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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

≪2003年7月1日信濃毎日新聞掲載≫

がんばる「母親クラブ」が子どもの教育を実現
<ガンビア>

 「娘は私にいろんなことを教えてくれるんです。娘が文字の練習をしているのを見て、自分もやってみました。でも、右から左に書いてしまったんです」とサトゥは、笑います。「娘が、左から右へ書くんだって教えてくれました」ペンを取ると、サトゥは、紙に自分の名前をゆっくりと書いてみせました。

 ガンビアの貧しい農村地域では、昔からの考えや貧困から、特に女の子の教育に対する理解が進んでいませんでした。そのため、マムドファナ村の多くの母親たちも読み書きができません。しかし、今、こうした読み書きのできない母親達が、ユニセフの教育事業推進の大きな力になっています。

 母親たちはコミュニティで「母親クラブ」をつくり、子どもの教育を広める大切な役割を果たしています。例えば、女の子も男の子も学校に通い続けることの大切さを伝えたり、学校や教科書、制服の費用をまかなうために家庭の収入を増やす取り組みを行ったり、菜園を作って子どもの栄養改善に役立つ作物を育てたり。グループの数は、ガンビア全体で65にまで増えており、ユニセフは、様々なノウハウや、作物の種、家事の労働を減らす粉挽き機を提供するなどして、クラブの活動を支援しています。

 母親たちの積極的な活動によって、子どもたちの就学率はあがっています。マムドファナ小学校の1〜6年生に通う子ども(7〜15歳)の数は、2000年には男子117人、女子106人でした。2003年には、男子147人、女子153人にまで増えました。

 マムドファナ村の母親クラブでは、収入向上の活動で生まれた資金を銀行の口座に積み立てています。利子は、子どもの学費がまかなえない家庭への支援にあてられることもあります。

 「ここで生きていくためには農業しかありません。でも、昨年の干ばつでみな厳しい状況になりました」と母親の一人、ハワは話します。「ほかにできることがないから仕方ないのです。でも、学校に行った女の子たちは、私たちにはなかった選択肢を持てるでしょう」
 別の母親のファトゥも続けます。「子どもは、学校でいろいろ学んできます。娘は私によく言うんです。お母さん、家の中を清潔にしておかないと、病気になるのよって」
 サトゥも加わります。「読み書きができないなんて恥ずかしい思いを子どもにさせたくありません。だから、娘が私に名前の書き方を教えてくれたことを誇りに思っています。ええ、左から右にね」母親たちの表情には自信も生まれているようです。

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