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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

故郷の平和のため勉強続ける
<スーダン南部>

1983年、アフリカで最大の国土を持つ国スーダンは、非ムスリム勢力「スーダン人民解放軍(SPLA)」と政府軍との間で内戦がぼっ発し、戦場となった南部地域では多くの民間人が犠牲となりました。

戦火がナポレオン君の住む町にまで及んだのは、内戦が始まった翌年、ナポレオン君が11歳の時でした。小学校へ行くために町に住む叔父を頼っていた彼は、そこで政府軍の砲撃に遭い、勉強をあきらめざるを得なくなりました。

しかし戦火を逃れ各地を転々とする中で、ある日人づてにエチオピアの難民キャンプへ行けば学校へ行けるといううわさを耳にしました。それは、子どもの足では2ヵ月もかかる長くそしてとても危険な旅です。でも「学校へ行きたい。勉強を続けたい」その一心で、猛反対する両親に黙って彼はキャンプを目指しました。

ところが、つらい旅の末にたどり着いたキャンプでナポレオン君を待っていたのは、学校ではなく軍事訓練でした。スーダン南部の多くの子どもたちがそのキャンプに集められ、兵士としての訓練を受けた後に戦場へ送り込まれていました。もちろんナポレオン君も例外ではありません。訓練と厳しい労働、そして危険な戦闘が繰り返される毎日。勉強をしたい、その思いだけがナポレオン君を支えていました。

250人の子ども兵士を率いる少年指導官にまでなった彼には、そのまま軍人になる道もありました。しかし、ナポレオン君は、スーダンの人々を本当に救うことができるのは武力ではないことを知っていました。人々の役に立つための勉強をすること、平和への道を作ることこそ必要なのだと信じ、1992年彼は隣国ケニアに逃れたのです。

今も続くこの内戦により、スーダンでは15年間で190万人もの人々が亡くなったと言われています。ナポレオン君は今26歳。ケニアの首都ナイロビにあるユニセフの事務所で、スーダンからの難民のために働いています。祖国を逃れ平和を手にしたスーダン人の多くがスーダンに帰ることを拒む中、ナポレオン君は言います。

「今の僕にはもう戦争で命を失う心配はない。ケニアにいれば安全です。でも、まだたくさんの友達が軍人として祖国で戦っています。だから僕は決してスーダンを捨てたりしない。いつかきっとスーダンに帰って、平和なスーダンをつくるために働きます。そのために僕は勉強をしたし、これからも続けて行くんです」

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