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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

看護婦さん 精神的な支えも
<スーダン南部>

スーダン南部のアクムクム。道も電気も安全な水もないこの地域に、現在、約4万人の人々が住んでいる。昨年初めに近くで大きな戦闘が起った後、何千人もの避難民が逃げ込んできたのだ。さらに悪いことに、昨年は雨がなかなか降らず、人々は深刻な食糧難に直面している。

ジョイ・ジェイムス・ケニー(27)は、ウガンダ出身の看護婦。ユニセフがNGOと協力して始めたアクムクムにあるキャンプで、家族とはぐれてしまった約700人の子供たちの世話をしている。子どもたちにとっては母親代わりだ。キャンプの子どもの多くは、親や親せきの行方がわからない。

ウォールは、3歳か4歳。膨れたおなかをしながら恥ずかしそうに、しかしきびきびと歩いている。「かばんのなかに何が入っているの?」彼は聞いてくる。「何か食べ物が入っている?」。ウォールはこの世にたった一人きり。両親は二人とも死んでしまった。「一度でいいから、本物のボールで遊んでみたいな」とウォールはいう。しかし、ボールはキャンプ全体でたった一つしかない。また、ウォールは年上の子どもと遊ぶには小さすぎる。「ウォールは自分に起っていることを本当には理解できていない」とジョイが言う。「そのうちだれかが彼を迎えにきてくれると思っているんじゃないかしら」

12歳のボルも、一人ぼっち。両親と兄弟が死んだ後、近所の人が彼の世話をしてくれた。「でも状況が悪くなって、僕を追い払ったんだ」とボルは言う。ボルは三日間森の中を歩き続けてキャンプにたどり着いた。「僕は喜んで学校に行くよ」とボル。しかし彼は今までに1日も学校に行ったことがない。

ジョイは1日に2回キャンプへ行く。子どもたちを診察してまわり、医薬品を配る。小さな子どもたちの皮膚病のために軟膏(なんこう)をぬる。赤ん坊の体重と身長を測る。「キャンプの子どもたちは私を独り占めしたがる。とても悲しい思いをしたから、子どもたちには精神的な支援も必要なのです」

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