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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

バングラデシュ:
学校に通えない子どもの数、南アジアは世界で2番目
貧困の連鎖から抜け出すための再教育プログラム


【2014年1月28日 バングラデシュ・ダッカ発】

© UNICEF Bangladesh/2013/Crette
家族を助けるためにダッカの魚市場で働くジボンくん(12)。南アジアにはジボンくんのように学校に通っていない子どもが何百万人もいます。

バングラデシュの首都・ダッカの魚市場で働く12歳のジボンくんは、衣料品工場で働く母親と二人で暮らしています。

ジボンくんが稼ぐお金は僅かですが、家族の生活のためには欠かせないものです。そのため、ジボンくんは小学校2年生を最後に、学校から退学しました。おそらく、ジボンくんが再び教室に戻れる機会はやってこないでしょう。

「父親はいません。母は働いていますが、僕が学校に通えるほどの経済的余裕はありません」と、ジボンくんが話します。「もちろん学校には通いたいですが、お金がないので行くことはできません」

南アジアには、ジボンくんと同じ境遇にある子どもたちが何百人もいます。ユニセフとユネスコ統計研究所が、『学校に通っていない子どもたちのためのイニシアチブ』の下、発表した最近の調査によると、南アジアは学校に通っていない子どもが世界で2番目に多い地域であり、バングラデシュやインド、パキスタン、スリランカでは、初等教育学齢期の子ども1,700万人と前期中等教育の就学年齢にある子ども990万人が、学校に通えていないと報告されています。

正確なデータで、優れた政策を

貧困、ジェンダー、社会・文化的習慣、障がい、紛争、自然災害、未発達な教育政策。これらの原因により、子どもたちは学校に通うことができず、早期に退学することを強いられています。

「南アジアの子どもたちが大人になって地域や世界に貢献する人材に成長するためにも、教育は重要です」と、ユニセフ・南アジア地域事務所所長のカリン・ハルスホフ氏が語ります。

『学校に通っていない子どもたちのためのイニシアチブ』の目標は、学校に通っていない子どもたちやその背景にある社会・文化的な壁に関するデータを収集し、すべての子どもたちへの教育を実現するための政策策定に、それらを活用することです。

「優れた政策や支援は、子どもたち自身が『自分たちは教育を受ける権利を持っている』ことを認識する手助けとなります。正確なデータがなくては、それらは実現できません」と、ユネスコ統計研究所・プログラム専門官のフリードリヒ・ヒューブラー氏が語ります。

南アジア地域の各国政府は、すべての子どもたちへの教育を目指し、代替手段の強化や拡大を進めています。たとえば、バングラデシュの現地当局は、同国を拠点とする国際NGO、BRAC (Bangladesh Rural Advancement Committee:バングラデシュ農村向上委員会)などと協力して支援を展開しています。正式な教育システムから取り残された貧しい子どもたちの支援活動を行うBRACは、所得水準が低い地域に多く学校を開き、無償で教育の機会を提供しています。

学ぶ機会、つながる未来

© UNICEF Bangladesh/2013/Crette
ダッカにあるBRACの学校に通う女の子たち。

「特に途上国では、政府の力だけでは、すべての子どもたちに学校に再び通う機会や質の良い教育を提供することに限界があるということを、知る必要があります」と、BRACのサフィクール・イスラム教育プログラム部長が話します。

10歳のミティーラちゃんは、ダッカで最も大きなスラム街の一つであるカーライルにあるBRACの学校に通っています。ミティーラちゃんのような子どもたちは、南アジアでも教育の機会に最も苦しい立場に置かれている子どもたちです。

「学校に通っていない幼い女の子に出会ったときは、この学校のことを教えてあげて、一緒に来ない?と誘っています」と、マティーラちゃんが話します。

バングラデシュでは、再教育プログラムのおかげで、何千人の子どもたちが再び学ぶ機会を得ています。そして、教育は貧困の連鎖から抜け出すきっかけにもなるのです。

「勉強をすれば、良い生活を送れて、良い仕事に就くこともできます。がんばって勉強して将来は先生になり、私のような貧しい子どもたちに勉強を教えてあげたいです」(マティーラちゃん)

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