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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2001年7月2日信濃毎日新聞夕刊掲載>

内戦地帯から子どもの兵士を解放
<スーダン>

 ユニセフは2001年2月下旬、WFP(世界食糧計画)の人道救援用飛行機二機を使い、スーダン南部の内戦地帯から約2500人の子どもの兵士を安全な地域へ移送しました。前線にいた子どもたちは湖水地域のレセプション・センターに集められ、国内外のNGOによる健康チェックの後、基本的なケアを受けました。

 今回の空輸作戦は、ポリオの予防接種活動を視察するため昨年10月にスーダン南部を訪れたユニセフのベラミー事務局長が、反政府勢力であるスーダン人民解放戦線(SPLA)の司令官と、SPLAの軍事拠点にいた8歳から18歳までの子どもの兵士をユニセフに引き渡す約束をしたことによって実現しました。

 子どもたちは4−9ヵ月、国内外のNGOが運営する各地のトランジェット・センターで生活し、その間に家族の捜索を行います。センター滞在中、子どもたちは教育や心理カウンセリング、職業訓練を受けます。センターの飲み水確保はユニセフが行い、食糧援助はWFPが担当しています。

 ユニセフによると、今回移送された子どもたちは大きく二つに分けられます。軍事訓練は受けたものの実戦経験はない子どもと、実戦などの過酷な経験をくぐりぬけた子どもです。前者は、3−4ヵ月で再び家族や地域社会に溶け込むことが可能ですが、後者は9ヵ月ほどかかるそうです。家族が見つからなかった子どもは、生まれ育った地域の近くで、ユニセフが支援している地元自治体やNGOから、長期的なケアを受けます。

 スーダン南部でのユニセフの活動を統括するシャラッド・サプラ博士は、こう話しています。「これまでは子どもたちを安全な場所に移すことが最優先でしたが、今後は彼らに教育を受けさせ社会復帰の時間を与えることが課題になります。ここには、さまざまな武装グループに合計約9000人の子どもの兵士がいると推定されています。まだ先は長いのです」

 しかし、軍隊は子どもがいるべきところではありません。ユニセフは、世界に約30万人といわれる子どもの兵士がいなくなることを目指し、これからも軍事指導者に働きかけていきます。

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