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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2001年8月27日 信濃毎日新聞掲載>

知識は困難を解決する原動力
<モーリタニア>


 「子どもを小学校へ行かせたいの」と力強く語るマリアムは28歳。アフリカ・モーリタニアの農村地帯にあるカエディ村の、女性グループのリーダーです。夫を3年前に亡くしたマリアムは菜園で野菜をつくり、市場で売りながら収入を得て8人の子どもを育てています。マリアムの子どもたちは、家の仕事を手伝うため小学校へ行っていません。

 カエディ村はモーリタニアの首都ヌアクショットから350キロ南にあり、村の中を流れるセネガル川に添って田んぼが点在しています。田んぼのまわりには小さな菜園がたくさんつくられています。マリアムの菜園もそのひとつです。

 「子どもに手伝ってもらわないと大変なんだけれど、子どもは勉強することが大事よ。菜園をやっていてそう思ったの。私たちの菜園は田んぼの水をつかわせてもらっているんだけれど、田んぼへの給水が収穫前に止められてしまうの。

 田んぼの水がなくなると困ってしまうって水管理委員会に何度お願いしても、かんがい施設は田んぼ専用で、菜園のためにつくられたものでないと言われてしまうし。菜園を始める時に協力してもらったユニセフのスタッフに相談して、みんなでその解決法を考えることにしたんだけれど、たまたま小学校を卒業して、読み書きや計算ができるということで私がグループのリーダーに選ばれたの。

 『かんがい施設の管理になぜ私たちは参加できないのか』という意見まで出たりしたけれど、すぐに解決できる問題じゃないことがわかって、断水期間を短くしてもらったり、菜園で水が困らないように便宜をはかってもらえることになったの。こうした活動を通じて感じたのは教育の重要性だったわ。知識の大切さも痛感したの。田んぼのことや、かんがいのことを理解していないと話し合いはうまくできないし、お願いしたいことがきちんと伝えられないんですもの。だから思ったの。自分の子どもには絶対教育を受けさせようって。たくさん野菜をつくってたくさん売って子どもたちを小学校に行かせたい」

 学齢期の子どもにとって、小学校で教育を受けることは「権利」です。生きていく上で大切な知識や価値を身につけることは、マリアムのように困難なことに立ち向かい、改善してゆく原動力になるからです。

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