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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

2003年6月4日

ユニセフ、G8首脳たちにHIV/エイズの対策を要請:若者たちがカギ

 ユニセフのキャロル・ベラミー事務局長は、フランスのエビアンで開かれた世界の先進国首脳会議に出席する首脳たちに対して、世界のエイズ危機に対処するため、リーダーシップ、資源、政治的な意志を凝集し、「潮流を反転」させなければいけない、と進言しました。そうでなければ、首脳たちは、何百万人もの人たち(特に子どもや若者たち)が目の前で、無用に苦しみ、命を落としていくのを見ることになる、と。

  カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ロシア、英国、米国、EUの首脳たちは6月1日から3日まで、フランスのアルプスで集い、アフリカの開発、テロの脅威、核拡散防止、グローバル経済などの問題について討議するのに先立ち、5月27日、アメリカ大統領が、エイズ対策費として150億ドルにのぼる拠出を行う法案に署名しました。これはほかの主要拠出国にもプレッシャーを与えることになります。

  「拠出先のアフリカとカリブ海諸国14カ国にとって、150億ドルは大きなインパクト(影響)を与えるものになるでしょう。でも、HIV/エイズに感染した大半の人たち(95%の人たち)は、治療もケアも受けられない人たちなのです。こうした人たちにとってHIV/エイズは死の宣告を受けたも同然です」とベラミー事務局長は言います。

  「ホワイトハウスが署名した法案でカバーされない国、例えばレソト、スワジランド、ジンバブエでは、15歳〜24歳の若い女性の3分の1がHIV/エイズに感染しています。HIV/エイズを封じ込めるには、貧しい国々から豊かな国々まで、すべての国々が努力しなければなりません。中でも、子どもや若者に向けた対策をしっかり実施しなければならないでしょう。それは、彼らへの影響が一番大きく、彼らがどの道を選ぶかで、HIV/エイズの問題の行方が変わってくるからです。HIV/エイズの感染率が一番低いのは、5歳〜14歳の子どもたちです。HIV/エイズの感染は、若者世代がどのように自己決定し、それ以降の生活の中でどのような決定をしていくかに関わってくるものです。こうした若者世代がHIV/エイズに感染しないよう、適切な情報のもとで自己決定できるようにする必要があります。「若者たちは大きなリスクに直面しています。でも、彼らはこの病気を抑制する希望の星でもあるのです」とベラミー事務局長は語ります。

  「感染を防ぐには、適切な情報をもとに自己決定をする必要があります。そして、知識を安全で健康的な選択へとつなげていく必要があります。そのためには若者たちが『ライフ・スキル<生き抜くための実際的な知識や技術>』を持っていなければなりません。つまり、現実の中で適切に対処し、恋愛、セックス、麻薬など、自らの行動について適切な判断ができなければならないのです。それには、若者たちが、ジェンダーにも配慮した、若者に優しい保健サービスにアクセスできるようにし、彼らの立場を支援・保護するような法的、社会的、家族的な環境を用意しなければなりません」と、ベラミー事務局長は続けます。「これは若者のHIV感染を防ぐだけでなく、親と乳幼児の間の感染も防ぐことになるからです」

  ベラミー事務局長は、また、新たにHIV/エイズに感染している人の内、約半数が15歳〜24歳の若者だと述べました。毎日6,000人がHIVに感染しているのです(これは1分間に4人の計算になります)。若い女性たちがもっとも影響を受けています。サハラ以南のアフリカでは、新たにHIV/エイズに感染した15歳〜19歳のうち、3分の2が女性です。また、感染率が高い地域では、15歳〜19歳のうちHIV/エイズに感染している男性が1人いるとすると、同年代の女性の割合は、5〜6人となっているのです。

HIV/エイズに関する若者、子どもについての統計

・2002年には、250万人がHIV陽性となり、その多くが女性であった。新しくHIV/エイズに感染した人たちの半数(毎日6,000人)は、15歳〜24歳の若者たちである。
・毎日、2,000人近い乳児たちが、妊娠期、出生時、母乳育児の際にHIV/エイズに感染している。効果的な支援を行わないと、HIV陽性の母親に生まれた子どもの3分の1はHIVに感染してしまい、5歳の誕生日を迎える前に命を落とすことになる。
・2001年には、サハラ以南のアフリカの国々のうち、10カ国で、少なくとも15%の子どもが両親あるいは片方の親をエイズ、またはほかの理由で亡くした。HIV/エイズによって孤児となった子どもたちは、虐待や搾取を受けやすく、自らもHIV/エイズに感染することが多い。
・世界でHIV/エイズにかかっている人の95%は、救命医療やケアを受けることができない。

