メニューをスキップ
HOME > 世界の子どもたち > ストーリーを読む
財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

≪2005年6月7日信濃毎日新聞掲載分≫

消えぬ暴力への恐怖
<コロンビア>

紛争によってなくなった友達の墓を訪れる少女(本文とは直接関係ありません)

40年もの間続いた紛争がコロンビアの女性や子どもたちにもたらした影響は多大なものでした。この2年ほどで避難民の数はいくらか減少しつつあるものの、その累積数は過去15年間で200万人から300万人に到達したことも事実です。避難民となった人々は、常に暴力への恐怖や再び追いやられることへの不安とともに暮らし、また本来、人間が持つべき権利も守られていません。

ラウルの家族もそうした避難民の一家です。ゲリラに村を追われました、ゲリラは、ある夜、突然彼の家族を襲い、姉のロシオを連れ去りました。まだ8歳の幼いラウルは、そのときの様子を鮮明に覚えていました。

「やつらはロシオ姉さんをつかみ、家の外に連れ出し、僕の両親と2人の兄さんに銃を突きつけた。僕たちは家の中にいて2発の銃声を聞いた」。そしてそのあと「ロシオは死んでしまった…」とつぶやいた父親の悲しげな声も忘れることができません。ラウルの家族にはもう選択の余地はありませんでした。彼らは避難民生活へと追いやられたのです。

コロンビアの子どもたちの危機はあまりにも長く続き、そのために国際社会から忘れられつつあります。しかし避難民のうち73%が子どもと女性で、48%が18歳未満の子どもたちです。安全な水を手に入れることも学校に行くことも難しいのが現状です。

ユニセフは、紛争の被害を受けたコロンビアの子どもたちのために、基本的な保健サービスや教育の機会、衛生的な生活を確保するための人道支援を続けています。また子どもの兵士の武装解除を進め、2004年までにおよそ2,000人を保護しました。

しかし、こうした子どもたちが平和な生活を取り戻し傷ついた心を癒すには、これからもより多くの支援が必要です。世界の人々が子どもたちの状況に目を向け、忘れないこと。それが平和への道のりの第一歩です。

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る