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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2005年1月11日信濃毎日新聞掲載分>

女性による「地域開発計画」
<ネパール>


村の情報掲示板を使いながら村の状況を説明する女性リーダー ネパール南部のタライ平野に位置するアクバプール村。インド国境に近く、ブッダの生誕地で有名なルンビニから車で1時間ほど離れた、周囲に水田が広がる農村です。ネパールは人口の半数近くが1日1ドル以下の生活をしており、過去10年で大幅に改善されたものの、依然1,000人あたり82人が5歳未満で亡くなっています。アクバプール村はこの地域で最も貧しく、ほとんどの家庭が低カーストの出身で経済的にも厳しい暮らしをしています。
 村の集会所には多くの女性が集まっています。緑色のきれいなサリーを着た女性リーダーが、小さな黒板を使いながら「1歳未満児の数は45人」「予防接種を受けていない子どもはなし」「トイレは今16世帯で建設中」と村の現在の状況を説明しています。

 村では4年前、だれもが健康で快適に生活できるようにと、住民による“開発計画”づくりがスタート。村の女性グループが中心となり、ユニセフがこの動きを支援しています。まずはグループの中から選ばれた女性リーダーが、計画策定のプロセスや保健、栄養、衛生などの基礎知識の研修を受けました。そして、リーダーを中心に村内の現況調査を行いました。

 その結果、予防接種を受けていない1歳未満児は16人中4人、妊産婦検診の受診者はゼロ、6〜9歳の女児で学校に通っているのは17人中5人、トイレのある世帯はなく、ゴミ捨て場もない−といった、村のさまざまな状況が明らかになりました。

 4年前、村の子どもたちは3人を除いて全員が栄養不良でした。そこでグループは子どもたちの栄養状態に関する調査で問題点を洗い出し、それを受けて対策を進めました。今ではメンバーの子どもたちも1人を除いてみんな健康です。今後はグループ外にも、栄養に関する知識をどんどん広げたい、とリーダーはいいます。

 住民が自力でできないことに対しては、ユニセフや自治体、NGOが資金や技術面で協力しました。この4年間で、それまでなかった幼稚園と小学校が1つずつ作られ、学校に行っていなかった10〜14歳の子ども向けに再教育プログラムも始まりました。共同で野菜を仕入れる農民グループや、緊急基金を貯蓄するグループもできました。

 村の12歳の女の子、リタは「教育を受けて、ものごとをきちんと考えられるようになりたい」と将来の夢を語ります。女性たちの熱意がこの村の発展を支えています。

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