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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

コンゴ民主共和国:簡単な方法で、子どもたちの命を守る

【2009年8月27日 コンゴ民主共和国発】

© UNICEF video
コンゴ民主主義人民共和国北東部の保健センターを訪れた子どもと母親。このセンターは、ユニセフとNGOが展開するコミュニティでの栄養不良対策の一環として設置された。

コンゴ民主共和国の北キブ州各地にある保健センターでは、幼い子どもたちの身長や体重が測定されています。これは、子どもたちの健康状態を調べる最も単純で簡単な方法の一つです。しかし、この簡単な検査が、劇的な変化をもたらしました。

保健センターは、数週間もの入院治療が必要な深刻な病気の子どもたちを受け入れる施設ではありません。子どもたちの健康を維持するための施設として機能しています。

「栄養不良の治療や予防を、(大きな病院に頼らずに)地元の保健センターができるようにサポートしています。」北キブ州にある27の保健センターで活動しているNGOの栄養士、アベル・ニムポジェジェさんは、こう説明しました。「多くの子どもたちは、病院に入院しなくても、コミュニティで治療することができるのです。」

症状の観察と治療
© UNICEF DRC/2009/Marinovich
北キブ州にある保健センターで急性栄養不良の治療を受けるギシャちゃん(1歳7ヵ月)。

マンドゥラちゃん(3歳)の母親は、コミュニティで活動するボランティアを通して、このプログラムのことを知りました。「マンドゥラは、食欲が旺盛で、友達とも良く遊ぶ子でした。でも食欲がなくなってしまって・・・。あまり眠りませんし、もう遊ばなくなってしまいました。」マンドゥラちゃんの母親は、こう話します。

マンドゥラちゃんは、保健センターに連れてこられる前、約6週間、病に伏していました。しかし保健センターで診察されてからは、マンドゥラちゃんは毎週病状をチェックされ、必要とされる治療も受けました。自分で食事ができるようになると、ピーナッツバターを原料に各種栄養素を配合した、調理せずに食べられる「プランピー・ナッツ®」3日分が処方されました。

保健センターでは、栄養治療食として、「プランピー・ナッツ®」が提供されています。マンドゥラちゃんも、あと一ヵ月ほどで、完全に回復し、友達と遊べるようになることが期待されています。

一方、ギシャちゃん(1歳7ヵ月)の場合、保健センターに連れてこられた時には、既に急性栄養不良状態でした。約3週間にわたる治療を受けましたが、ギシャちゃんはいまだに下痢や嘔吐、高熱に苦しんでいます。このため、治療薬の効果もあまり出ていません。

「ギシャちゃんは、十分に食べていません。母親は、1日に1度しか食事を与えなかったそうです。」保健センターのポパウル・カフさんは話します。「これは、深刻な問題です。しかし、母親を責めることはできません。彼女には子どもたちに十分な食事を与えられるだけの余裕がないのです。」

栄養状態の調査

コンゴ民主共和国政府が、保健センターのスタッフとコミュニティのボランティアに求められる国家基準を決め、養成コースの内容を確立した2008年、上記のようなコミュニティに根ざした栄養不良対策がスタートしました。ユニセフは、43のNGOなどとともに、コンゴ民主共和国国内で、一つでも多くの保健センターにこうしたサービスを拡げるため、活動しています。

コミュニティのボランティアの方々は、栄養不良の子どもの母親たちに、保健センターで週に一度開かれる栄養セミナーに参加するよう、各家庭を訪問して呼びかけています。センターでは手軽にできて健康にも良い調理法を教えています。

「栄養不良の主な原因は、食生活であることが分かっています。また、多くの人々がマラリアに感染しています。子どもが病気になり、食事をとれなくなると、栄養不良に陥ってしまいます。」(ニムポジェジェさん)

子どもたちの栄養状態を監視するシステムが、67地区で確立されました。こうした活動で明らかになった子どもたちの栄養状態の状況を基に、栄養不良治療センターが設置され、また、国連食糧農業機関(FAO)の協力も得て、子どもたちの栄養不良が発生しやすい傾向にある地域などの特定も行われています。

効果的な支援

コンゴ民主共和国では、全ての子どもたちの生きる権利が保障されるために、まだまだやられなければならないことが山積しています。脆弱な保健サービス網、低い予防接種率、安全な水へのアクセスの欠如、衛生施設の不足、栄養不良やマラリアなどの疾患の蔓延といった多くの要因が重なり、いまだ数百万人の子どもたちの生命が脅かされているのです。

しかしながら、マンドゥラちゃんの例にも見られるように、現場の最前線で活動する保健スタッフの単純でありながら効果的な活動が、驚くべき効果を挙げています。

「以前のやりかたでは、入院している子どもたちの面倒を診るために親がコミュニティから離れざるをえず、多くの残された子どもたちが、長期間、コミュニティで放置されていました。」ニンポジェジェさんはこのように指摘します。「いま、私たちは、コミュニティに直接働きかけ、親たちは、子どもたちとより多くの時間を過ごしています。」

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