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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<信濃毎日新聞 2005年7月19日掲載分>

兄弟が一緒に暮らせる幸せ
<スリランカ>

ユニセフのソーシャルワーカーと遊ぶニシャンティーニとその兄弟

 兄弟は子犬がじゃれあうように遊んでいます。口げんかが始まることもありますが、そんな時も、心の中では自分たち兄弟が一緒に暮らせることに感謝しています。

「時々、弟や妹に腹が立つこともあるけど、またみんなが一緒に暮らすことができて本当にうれしいの」。12歳のニシャンティーニは話します。彼女には2人の弟、3人の兄、5歳になる妹と赤ちゃんがいます。 

子どもたちはスリランカ東部に位置するバッティカロア地区から来ました。津波によって家が崩壊し、両親をなくしました。はじめは叔父が彼らを引き取ってくれましたが、叔父一人の手におえなくなり、それぞれが遠い親戚などに別々に預けられました。ニシャティーニは孤児院に入れられました。

今こうして彼女たちが家庭でともに生活できるのは、ユニセフのスタッフが、スマトラ沖地震・津波によって孤児となった子どもたちのために新しく国営の里親制度を創設する支援をしたからです。
バッティカロア地区には津波で両親を失い、親戚もいない子どもたちがおよそ650人います。現在、この地区に住む40人の人々が合法的に里親となって85人のこどもたちを世話しています。

引き離されてしまった兄弟が一緒に暮らせるようにするために、ユニセフの職員2人が政府の職員とともに、それぞれ預けられた先を懸命に探したところ、なんとか兄弟全員がみつかりました。そして子どもたちは、心やさしい叔母のテビアさんと一緒に暮らすことを望みました。 

テビアさんには10代の息子が3人いますが、この兄弟をひきとることは自分の責任だと感じ、彼らの里親となることを決めたのです。「ばらばらにするのはひどすぎる。この子どもたちはもう十分すぎるくらい苦しんだのよ。」

ニシャンティーニは学校に通うのが好きで、テビア叔母さんと一緒に勉強するのも大好きです。テビアさんは育ての母として子どもたちが教育を受け、よい仕事につくことができるよう願っています。「彼らの両親は彼らが教員や医師になることを夢見ていました。私はその夢をかなえてあげたいの」

この自然災害は945人の子どもを孤児に変え、3,464人の子どもの、父か母のどちらかを奪いさりました。これがスリランカ政府と支援団体に大きな挑戦をもたらした背景です。さらには、津波は既に両親を失っていた554人の子どもを襲い、1,920人の父子または母子家庭の子どもたちにも被害を与えました。

しかし、このような子どもの大部分はコミュニティで世話を受けており子どものケアセンターで生活する子どもは50人以下となっています。この注目すべき成果はスリランカ政府とユニセフの緊密な協力体制によるところです。

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