HIV/エイズ感染者救援のためのアメリカ緊急計画について

ホワイトハウスが署名した法案では、アフリカとカリブ海諸国地域に対して、5年間にわたって年間30億ドルを拠出することになっていますが、これには抗レトルロウィルス薬、そのほかの治療が含まれています。新たに700万人がHIV/エイズに感染するのを予防し、少なくとも200万人に延命治療用の薬を使って治療することや、エイズに苦しむ何百万人へのケアも、この計画では視野に入れています。また、ホワイトハウスは2004年には「エイズ、結核およびマラリア対策のためのグローバル基金」に10億ドルを拠出することも可能となりました(必ず拠出しなければならないというものではありませんが)。今回の支援対象国は、ボツワナ、コートジボワール、エチオピア、ガイアナ、ハイチ、ケニア、モザンビーク、ナミビア、ナイジェリア、ルワンダ、南アフリカ、タンザニア、ウガンダ、ザンビアです。

  HIV/エイズの感染率が下がっている地域は、感染そのものを防ぐためのツールやインセンティブ(動機・意欲)が若者たちに与えられている地域だ、とベラミー事務局長は強調しています。「ウガンダ、ザンビア、カンボジア、ブラジルなどでは、ほかの地域に比べて、若者の間のHIV/エイズ感染率が著しく改善されています」感染率の上昇を食い止める一番有効な方法は学校です。
「教育によって、若者たち−特に女の子たちに−自らを、そしてコミュニティを(HIV/エイズの感染から)守るためのきちんとした知識とスキル、そして自信を提供することができるのです。若者たちは、自主的なカウンセリング、エイズ検査、治療などに抵抗感を持ちがちですが、そうした若者たちを恐怖、恥ずかしさ、差別感から解放してくれるのが教育です。また、教育だけが、平等な世界を生き抜くために必要な、経済的、社会的能力を与えてくれるのです」

  だからこそ、ユニセフは、政府、地元の指導者、先生、若者たちを支援し、学校や教育制度の改革を謳っています。学校が、読み書きを習う場だけに終わらず、この病気の感染拡大防止に役立ち、同時に、感染者を支援する場となるよう、参加を促しています。 

  ベラミー事務局長は、HIV/エイズの感染を低下させるために何をなすべきかについて、国際的な合意はすでにできていると言います。また、すでに世界の国々の大半が署名した合意書もできており、時間的な目標や戦略も盛り込んだ「ロードマップ」もできているのだ、と。国連エイズ特別総会の政治宣言「国連エイズ宣言」(2000年6月)、国連子ども特別総会の成果文書「子どもにふさわしい世界」(2002年5月)、ミレニアム開発目標(2000年9月)は、政府が2015年までにHIVの感染を止めるか、削減するという目標を掲げ、これをきちんと行動におこすことを課しているのです。

  しかし、資金と行動が至急必要である、とベラミー事務局長は強調しました。国連の推計では、年間150億ドルの資金が必要とされています。
「(HIV/エイズのために)50年かけて築き上げた進歩が、たった20年で水泡に帰した国もあるのです。余裕のないコミュニティでは、孤児になったり、エイズの大きな影響を受けている、何百万もの子どもたちのことまで目を配っている余裕がないのです。ましてや、感染予防までは手が回らない、と」

  「HIV/エイズの問題は、すべての開発目標に関係してきます。これらの目標を達成するには、避けて通れない問題なのです。約束を反故にしたり、資金をほかに回したり、必要とされる資源を出し惜しみしたりするのは、HIV/エイズ政策の失敗につながるばかりか、開発目標すべての失敗につながります。今日、行動をとらなければ、将来の危機を醸成することになります。HIV/エイズの行く末と、これが人間保障とどう結びついていくかは、私たちにかかっています。HIV/エイズとその影響から世界の子どもと若者たちを守れるかどうかで決まってくるのです」

ジュネーブ&ニューヨーク 2003年5月30日 (ユニセフ)

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