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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

コンゴ民主共和国:武力紛争の最前線にさらされている子どもたち

【2012年11月21日 コンゴ民主共和国発】

© UNICEF Democratic Republic of the Congo/2012/Walther
北キブ州のムグンガ国内避難民キャンプで眠る子ども。武装勢力とコンゴ民主共和国国軍の戦闘により、この数週間で、北キブ州内では数千人が避難を余儀なくされた。

「ユニセフは現場での活動を続け、この危機の影響を受けている子どもたちに手を差し伸べています」ユニセフ・コンゴ民主共和国事務所のバーバラ・ベンタイン代表はこのように語ります。

「戦闘が勃発してから24時間以内に、高カロリービスケットを配布しました。ユニセフは、情勢が激化している中でも、緊急に必要なニーズに対応し続けていくつもりです」

最前線の子どもとその家族

この1週間、反政府武装勢力3月23日運動(M23)とコンゴ民主共和国国軍(FARDC)の戦闘が続き、北キブ州の何千人もの人々が避難を余儀なくされました。子どもたちとその家族は、ほかの地域に拡大する危険のある武力紛争の最前線にさらされているのです。

18日(日)、最近の武力衝突で避難を強いられた子どもたちのために、高カロリービスケット2万個を届けるべく、支援物資を載せたトラックを運転していたマンソウル・ルワガザさんは、ドン・ボスコセンターに到着した時、銃声と爆撃音を聞きました。「戦闘地域から500メートルほど離れた場所にいましたが、子どもたちを守る方法は、心得ていました」

ルワガザさんがビスケットを配布していると、母親のひとりが目に涙を浮かべながら叫びました。「ユニセフは、息子の命を救ってくれました。息子はこの2日間何も食べていなくて、とても衰弱していたのです」ルワガザさんは、計600世帯の子どもたちの命を守るため、高カロリービスケットを届けにまた3日後に戻ってきます。

緊急支援下での重要なパートナーシップ
© UNICEF Democratic Republic of the Congo/2012/Walther
子どもたちとその家族は、ほかの地域に拡大する危険のある武力紛争にさらされている。

「迅速な活動の成果は、国内外のパートナー団体との強固なパートナーシップの賜物です」支援活動を統括するユニセフのゴマ・ジーン・メテニーア部長はこう話します。

ユニセフとパートナー団体は、家族と離れ離れになった人々の登録と再会事業を推進するために、PAMI(Programme d'Appui a la Lutte Contre la Misere)プログラムをスタート。5箇所の調査ポイントを設置しました。

また別のパートナー団体は、紛争による不発弾や爆発物への危険に対応するため、ゴマ周辺で、地雷の危険についての教育活動を拡大して展開しています。

CAJED(Centre d'Action pour Jeunes et Enfants Defavorises)センターを通じて、ユニセフは、武装勢力や武装グループから復員した子どもたちが再び徴用されることのないよう、子どもたちの安全を確保しています。さらに、この1ヵ月間、現場で活動を進めているパートナー団体が、子どもたちの武装勢力への徴用に対する懸念を表明し続けてきました。ユニセフは、パートナーと共に、武装勢力や武力グループとかかわっていた子どもたちを支援するため、子どもたちの武装勢力からの復員、社会復帰のための活動を拡大する準備を進めています。

コレラのような水を媒介とする疾患の脅威も、急速に広がっています。過密状態に加え、雨期も重なる危険があり、ユニセフはパートナー団体と共に、確実な水処理を実行するべく、塩素処理施設をレイク湖地域に55箇所まで増設。

また、多くの人々が避難している地域にトイレ200基を設置。清潔な飲料水は、新たな国内避難民が大量に流入している地域とドン・ボスコセンターに毎日トラックで運ばれています。

また、さまざまなパートナー団体との連携により、ゴマ周辺の国内避難民のための避難所では、重度の栄養不良の子どもたちの治療が行われています。

さらなる支援物資
© UNICEF Democratic Republic of the Congo/2012/Walther
ムグンガ避難民キャンプにて。ユニセフは、パートナー団体と共に、紛争で避難を余儀なくされた子どもと家族のために緊急支援物資を急送している。

安全が確保され次第、ユニセフは、パートナーと共に、避難を強いられた人々のための基礎家庭用品や保健関連の支援物資を含む1万4,200世帯分のファミリーキットをゴマに急送する手はずを整えています。

また、政情の安定を待って、すぐにでも臨時の学校の設置と教育キットが配布される予定で、子どもたちの学校再開を促進するための準備も進められています。現在、ゴマから30キロ県内の学校は休校となり、子どもたちは教育の機会を奪われています。ユニセフは、教育省とパートナー団体と連携して、地元の学校の被害状況を調査しています。

「この武力衝突の全ての当事者に対し、全ての子ども権利を守るために最大限の努力をするよう求めています。子どもの生存と福祉・幸福は、共通の懸念事項であるはずです」(ベンタイン代表)

ユニセフは、2012年にコンゴ民主共和国の危機の影響を受けている子どもと女性のニーズに応えるために必要な資金として、国際社会に1億6400万米ドル以上を要請しています。現在、北キブ州に注目が集まっていますが、ユニセフは、洪水被害や栄養不良、コレラ、はしかの子どもたち、また南部および西部で避難を余儀なくされている子どもを含め、同国全土の子どもたちのニーズに応えるために活動を継続しています。

2012年11月現在、コンゴ民主共和国国軍と複数の武力勢力・グループの間の衝突により、コンゴ民主共和国内で避難を余儀なくされた人々の数は、240万人以上。この中には、北キブ州と南キブ州の160万人が含まれています。このうち、60パーセント以上が子どもと女性です。

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