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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち/ストーリーを読む

マラウイ:栄養不良の改善は各家庭から

【2008年10月21日 マラウイ発

ブレンダちゃん(2歳)はマラウイのチワンバ保健センターに行くまで、1年以上慢性的な栄養不良だった。
&UNICEF Malawi/2008
ブレンダちゃん(2歳)はマラウイのチワンバ保健センターに行くまで、1年以上慢性的な栄養不良だった。慎重に管理されたケアの下、ブレンダちゃんは、現在元気を取り戻している。

アンナ・ジュンベさんは、1歳2ヵ月になる娘の具合がいつも悪いのはなぜなのかと悩んでいました。あれやこれや治療を試してみるものの、どれひとつとしてうまく行かず、ついにアンナさんは、10キロ離れたチワンバ保健センターまで、歩いて行くことにしました。チワンバ保健センターで、アンナさんの娘のブレンダちゃんは、急性栄養不良であると診断され、入院して栄養リハビリテーションプログラムを受けることになりました。

「ここに来て、7週間になります」と、アンナさん。「娘は、食べたり遊んだりすることができるようになりました。ブレンダは、元気を取り戻し、回復しつつあります。」

ブレンダちゃんは、現在2歳6ヵ月。治療を受けるまでは、1年間以上慢性栄養不良状態だったのです。幸運にも、ブレンダちゃんは、回復に向かっています。しかし、チワンバ保健センターの医療助手、ラクソン・ムボウェラさんが言うように、栄養不良の防止は、家庭やコミュニティから始まります。

「栄養不良の主な原因は、—— 家庭で十分な食事ができないということ以外に—— 調理の仕方が悪い、乳児にどのような食事をさせたら良いか、その知識がないこと、そして、卵など、特定の食物を子どもに与えてはならないという伝統的な慣習があることなどです」と、ムボウェラさんは話します。

健康監視員(HSA)

そこで活躍するのが、健康監視員(HSA)です。HSAは、子どもがかかり易い病気の中でも予防可能な疾病と最前線で闘っている人たちのことを言います。研修を受け、給料を貰いながら働くアウトリーチ・ワーカー、つまり村々まででかけて人々の健康状態をみる人たちのことを言います。

チワンバ保健センターを拠点として、41人のHSAが、周辺地域に暮らす6万3,000人の人々を診ています。HSAは、1ヵ月に2度、村々を訪れ、チェックリストを携えて、幼い子どもたち用のRUTF(Ready to use therapeutic food= すぐに食べられる栄養補助食品)が十分にあるかどうか、母親たちに尋ねまわります。また、母親たちには、母乳育児の方法や、赤ちゃんたちが元気に育つためにはどういうふうに食事を与えたら良いかなどのカウンセリングも行います。

チワンバ保健センターの栄養プログラムは、200 の保健センターが行っているより広範囲な活動「コミュニティ・栄養治療ケア」の一部で、RUTFを使って栄養不良の子どもたちを自宅で治療しています。この事業に参加している保健センターは、マラウイの28地区のうち21地区にあります。ユニセフは、新たに6つの地区でも、このプログラムを推進する予定です。

家庭での食糧確保

HSA(健康監視員)のマダリツォ・チャデワさん。
&UNICEF Malawi/2008
HSA(健康監視員)のマダリツォ・チャデワさん。栄養不良の子どもたちの治療と予防活動をチワンバ地区で行っている。

ユニセフは健康監視員の研修を支援し 、栄養管理、栄養不良の治療ガイドラインの配布、モニタリング、監視、データ管理などの研修を実施しています。

200 のセンターでは現在、年に4万人の栄養不良児の治療にあたっています。本プログラムが27の地区に広がれば、5万人の栄養不良児を治療できることになります。

「私の仕事は、子どもたちの健康状態を知ることです」と、HSAのマダリツォ・チャデワさんは話します。「どんな生活をしているか、食糧は十分にあるか。あるとしたら、カウセリングを行って食事を十分に採るよういい、ないとしたら、何が必要で、それを手に入れられるかどうかを検討します」

マラウイでは、ほかの国と同様、農業の収穫のできは降雨のいかんによって変わってきます。家庭での食糧確保は、季節的な収穫に大きく依存しているのです。ジュンベさんの夫、サムソン・チャッザさんは、2月から3月が一番食糧が手に入りにくいと言います。この間は、穀物倉庫はほとんど空になり、5月の収穫期を待たなければならない状態なのだ、と。

食べたり売ったりできる野菜

「今年は20袋分のメイズがとれました」とチャッザさん。「家庭菜園もやっていて野菜も植えました。とれた野菜は自宅で食べたり、市場で売ったりできるのではないかと思っています」

チャッザさんの今年の収穫は、政府が2005年に始めた肥料と種による助成プログラムのおかげで、ほかの家庭よりずっと多くなっています。メイズを売って、その分で鶏を飼うことにしようかと思っています。

HSAのチャデワさんの仕事は、チャッザさんの計画が予定どおりにゆき、娘のブレンダちゃんが健康に育つことを見守ることなのです。

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