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公益財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

マラウイ:
『障がいに関するアフリカ・リーダー・フォーラム』初開催
障がいとともに生きる人々の権利向上へ

【2014年2月10日 マラウイ・リロングウェ発】

© UNICEF/MLWB2010-331/SHEHZAD NOORANI
知的障がいのあるマラウイの女の子。

初の開催となった『障がいに関するアフリカ・リーダー・フォーラム』。参加した政府や市民社会、開発関係者が、アフリカ開発アジェンダに積極的に関わることで、障がいのある人々に対する偏見や格差に取り組むことに合意しました。障がいのある人々、特に知的障がいのある人々の権利向上に、大きな前進が期待されます。

このフォーラムは、知的障がいに関するアフリカ・リーダーシップ同盟を結ぶことで、特に保健、人権、教育などの分野における障がい者の権利を向上させる機会を作るため、マラウイ大統領のジョイス・バンダ氏とスペシャルオリンピックスによって開催されました。アフリカの障がいのある人々の全員参加、公平性と地位の向上を目標に定め、「第2次アフリカ障害者の10年」(2010−2019年)などの取り組みに足並みをそろえようとしています。

ジョイス・バンダ大統領は、「知的障がいを含め、障がいとともに生きる人々が直面する苦境の背景には、何世紀にもわたって不当に定着してしまっている偏見があります。周囲の環境によって学校へ通えない、あるいは医師の訓練不足によって病院に通えない子どもたちへの対策や、社会サービスをより使いやすくするための社会政策の強化などの課題に取り組むよりも先に、障がいとともに生きる人々に対する偏見を過去のものにしなくてはいけません」と、開会の言葉を 述べました。「これらの偏見に対し、積極的で慈愛に満ちた方法で取り組まなければ、底が抜けたバケツに貴重な水を注ぎ続けることと同じです。政治的な意思と、持続的な関与が必要不可欠です」

© UNICEF/Marco Dormino
障がいとともに生きるハイチの子ども

障がい者の権利を推進するマラウイのバンダ大統領は、就任後数週間のうちに国内の障がいとともに生きる人々のための包括的な政策や平等な権利を法定化し、重要な位置づけとなる、障がい者法を可決しました。

2006年に採択された国連障害者権利条約(CRPD)は36のアフリカの国で批准されています。この条約が目指すものは、すべての障がい者がもつ人権および基本的自由の完全かつ平等な享受を推進、保護、確保することと、彼らが生来もつ尊厳に対する尊重を促進することです。多くの国が、個々の能力を持った人々の人権保護を強化しインクルーシブな教育の実施に向けた政策の整備をしたり、独自の障がい者法案を可決しました。しかし、それらを現場で実施するためには、さらに多くの取り組みが必要です。

知的障がいのある人々に対して、十分な取り組みをしている国は、世界のどこにもありません。コミュニティに重点を置き、差別や人権の剥奪に対する理解を人々の間で深めることによって、アフリカは、知的障がい者の人権や社会サービス、インクルージョン(誰もが受け入れられる社会)を促進させる、リーダー的存在になることができます。バンダ大統領は、アフリカがインクルージョンという世界的動向を率いる立場に立つ手段として、アフリカ・リーダーシップ同盟を考案しました」と、スペシャルオリンピックス会長のティム・シュライバー氏が語ります。

マラウイのデータによると、少なくとも約20万人の子どもたちが障がいと共に生きていると推測されます。

© UNICEF/Shehzad Noorani
シリア・ホムスの学校にて、障がいとともに生きる女の子も、同じ教室で一緒に学んでいました。(シリア危機が発生する前、2006年に撮影された写真です)

「障がいのある子どもたちのインクルージョンを実施するには、人々の認識を変える必要があります。障がいのある子どもたちは、守られるべき人権があり、彼らの声や積極的な参加が社会全体を向上させるという理解が必要です。障がいのある子どもたちが区別されるのではなく、社会の一部となる必要があるのです」と、ユニセフ・ケニア事務所代表カニャンコレ・マルセル・ルダシングワが述べます。「そのための取り組みは、子どもたちが生まれた時点から始める必要があります。子どもたちが誕生時に出生登録や栄養診断を受けることで国民として存在が認められなければ、子どもたちがどこにいるのか知ることも、子どもの生存や成長の支援をすることも、子どもたちが必要なサービスを受けることも困難になってしまいます」

多くの国で幼児期の教育やサービスの拡大により、介護士や教師に診断などの技術訓練の機会を提供されています。障がいを早期に診断することによって、両親は障がいに関する知識を深めることができます。また、障がいのある子どもを家庭で育てるにあたり、財政的および時間的負担を軽減させる特別なサポートを受けることができ、その後の治療に有効だということが証明されています。

終日行われたフォーラムの閉会にあたって、下記の提言が採択されました。

・サービス利用のモニタリング、課題の特定、遺伝や環境的要因に起因する障がいをタイプ別にしたより詳細な情報など、より正確なデータ収集へ向けた 取り組みの実施。

・国内の政策や法律の立案に対する進展状況を追うことが可能であり、取り組みの成果の測定が可能なよりよい目標を明示すること。

・知的障がいを含む、障がいのある子どもやおとなの生活を向上させるため、より多くの資源を確保し、公平に分配する。

・ポスト2015年開発アジェンダで障がいに関する問題が公平に取り扱われ、表記されることを確かなものにするため、障がいのある人々の政策への関与の強化を含め、多部門の関与を求める。

・「アフリカを率いるリーダーに私が進言することができるなら、子どもたちを取り残された存在のままにしないで下さいと伝えたいです。知的障がいのあるアフリカの子どもたちは孤立し、目に見えない存在になっています。子どもたちをインクルージョンし、日のあたる場所に出してあげる必要があります」と、2005年からスペシャルオリンピックスのアスリートでもあり、マラウイ・スペシャルオリンピックスの委員を務めるマハソ・チプワニャさんが語りました。

【参考情報】

・障がいに関するアフリカ・リーダー・フォーラムはアフリカの11の国の政府高官とアフリカ開発銀行、アフリカ連合、カトリック救援事業会、マラウイの障がい団体連合、世界赤十字、ライオンズクラブ国際財団、国連共同エイズ計画、ユネスコ、ユニセフ、世界銀行などの最高責任者もしくは上級代表者が出席しました。このフォーラムは、2011年世界保健機構と世界銀行による「障害に関する世界報告書」、2012年アフリカ障がいに関する国連協議会、2013年「障害と開発に関するハイレベル会合」で示された、障がいのある人々が直面している不平等や社会的疎外に対する認識を高めるためにマラウイ大統領が主催しました。フォーラムのパートナー団体にはゴリザーノ財団、ライオンズクラブ国際財団、ユニセフが含まれています。

・スペシャルオリンピックスは、世界中で改革をもたらすことをも可能にするスポーツの力や喜びを通して人間の精神を解き放つ国際組織です。スポーツや健康、教育、コミュニティ構築の活動を通し、スペシャルオリンピックスは知的障がいを持つ人々を支援し、エンパワメントを行うことで、不公平や社会的孤立に取り組み、より包括的で友好的な社会をもたらすことを目的としています。1968年にユニス・ケネディ・シュライヴァー氏によって設立され、数百人のアスリートから始まった活動は現在、170の国の420万人以上のアスリートにまで広がっています。100万人以上のコーチやボランティアの支援を受け、32のオリンピック競技種目に準じた様々なトレーニングや競技の場を提供し、年間を通して7万以上のイベントを実施しています。

『世界子供白書2013』−障がいのある子どもたち(動画)

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