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財団法人日本ユニセフ協会

UNITE FOR CHILDREN UNITE FOR PEACE

ナオミ・シオムブア(15歳)
スラムでのサッカーを通じて得た自信〈ケニア〉

ナイロビ(ケニア)での試合の合間に休憩する15歳のナオミ・シオムブア
video VIDEO high | low(英語)

ナイロビ郊外のスラムで大きくなる子どもたちは、たえず危険と隣り合わせの生活です。ほとんどの人たちが水道も電気もない暮らしをしているスラムでは、レイプ、窃盗、病気は日常的なことです。中でも環境が悪い地域に住む子どもたちは、中等教育を終えるよりも、シンナー遊びに夢中になる可能性が高いくらいです。

15歳のナオミ・シオムブアはそのようなスラムに住む女の子。サッカーチーム「チェルシー」が大好きな彼女は、友達の多くが暴力を受け搾取されている中で、自分がそういう危険から逃れられたのは、サッカーのおかげだと信じています。

「暴行を受けたりレイプされた友達もたくさんいます。悪い仲間に引きずり込まれて、麻薬をやっている人もいます。でも私は大丈夫。サッカーをしていて忙しいから。」地域のトーナメント試合の合間に、ナオミは話してくれました。

スポーツ協会の支援

サッカーは子どもたちをスラムから連れ出し、暴力に囲まれた生活から抜け出す機会を提供している

サッカーはきちんとした生活と健全な友情を教えてくれる、とナオミは言います。これはスラムのような暴力行為が横行している環境ではとても難しいことなのだ、と。彼女は、マザレ青少年スポーツ協会がスポンサーとなっているマザレ・ユナイテッドのストライカーでリーダー的存在でもあります。

このプログラムでは、選手たちに毎月少なくとも60時間の社会奉仕活動を義務付けていますが、それによって得る収入で、ナオミは自分の学費を支払うことができるだけでなく、母親や兄弟姉妹のための食料を買うこともできます。それは、母親が失業中の今、大きな助けとなっています。

接戦のすえにナオミのチームは勝利をおさめ、彼女はスラムの家にもどりました。マザレ地区には、アフリカでも最も貧しい人々が何万人もすし詰めになって暮らしています。この地区を見渡すと、見えるのは金属製の屋根ばかり。粗末な小屋の中では、一部屋に15人も暮らしていたりします。太陽が沈み夜がやってくると、スラムは暗闇の中にのみ込まれます。

ナオミはろうそくを手に小さな家の中を見せてくれました。「ここが、私と母、弟、妹の住まいです。この部屋で一緒に寝ます。今は電気もありません。」

彼女の家の外では、シンナー中毒の少年が顔を泥にうずめて意識を失っていました。はだしの足は泥だらけで、ハエがたかっていました。ナオミはサッカーのおかげで、こうした運命をたどらずにすんでいると考えています。また、その地区に頻繁にやってくる暴力グループとも距離をおくことができています。学校に行っている間にたくさんの私物が盗まれますが、彼女自身は襲われたことがありません。

「いろいろな物を取られます。お金も洋服も盗まれたことがあります・・・家にもどると、毎日なにかがなくなるなっているんです。」

ゆるぎない自信

ナオミの良き相談相手となっているのは、マザレ青少年スポーツ協会のエドウィン・ワソンガ(24歳)です。マザレ・スラムの中でももっとも環境の悪い地区で育った彼は、ナオミと同じように、サッカーによって進むべき方向を教えられ、希望を与えられたのです。

「マザレ・スラムには、貧困と犯罪と暴力があふれています。子どもたち、とくに女の子はレイプされる危険性が高いのです」とワソンガ氏は言います。そのため、女の子たちにはサッカーを教えるだけでなく、マザレにある協会のクラブハウスで教育講座も開いています。そこでは、男の子も女の子もいっしょにHIV/エイズについて学び、危険回避のための知識を身に付けるのです。

ほんとうの意味でナオミが才能を開花させたのは、このような環境があったからです。ピッチの上で身に付けたことが、どのような状況にも揺ぎない自信へとなっています。彼女の一番の希望はロナウジーニョのようなプロのサッカー選手になることです。

もしプロになれなくても、教育が将来の支えになってくれることを彼女は知っています。「サッカーをしていると、何でもできるような気がします」ナオミは笑顔でそう言いました。

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