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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

深刻な家庭内の性的虐待
<ブラジル>


 ブラジルの東北部、ペルナンブコ州の海沿いにあるオリンダという小さな町。36万人ほどの人口のうち、約60%は経済的に苦しい生活を送っているといわれています。そのため多くの家庭では父親が出稼ぎに出て、母親が一家を支えています。しかし、いったん都市の生活に慣れてしまった父親が家族の元に戻ってくるのはまれで、家族崩壊の影響を一番強く受けるのは、その娘たちです。

ナイラの家庭も例外ではありません。無職の父は、母と当時13歳だったナイラを置いてリオデジャネイロに出稼ぎに行ったきりです。しばらくは寂しそうにしていた母親は、いつのころからか他の男性と付き合い始め、一緒に暮らすようになりました。

元は警察で働いていたというその男性、今は定職もなく家でぶらぶらするばかりです。おまけに母親が仕事に行ってしまうと、ナイラにしつこくつきまとい、いたずらしようとするのです。「酔っぱらっている時なんか、ベッドに引きずりこもうとするのよ」。母親はそんなナイラの言葉を信用しないばかりか、ナイラが逆にその男性を誘惑して自分から引き離そうとしていると責めます。

15歳になった今、ナイラはユニセフと現地NGO(非政府組織)が週一回開いているミーティングに参加。似たような境遇にいる少女たちとお互いの体験をオープンに話し合うことによって、痛みや怒りを分かち合っています。

家庭内の性的虐待や暴力から逃れるために家を出る少女たちは後を絶ちません。しかし、1993年以降、このミーティングに参加した600人の少女のうち家出したのは3人、妊娠6人、中絶7人、売春1人にとどまっています。

ブラジルの女の子たちが、安全に家庭生活を送れるような環境を早く整えてあげたいものです。

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