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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

ブルキナファソ:若い女性を搾取の被害から守るために

女子に対するあらゆる形態の差別や暴力の撤廃は、2007年2月26日から3月9日に開催される第51回国連「女性の地位委員会」のメインテーマです。今回はこのテーマに関連したストーリーをご紹介します。

【2007年2月16日 ブルキナファソ発】

© UNICEF Burkina Faso/2005/Despointes
家事使用人として働く女の子。

悲しい目をしながら、竹でできた古風な椅子に腰掛けるディジャーマ・サリマタ(20歳)。彼女はかつて、ブルキナファソ第二の都市ボボ・ディウラッソで家事使用人として働いていましたが、その時のことを思い出すといつも憂鬱になります。

彼女はその街に幸せを求めに行きました。しかし、その街で味わった色々な形の過酷な仕打ちによって、彼女の人生は悪夢と化してしまいました。

ディジャーマの両親が学費を払う経済的余裕がなかったため、彼女は小学校2年生までの教育しか受けることができませんでした。多くの人々が貧困にさいなまれているスル県は、ブルキナファソでもっとも子どもの人身売買が横行していることでも知られています。ディジャーマはとても幼かったにもかかわらず、家事使用人の職を求めてはるばるボボ・ディウラッソにやってきました。

ディジャーマは昔を思い出します。「ディウラッソで働いている時、私は朝の6時には起きているにもかかわらず、夜の10時以前の就寝を許されたことはありませんでした。体調を崩しても、心配してくれる人は誰一人としていませんでした」

雇い主に喜んでもらえるように、ディジャーマはがんばって働きました。にもかかわらず、彼女はほんのわずかな給料しかもらえず、さらに雇い主の長女から毎日のように侮蔑のことばを受けていました。長女はディジャーマに言います。「あんたは貧しくて小汚い家で生まれたのよ。もし私のパパがあんたを雇わなかったら、どこかで野たれ死んでたかもしれないわね」

思春期の女子のためのトレーニング・センター
© UNICEF Burkina Faso/2005/Despointes
トレーニング・センターで染色技術のトレーニングを受ける女の子たち。

家事使用人としてすでに2年働いていたある日のこと、ディジャーマは故郷トゥガンにトレーニング・センターがあることを知りました。ディジャーマと同じような境遇におかれていた友だちのひとりが、トレーニング・センターのプログラムを紹介してくれたのです。

ユニセフの支援によって運営されているこのセンターでは、子どもを出稼ぎに出さないほうが多くのメリットがあるということを子どもを持つ親や役人、地域に住む人々に教え、子どもの人身売買の根絶に取り組んでいます。センターでは、お母さんや女の子が所得を得られる活動に携わり、また教育を受けられるようにすることを通じて、女の子を働きに出すメリットを少なくしているのです。

ディジャーマは9カ月前からセンターのプログラムに参加し、公用語であるフランス語に加えて現地の言葉であるディオラ語の読み書きを学んでいます。自分の商売を始めたいという夢を実現するため、染色技術と裁縫技術のトレーニングを修了しつつあります。

家事使用人から事業主へ

トゥガンのトレーニング・センターが設立されて以来、160人の女の子が読み書きと生計を立てる手段のトレーニングを受けてきました。そのうちおよそ80人の女の子が、初等教育を修了するため現在も夜間講習を受けています。また20人の女の子が現在は教える側としてセンターで働いています。

トレーニングを修了した生徒に対して、それぞれの事業を立ち上げるために10万フラン(約200ドル)の補助金が手渡されます。現時点で、センターの卒業生6人が自分の事業を立ち上げています。

トレーニング・センターを始めとしたユニセフが支援する活動によって、ブルキナファソに暮らす多くの女の子の生活が向上しています。しかしその一方で、子どもの人身売買の根絶、子どもや青少年に対する教育や雇用機会の提供に向け、より多くの支援が必要とされています。

スル県の上級委員であるアルセーヌ・カヤバさんはこう話します。「最近の調査によって、多くの女の子が、国境を越えて、マリに仕事を探しに行っていることが明らかになりました。いま彼女たちがどのような状況にいるのか、正確なことがわかる人は誰一人としていません。このことから、子どもの人身売買だけではなくHIV/エイズに対する懸念も生じています。」

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