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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

ハリケーン「ミッチ」から10年。ホンジュラスを再び襲う自然災害

【2008年10月27日 ホンジュラス発】

© Honduras/2008

ハリケーン「ミッチ」から10年。ホンジュラスの子どもたちは、再び自然災害の脅威に見舞われています。

激しい熱帯暴風雨とハリケーンが頻発するホンジュラス。ハリケーン「ミッチ」がホンジュラスを中心に中米諸国を襲い、甚大な被害をもたらしたのが、偶然にも丁度10年前の1998年10月。その記憶を呼び覚ますかのように、自然災害が再びホンジュラスを襲っています。

ここ数日間で、激しい風雨による深刻な洪水被害を受けた人は約20万。うち2万人は、自宅を捨て避難所での生活を余儀なくされました。被害を受けた人々の半数が子どもたちです。

ユニセフは、医療キット、毛布、そして、今回のような自然災害の発生直後に広がりやすい水を媒介にした疾患を予防するための衛生キットなど、何千箱にものぼる支援物資を被災地の人々に提供しました。しかしながら、まだまだするべきことが山積しています。ユニセフは、国際社会に更なる支援を求めています。

周辺諸国では7万人が被災

グアテマラ、ニカラグア、エルサルバトル、コスタリカ、ベリーズなど、ホンジュラスの周辺の国々でも、洪水による被災者は7万人にのぼっています。中米諸国に大きな被害をもたらしている今年のハリケーン・シーズン。特にハイチとキューバの2国は、壊滅的な影響を受けています。ハリケーンにより広範囲に生じた作物の被害は、既に世界的に進行していた食糧危機の影響を更に深刻化させています。子どもたちと妊婦の栄養状態の悪化が心配されています。

今年の豪雨は、10年前、1万人の命を奪ったハリケーン「ミッチ」の恐ろしい被害を呼び起こすものです。300万人の人々が家を失い、深刻な影響を受けました。この地域の国々が、それまで50年掛けて築き上げたものが一瞬にして失われたのです。「ミッチ」や今回のハリケーンが、それぞれの世代の子どもたちに及ぼしている影響の深刻さは、想像を絶するものです。

10年前の「ミッチ」は、過去200年以上の間に西半球を襲ったハリケーンの中で、最も被害をもたらした台風となりました。このハリケーンは、ホンジュラスの景観を大きく変えてしまいました。山は崩れ落ち、町という町が、ほとんど姿を消してしまいました。

今回、ハリケーンがホンジュラスを襲う直前、ユニセフ現地事務所のスタッフは、「ミッチ」が子どもたちの生活をどのように変えてしまったのかを調査するため、南部のニュー・モロリカを訪問したばかりでした。

復興への努力から生まれた「備え」

© UNICEF/ Honduras/2008

「ミッチ」によって完全に破壊された町の一つ、モロリカの町に再建された小学校の整理整頓が行き届いた教室では、子どもたちが分数を習っています。」

11歳から12歳の児童でいっぱいの、きちんと整頓された教室には、国中をずたずたにしたハリケーンの傷跡を少しも感じさせません。子どもたちは、複雑な分数を静かに解いていています。算数の先生は、女の子に、前に出て黒板に答えを書くように言いました。

子どもたちは皆、ここの生活が気に入っているようです。「ここは、穏やかです」と、ルイ・アントニオ・モリロさんは話します。

「素晴らしい公園と新しいスポーツ運動場もできました。以前は、子どもたちは野球チームも作れませんでした。ですから、子どもたちは、この“新しい”モロリカの方が好きなんです。」と、ジョレス・カリさん。ジョレスさんは、「ミッチ」に襲われたモロリカには、ひとつの家屋も残っていなかったと言います。

当時の市長、ラモン・エスピナルさんは、あの晩のことを思い出してこう話します。「わたしにとっては、忘れられない出来事です。子どもたちの泣き声が耳に残っています。人々が、『何もかも失った』と言っているのを聞きました。」 被災後1年も経たずに、モロリカの再建が始められました。ユニセフは、安全な飲料水供給システムを設置しました。このシステムは、今でも使われています。ユニセフはまた、学校活動の再興のために椅子、机、教科書などを提供。被災した子どもたちのための心理社会的カウンセリングも支援しました。

「『ミッチ』を経験した私たちには、もう恐れるものなどほとんどありません。モロリカが、私たちの尊厳の象徴になったのです。」

エスピナルさんは、今でもモロリカに残る荒廃の中から突き出ている倒壊した教会の尖塔を見つめながら、こう語りました。

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