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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

コンゴ民主共和国:ユニセフとV-Day「痛みを力に変えて」キャンペーン

【2009年2月12日 ニューヨーク発】

© Paula Allen for V-Day/2009
ブカヴのパンジィ病院にいる女性たち。パンジィ病院は、レイプの犠牲者たちのために、外科治療を提供しているコンゴ民主共和国にわずか二つだけある病院のうちのひとつ。

コンゴ民主共和国の女性への性的暴力の影響について訴えるために、5都市を回って行われる、V-Day<ブイ・デー>「痛みを力に変えて」キャンペーン開始前夜の12日、活動家のイヴ・エンスラーさんは、世界は、コンゴ民主共和国の大切な資源である女性たちの状況に目を背けていると、結果的には「世界全体に影響が出る」と、警告しました。「私たちの手は血に染っています」と、エンスラーさんは簡潔に述べました。

「ザ・ヴァジャイナ・モノローグス」の脚本家であるエンスラーさんは、「V-Day」——性的暴力に反対する世界的なキャンペーン——の設立者でもあります。二年連続で、V-Dayは、コンゴ民主共和国で行われているレイプという犯罪に焦点をあてています。コンゴ民主共和国では、何十万人もの女性や女の子が、現在も続く武力紛争の犠牲者として、レイプされているのです。

「レイプは、アフリカに限ったこと、ましてやコンゴ民主共和国に限ったことではありません。世界中に蔓延していることなのです。」エンスラーさんはニューヨークの国連ビルで開かれた、5都市を回って行われるV-Day「痛みを力に変えて」キャンペーン・ツアーの記者会見上でこう話しました。「しかしながら、私自身がコンゴ民主共和国東部で見たり、聞いたり、経験したことは、疑いなく、女性に対する暴力としては最もひどい状況のものでした。」

「痛みを力に変えて」
© Paula Allen for V-Day/2009
エンスラーさんとデニス・ムクウェジ博士。コンゴ民主共和国のブカヴにあるパンジィ病院の術後室で。

エンスラーさんと共に、V-Dayの「痛みを力に変えて」キャンペーン・ツアーの開始を宣言したのは、アン・ベネマンユニセフ事務局長、コンゴ民主共和国東部ブカヴのパンジィ病院のデニス・ムクウェジ博士です。

ユニセフが支援しているパンジィ病院は、レイプされた人々を治療し、性器ろうこう(瘻孔)の手術を受けるための設備が整っている、コンゴ民主共和国でわずか二つある施設の中のひとつです。

今年1月、ムクウェジ博士は、その業績を称えられ、「国連人権賞」を受賞しました。ムクウェジ博士は、この賞のおかげで、コンゴ民主共和国にたくさんの関心が寄せられた、と報道関係者たちに話しました。

「その関心の高さに気づいたのは、私がブカヴに戻ったときでした。ブカヴの通りは女性たちで溢れかえっていたのです。この賞は、私が受賞したものではなく、彼女たちが受賞したものなのです」と、ムクウェジ博士。「賞を受賞したことで、彼女たちの闘いが正当なるものであることが証明されたのです。」

女性たちが回復するためのシェルター

ベネマン事務局長は、パンジィ病院は、コンゴ民主共和国の女性を守るために、V-Dayとユニセフが共同で行っているキャンペーンのもとで手術を行える唯一の場所であることを強調しました。2007年11月に開始された、「偉大なる財産をレイプするのはよそう」キャンペーン*では、200人のコンゴ民主共和国の活動家に研修を実施することに成功し、地元に変化をもたらすようなイニシアティブを立ち上げるため、約300の女性議論グループを作ることに成功しました。

V-Dayキャンペーンがコンゴ民主共和国で始まってからの2年間で、こうした活動は、女性のエンパワーメントのレベルを引き上げることに成功し、多くの女性たちが自らの体験を公に話すことができるようになり、レイプに対する沈黙の文化を崩すのに役立っている、エンスラーさんは付け加えました。

「コンゴ民主共和国東部で、大きな動きが始まっていると思います。」エンスラーさんは、話しました。

V-Day、ユニセフ、パンジィ病院の協力によって、「喜びの町」シェルターがブカヴに設置され、その開所式が間もなく執り行われる予定です。このシェルターは、レイプの犠牲に遭った女性たちが、一度に約100人、最長6ヵ月間寝泊りすることができる施設です。彼女たちが、元気になるまで安全な場所を提供し、暴力に対する闘いにも屈することがないようリーダーシップを醸成する場所でもあるのです。

毎日がV-Day

当初、エンスラーさんのこのキャンペーンは、バレンタインの日だけに行われていましたが、この10年で国際的な広がりを見せ、3ヵ月間にわたるキャンペーンにまで大きくなりました。今年は、世界中で、推定4,000の、V-Dayイベントが行われる予定で、集まった寄付の一部は、ブカヴの「喜びの町」シェルターのような施設の設置に使われる予定です。

エンスラーさんとデニス・ムクウェジ博士は、アメリカの5都市、ニューヨーク、ワシントンDC、アトランタ、サンフランシスコ、ロサンゼルスを回り、呼びかけを行います。エンスラーさんは、ムクウェジ博士と一緒に公開トークを行います。ムクウェジ博士は、現場にいる人間として、コンゴ民主共和国東部の女性と女の子たちの治療にあたっている自分の経験を話す予定です。この対話では、こうした暴力の元凶は何なのか、ということも探ります。

ベネマン事務局長は、エンスラーさんとデニス・ムクウェジ博士と共に、ニューヨーク、サンフランシスコのイベントに参加する予定です。

◆ニュース記事画像

* 参照(英語のみ):http://www.stoprapeindrc.org/

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