフのエイズプロジェクトオフィサーのレイチェル・オディードの発案によるものです。

「私は過去に、エリトリアとモザンビークで同じようなプログラムを実施しました。今回、これまでに得てきた知識を、デービッドとジョイスと共有し、彼らがそれをさらに発展させてきたということです。」オディード氏はこう語りました。「私たちにはやるべきことが山のようにあります。大ジャカルタ地域だけで、2,000万人の人口を抱えているのです。」

人口2億1,000万人の大きな国において、これはもはや時間との競争です。4,389人がHIV/エイズに感染していると公式に報告されていますが、インドネシア政府は実際の数字を13万人だと推定しています。正確なデータを集計できないのは、HIVに対する悲観的な見方が、事態が手遅れになるまで、その真実を隠してしまうからです。

デービッド・ゴードンによると、ジャカルタ全域に渡って、静脈注射薬物使用者のおよそ半数の人がHIVに感染しているとの推定も出ているといいます。薬物使用者の間で問題は急速に深刻化しているのです。「本当に多くの人たちがヘロインを使っています。彼らは注射針を頻繁に共有します。また、多くの人が性的に活発です。ですから、正確な数字を得るのは本当に難しいのです。」

効果的な教育

インドネシアには現在、HIV感染が拡大している6つの地域があります。スラバヤ、マカッサル、パプアでは性産業によって伝染病が広がりつつありますが、ジャカルタ、バンドン周辺、観光地バリでは、静脈注射薬物使用者が、伝染病を運びます。

エイズ蔓延を止めるために、なんらかの緊急措置をとらなければ、2010年までに11万人が末期エイズ状態である、もしくはエイズによって命を落とし、その他100万人以上がHIVに感染するだろうとインドネシア厚生省は事態を懸念しています。

インドネシアユニセフは2つの分野に活動の焦点を当てています。若者の生活する上での知恵を身に付けること、そして母子感染の防止です。患者同士の学集会、啓蒙活動の実施、学校教育のなかで予防に関する知識を取り込むなど、様々な方法を使って対応策を実施しています。

ヤキタでのプログラムからは、これらのアプローチが効果的なものであることを見てとれます。レイチェル・オディードが言います。「問題意識が高く、コミュニケーション能力に長けていて、そしてインドネシアの若者の代表としてふさわしい若者たちに、このプログラムに参加してもらったのです。

ここに来て間もない頃は、ほとんどの子どもたちが、エイズ問題に対して無関心であったり、知識がなかったり、あるいはHIV感染者を怖がっていました。けれども、ここを出る時には、エイズの問題、エイズ感染者について正しい理解を身に付けているのですよ。」彼女はそう付け加えました。

「メッセージを伝えよう」キャンペーン

これまでに、最大25人で編成された4つの若者グループがユニセフとヤキタが実施した教育プログラムに参加しました。

これら若者たちが、出身地に戻って地元の若者たちと活動するときに、「メッセージを伝える」役割を果たします。彼らは、エイズに関する知識を深めてから、この短期間のうちに、学校、キャンパス、道、病院、軍事教練所といったあらゆる場所で、6,000人を超える同年代の若者に会う機会がありました。

同世代にメッセージを広く伝える人材の育成を初めてから、すでに100人を超える人材が巣立ちました。ユニセフのHIV/エイズに関する活動は始まったばかりです。

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