メニューをスキップ
HOME > 世界の子どもたち > ストーリーを読む
財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

2002年6月10日 信濃毎日新聞掲載

教育や保健の復興本格化
<ソマリア>

 10年以上にわたり紛争が続くアフリカ北東部の国、ソマリア。混乱の一番の犠牲者は、教育や保健など基礎的な社会サービスを十分に受けることのできない子どもたちです。長引く紛争の結果、校舎や保健施設が破壊されたほか、教員や保健員の多くが国外へ難民として避難したため、小学校就学率は14%程度にまで低下、はしかの予防接種を受けられる子どもは4人に1人という窮状に陥っています。

 それでも将来への希望はあります。一昨年10月には選挙の結果を受けて暫定政権が発足、比較的情勢が安定している地域を中心に教育や保健の復興に向けた動きが本格化してきました。

 ユニセフは教育の復興支援の一環として、教科書の製作と配布を全国規模で行っています。教科書にはユニセフが支援したカリキュラムの改訂が反映されています。「教育は子どもを中心に考えて行われるべきで、子どもの活発な参加が重要なのです」とユニセフ・ソマリア事務所の教育担当官ジータ・ベルマは言います。

 各地でワークショップを開き、カリキュラムに関するさまざまな意見のヒアリングを行いました。「こんなに色鮮やかで絵がたくさん入った教科書ははじめて!」と、新しい教科書を手にした子どもが喜びを表しています。ユニセフは今年4月までに1年生から4年生まで全国の小学生20万4千人に対する教科書の配布を終えました。

 また、紛争中、教壇から離れていた教員5400人に対する研修も重要なユニセフの支援活動です。教員は改訂されたカリキュラムの内容や子ども中心の教育方法など、約20日間に及ぶ研修を受けます。「研修に参加している教員は、新しい教科書を使った授業に非常に熱心です」。研修プログラムを立案したユニセフのジェニー・サザーランド担当官は、子ども中心の新しい教育方法の導入に手応えを感じています。

 ソマリア暫定政権は、先月、米国ニューヨークで開かれた国連子ども特別総会の期間中に、子どもの権利条約の署名をしました。一日も早く紛争が終わり、すべての子どもが安心して学校に通える日が来ることを目標に、ユニセフの地道な活動は続きます。

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る