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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

グジャラート州の努力:もっと女の子を学校へ
<インド>

インド西部にあるグジャラート州の村バラパール。今日はすっかりお祭り気分の1日です。

村に続く道路には色とりどりのバナーが掲げられ、旗が風にたなびいています。子ども、親、コミュニティの人たち…みんなが、色鮮やかな伝統衣装を身にまとって、ユニセフの支援で建設された新しい学校に集まっています。

今日は新しく入ってくる子どもたち…特に女の子…の入学をお祝いするための特別の日、シャーラ・プラヴェシュ・ウトゥサヴ(入学式)なのです。

最近の統計によると、グジャラート州の識字レベルは、男女差が大きく、全男性の80%が字を読むことができるのに対して、なんと、全女性の識字率はたったの58%なのです。また、過去10年の間の識字率の伸びは、インドのほかの州では14%なのに対して、グジャラート州ではたったの9%。

そこで、グジャラート州政府は、2003年をキャンペーン期間に設定し、子どもたち全員(特に女の子)を、小学校に入学させることを目標にしました。

2週間にわたる長期キャンペーン・プログラムが立てられ、長官は、アピールを出し、女の子を学校に通わせるよう訴えました。また、地区の中で女性の識字率が20%を切る村が洗い出され、女の子に重点を置いた対策が取れるように「対象」を定めた形をとりました。

州政府全体を巻き込みながら、新学期がはじまる前に、地区の役人や教育担当官たちとのビデオ会議が開かれ、メディアの注目も浴びられるように工夫しました。

6月13〜15日にかけては、上級の大臣や官僚たちが、村に出かけ、コミュニティの人びとを動員しながら、子どもたち(特に女の子)を学校に通わせるよう説得しました。その結果、157,562人あまり(75,847人の女の子を含む)がこの3日間に入学したのです。

シャーラ・プラヴェシュ・ウトゥサヴはこの広報キャンペーンの最後を飾るもので、6月の第2週に始まる新学期に合わせて行われました。先生たちに手伝ってもらって、子どもたちがお祝いの席を盛り上げます。村では、入学する子どもたちを増やすために祝宴が催されました。戸別訪問の形で、年長の子どもたちが、家々を回り「子どもたちを小学校に入学させよう」と呼びかけます。ほかに、この運動を周知させるための集会も行われました。

ユニセフは子どもたちのワークショップを開き、キャンペーン中に使用するポスターを子どもたちに製作してもらったり、別途、NGOと州の教育部門との調整ミーティングを進めて、学校に通うべき子どもたちについての情報を共有しました。

ユニセフのグジャラート事務所は、「万人のための教育」を達成するためにがんばっている州政府を積極的に応援しています。

さらに、グジャラート州は、2001年に起きた大規模地震の震源地に近かったため、家も建物もほとんどが破壊されつくされましたが、この地域の学校の再建にもユニセフは重要な役割を担いました。

バラパール小学校の校長先生、ラメッシュ先生の証言では、昔、この地域で学校に来ていた女の子は、たったの2人だったそうです。それが今では、男の子55人に対して、30人にまで増えたといいます。

80歳になるラーキー・ベンによると、昔は伝統的に女の子は学校に通う必要はない、と言われていたそうですが、今になってみると、どれほど教育が大切かが分かったと言います。

村長のデヴジ・バーイは、バラパールでも誇れるとても魅力的な校舎ができたこと、校庭も備わり、教師用・生徒用の教材も揃った学校ができて、ユニセフにとても感謝していると述べました。教育の大切さをコミュニティの人たちに理解してもらうには多くの時間が必要だったが、子どもたちを学校に通わせない理由として貧困を挙げてはならない、と彼は述べました。特に女の子を学校に通わせない理由としてこれを挙げてはいけない、と強調したのです。

村長は、女の子の教育を促進するためにグジャラート州政府がどのような努力をしてきたかを紹介しました。無料の教科書、学校でかかる費用の免除、小学校を修了できた女の子に対する金銭面でのインセンティブなどを挙げました。

子どもたちにとって母親がどれほど重要な存在かを認めた上で、村長は、子どもたち…特に女の子を…学校に通わせる責任は自分たちにもあるのだ、と述べました。

ユニセフが支援するプロジェクトの中で、一緒に仕事をしている役人のナレシュ・パルマールは、これまでの前進を認めながらも、就学だけに目を向けるのではなく、女の子たちの退学を防ぐ努力も、もっとしなければならない、と説きました。これは政府そしてユニセフが共通して抱いている目標でもあるのです。

2003年9月10日
インド、グジャラート州
バラパール/ラジャスリ・ラオ

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