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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2006年3月21日、ニューヨーク発>

生きるための闘い
<ハイチ>


ハイチの子どもたちは、生きのびるための過酷な闘いを続けています。5歳の誕生日を迎えられずに命を落とす可能性がある子どもが8人にひとり。水や医療、教育などの基礎的なサービスの不足に貧困や暴力の悪化が伴い、子どもたちは貧困と虐待の悪循環から抜け出せずにいるのです。

最新のユニセフの報告書、“チャイルド・アラート・ハイチ”では、ハイチの380万人の子どもたちの窮状を浮き彫りにし、同国の政府に対して行動を起こすよう求めています。「社会のあらゆる階層にはびこる暴力のために、持続可能な開発が妨げられています」とユニセフ・ハイチ事務所代表のアルベルト・ゴンザレス・レグエラル氏は語ります。

ハイチでは、紛争によって多くのコミュニティが壊滅的な被害を受けました。水も電気もなく、食料もほとんどありません。首都のポルトープランスだけでも、推定2,000人の子どもたちが路上で暮らしています。多くの子どもたちはエイズのために親を亡くした孤児ですが、家庭内での暴力から逃れてきた子どもたちもいます。このような子どもたちは、生きるために自分の体を売ったり、食料を求めて物乞いをしたり、武装集団の一員に加わるのです。

「こうした子どもたちには、ほとんどの場合、他に選択肢がないのです」とユニセフの子どもの保護担当官のンジャンジャ・サッスは語ります。「彼らは武装グループに加わるように強制されるか、または家族とのつながりがないために、自ら武装グループに入ることを選ぶのです」

子どもたちを中心に

報告書では、暴力が国の将来にとって最も大きな脅威のひとつであると述べています。保護的な環境がなければ、子どもたちは学習の機会をますます失い、病気や栄養不良にかかりやすくなり、自分たちを過小評価し始めるようになります。その結果、生産的な市民や将来の指導者になるための成長が妨げられていくのです。

ハイチでは、子どもたちの半数しか小学校に通っておらず、中途退学−−特に女子の中途退学−−が増加しています。そこでユニセフでは、子どもたちを学校へ戻してあげることを優先課題としています。なぜなら、そうすることによって、暴力や搾取、虐待から子どもたちを保護することができるからです。しかし、実際のところほとんどの家族は、授業料を払えるだけの余裕がありません。

“チャイルド・アラート・ハイチ”は、子どもたちの問題を国家の政治課題の中心にしてほしいという訴えで締めくくっています。最近行われた選挙によって、望ましい変化に必要な安定がもたらされることを期待して、報告書ではハイチの新しい大統領、ルネ・プレバル氏のコメントを歓迎しています。

「子どもたちを路上に留めておくことはできません」大統領は、フランス通信社(AFP)とのインタビューのなかで述べました。「子どもたちの手から武器を取り上げ、ペンと本に変えてあげなければならないのです」

2006年3月21日
ユニセフ本部 ジェーン・オブライエン

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