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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

≪2002年6月7日掲載≫

「チルドレン・アゲインスト・エイズ」クラブの活躍
子どもたちにもHIV/エイズのメッセージを伝える
<ガンビア>

 ガンビアでは、HIV/エイズと闘う子どもたちの運動が活発になっています。2001年6月、ユニセフ・ガンビア事務所の支援を受け、セント・テレサ上級基礎学校で11〜17歳の子どもが新しいクラブを結成しました。この学校があるセレクンダの町は、HIV/エイズ感染率が1%に達しています。「チルドレン・アゲインスト・エイズ(エイズと闘う子どもたち)」と名づけられたこのクラブは、半年間でメンバーが3人から200人へと急増しました。

 クラブのリーダーであるハリファ・アフメド(15歳)は、クラブがここまで成長したのはいくつか理由があると語ります。このクラブが誕生した直後、「ピープル・リビング・ウィズHIV/エイズ(HIV/エイズとともに生きる人びと)」の上部組織であるサンタ・ヤラのメンバーが学校に招待され、生徒全員の前で話をしました。メンバー自らの証言は感動的で、多くの生徒たちが涙を流しました。後でアフメドにこんな感想を語った子もいます。「今日までエイズにかかった人を見たことがなかった。でもいまは、エイズが本当にある病気だってわかったよ」チルドレン・アゲインスト・エイズはこのほかにも、クイズ大会やパントマイムコンクールを開いたり、人気ラップグループの「ダンス・ホール・マスターズ」と「レベリオン」を招いてダンスショーを開催しています。コンクールの賞品は、クラブ入会時に生徒たちが払った10ダラシ(0.6米ドル)の会費で買ったり、クラブの中心メンバーが地元企業を回ったりして集めました。たとえば地元のレストランは、入賞者のひとりにディナーを提供しました。また地元の民間FM局であるシティ・リミッツは、毎週日曜日の午後5時から1時間の生番組を放送していて、子どもたちやその親から絶大な人気を博しています。しかし最初のころ、この番組はHIV/エイズの議論が中心で、「まじめすぎて退屈」という評判でした。そこでチルドレン・アゲインスト・エイズは番組の趣向を変え、HIV/エイズについて聴取者からの質問を電話で受け付け、回答の合間に若手コメディアンが芸を披露するかたちにしました。コメディの内容は、若い人たちがおもしろがるものなら何でも自由です。

 チルドレン・アゲインスト・エイズは活動の手を休めることなく、近隣の学校にも新しいクラブを結成するよう働きかけています。生徒55名と教師3名は、隣国セネガルまで行って首都ダカールでクラブ作りを支援しました。2002年3月には、セネガルのレコール・ド・サクレクールに新しくできたクラブのメンバーたちが、バンジュルを訪問しています。彼らは国会議員や記者団と面談し、HIV/エイズのさまざまな問題について話し合いました。またチルドレン・アゲインスト・エイズのラジオ番組にも出演し、セント・テレサ上級基礎学校の生徒たちと気軽に意見を交換しました。

 チルドレン・アゲインスト・エイズのメンバーは中学生が中心ですが、その活動は上や下の学校にも影響を与えています。クラブの終身メンバーは、進学した先でチルドレン・アゲインスト・エイズの新しい支部を結成する責任があります。また小学校を対象にした活動もおこなっていて、14歳のメンバー、ゼナブ・ゴッドウィンは次のように説明しています。「小学校を訪ねて、子どもたちと話をする。こうしてエイズについて知識を持ってもらい、中学校にあがったら、すぐクラブに加われるよう準備をするんだ。」

 今や、チルドレン・アゲインスト・エイズは、学校に上がる前の子どもたちにも活動を広げています。2001年の世界エイズデーには、記念行事の一環として、ユニセフ・ガンビア事務所が地元アーティストと協力してHIV/エイズの絵本(ぬりえ)を作りました(添付のPDFファイル参照)。この絵本は、幼稚園児や教師のあいだで人気が高まりつつあります。

 小さい子どもにHIV/エイズの話をすることに対しては、まだ文化的なタブーが根強いと教師たちは言います。しかし絵本を使えば、子どもたちが興味を持てる視覚的な方法で、HIV/エイズの現実を知らせることができます。絵本は、HIV/エイズに感染した仕立て屋の話を、子どもにもわかるやさしい言葉づかいで語り、さらにHIV/エイズを予防するための簡単なメッセージも盛り込まれています。

 チルドレン・アゲインスト・エイズはウェブサイト(http://www.caagm.cjb.net)も作成しています。彼らは多くの子どもたちと連帯することを目指しており、将来はユニセフの支援を得て、地方の学校にも活動を広げ、地域のリーダーにも考え方を伝えたいと考えています。すでにガンビア大統領との面会の約束を取り付けました。

 2002年より、ユニセフの資金援助で年4回ニュースレターが発行されることになっています。またユニセフは、2002年12月までに、クラブを7校から全国63校に広げる支援もおこなう予定です。

バンジュル、2002年5月13日 ユニセフ

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