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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<信濃毎日新聞 2003年12月2日掲載>

発達センターで住民参加の芽
<ネパール>


子ども発達センターに通う子どもたち ネパール西部タナハン郡にあるドゥリガンダ村。村を走る1本の幹線道路があるほかは、急こう配の丘にひそむように存在しています。夕方になると、親や祖父母はみな子どもたちを子ども発達センターへ迎えに丘を登ります。子ども発達センターでは親が働く日中の間、子どもたちが学ぶことのできる場です。
 子ども発達センターができる1年前までは、子どもたちは昼間も段々畑で働く大人たちの後ろをついていくだけでした。ユニセフと協力して活動しているNGOがこのセンターのことを村に紹介したとき、村人は目を輝かせました。村の退役軍人であるプンは「これは地域の力をあわせて子どもたちによりよい環境を提供するためのチャンスだ」と考えました。

 プンの働きかけにより、住民がボランティアを申し出たり、寄附をするなどし、総勢883人の村人がセンター建築にたずさわりました。ユニセフはセンター建設に128ドルの資金を提供しましたが、村人たちも256ドル、地方政府も128ドル出資しました。

 センターによって何が変わったのか、「時間だね」と、孫をセンターに通わせるドゥンガナは言います。「われわれのように農業をやっている者は、畑にでて仕事をしなければいけない。センターができてようやく子どもを安心できる場所に預けられるようになったよ。この間は、孫に『食事をする前には手を洗いましょう』って教えられたよ」

 また、村近くの川沿いに住む季節労働者の子どもたちにとっては、子ども発達センターが唯一、通うことのできる学校です。

 このセンターを作ったことによる一番の変化は、地域が開発に対して動き始め、住民が参加するようになったことかもしれません。プンは言います。「村にいる若い人も年をとった人も、村の発展のために協力して活動するようになった。村の若者は文化活動を積極的に始めるようになり、今は毎週カルチャーショーを開催している。私たちの願いは若者にとってよい社会を作ること。子ども発達センターはそのきっかけになったんだ」

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