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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

アンゴラ:深刻な栄養不良問題を解決する地域の力

【2012年10月23日 アンゴラ発】

アンゴラ中部のクアンザ・スル州スムベに近い小さな村に暮らしているマデレナさんは、一家が使う水を、30キロ以上歩いて汲みに行きます。アフリカの他の多くの地域と同様、この地域も、深刻な干ばつの影響を受けています。 最近、マデレナさんは、2人の幼い子どもたちの体重が落ち、足に斑点のようなものが現れていることに気がつきました。遊んだり、走ったり、楽しそうに歌ったりすることもなくなっていました。

深刻な干ばつと食糧不足

今年、アンゴラの人口の半数以上に及ぶ計10州で、何十万世帯もの人々が深刻な干ばつの影響を受けました。降水量は平均を60パーセントも下回り、この数年で最悪の干ばつ被害に見舞われているのです。

農業生産は、推定40万トン減少。備蓄食糧も、ほとんどの地域でほぼ底をつきかけた状態です。

アンゴラ政府は、今年、先述の10州で、少なくとも50万人の5歳未満児が、全急性栄養不良(GAM)に陥るものと推定しています。

最も迅速で効果的な対応
© UNICEF Angola/2012/Agarwal
アンゴラのある地域で、栄養状態を確認するため、4歳の男の子の二の腕の直径を測っている地域のボランティア。子どもたちの健康問題の解決のために、地域に根ざしたこうした活動が、最も効果的だということが実証されてきている。

アンゴラ政府は、ユニセフをはじめとする国際機関、地元NGOの支援を受けて、栄養危機に包括的に対応すべく、準備を進めています。通院や入院の形で、治療用の給食を受けることができるセンターも増設されています。

また、今後数週間の内に、干ばつの影響を受けている10州で、全ての保健機関や地元当局、ボランティアの方々のネットワークを総動員して、栄養不良の集団検診が実施される予定です。また、こうした対応を、今後必要な地域に集中させるため、この検診の中で、干ばつで最も大きな影響を受けている地域がどこかも確認することも期待されています。深刻な栄養不良の子どもたちは、治療用給食センターで治療を受け、中度の栄養不良の子どもたちには、地域の中で治療が提供されるようになる予定です。

「最も厳しい状況にある全ての地域で、早急に効率的な支援活動を行うことを目指しています」「しかし、子どもたちを栄養不良から守るためには、長期的に家族を支えるためのメカニズムや手段、様々な取り組みを紹介することも非常に重要なことです」保健省の公衆衛生部門を総括するアデレード・カルボルホ医師はこう話します。

アンゴラの栄養危機に対応するため、2012年6月、国連は、緊急対応基金の中から、ユニセフ、食糧農業機関、世界保健機関に、総額510万米ドルを用意しました。

地域の保健活動を活性化

栄養危機などへの対応において、地域に根ざした保健活動を推進することが、最も効果的だということは、これまで世界各国で展開されてきたあらゆる活動の中で実証されています。こうした活動は、医療機関が近所に無く、通うこともできない地域に住む人々にも、命と健康を守るための基本的な知識や技術を提供するとともに、栄養不良の問題も、可能な限り、住民の間に、地域の中で適切に対応できる力を醸成することを目的に行われています。

ユニセフは、11月初旬までに、パートナー団体やアンゴラ政府と協力して、約2,000箇所のコミュニティで、地域に根ざした保健活動に関する研修会を開催する予定です。地域の人々は、この研修を通じ、子どもたちの栄養不良の確認方法や、急性栄養不良の予防と治療について学びます。

栄養不良問題への対応と予防
© UNICEF Angola/2012/Correia
重度の急性栄養不良の子どもたちに、治療センターで提供される「プランピー・ナッツ」。家庭でも摂り続けられるこの治療食のお陰で、子どもたちは、完治していなくても家庭に戻る事ができ、また、家庭でも、継続的な治療ができる。

今年7月、クアンザ・スル州の保健局は、ユニセフの支援を受けて、急性栄養不良の子どもに関する研修を実施。参加者は、5歳未満児の重度・中度の急性栄養不良の確認方法を学びました。

研修を受けた、マデレナ村に住むフランシスカさんは、地域でボランティアをしています。フランシスカさんは、マデレナさんの子どもたちを見て、子どもたちは重度の急性栄養不良で、すぐに適切な治療を受けなければ危険な状態だとマデレナさんに伝えました。これを聞いたマデレナさんは、すぐに子どもたちを近くの保健センターに連れて行きました。

子どもたちは、特別な治療を受けられる保健センターに移送されました。このセンターでは、油や粉ミルク、ビタミン、ミネラルを加えてペースト状にした栄養補助食品「プランピー・ナッツ」を与えられました。

マデレナさんは、子どもが自宅に戻っても、フランシスカさんの指導を受けながら子どもの治療を続けています。フランシスカさんは、毎週プランピー・ナッツを与えるようアドバイスし、定期的に子どもたちの様子を見に来ています。

「マデレナさんはじめ何百人もの方々を支えてくれている、多くの“フランシスカさん”=ボランティアのみなさんに、大変感謝しています。こうした活動によって、地域の中での治療や予防が可能になっているのです」「ユニセフは、アンゴラの子どもたちの命と健やかな成長を守るため、アンゴラ政府と地域社会を支援する役目を担っていることを嬉しく思っています」 ユニセフ・アンゴラ事務所のコエンラアド・バノルメリンゲン代表は、こう述べています。

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