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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

タジギスタン:小学校入学に向けて「子どもから子どもへ」アプローチを試行

【2009年1月29日 タジキスタン発】

© UNICEF / Tajikistan / 2009
タジギスタンのルダキ地区にある第40小学校で、幼い子どもが、動物の名前をヤング・ファシリテーターから教わっている。

「小学校入学に向けて:子どもから子どもへアプローチ」と呼ばれる新しい取り組みが、幼児教育が一般的ではないタジギスタンで、就学前児童のために実施されています。

ユニセフが支援しているこの試験的なプロジェクトは、子どもたちが遊びに夢中になることを利用するのと同時に、年上と年下の子どもたちの間に存在する社会的な関係を利用して、幼い子どもたちが就学前に小学校1年生になる準備ができるよう考えられたプロジェクトです。

このプロジェクトでは、5歳〜6歳の子どもたちが、週に一度、言語、聞き取り、社会的な協調、計算、アルファベットの読み書きなどの基本的な知識を、小学4年生の子どもたちから教わります。

「子どもたちの親にとって幼稚園への入学費用は、多くの場合、高すぎるのです。」地元早期教育専門家のメリニッソ・ヴァリクホジャエバさんは話します。「旧ソ連スタイルの伝統的で立派な幼稚園をすべての村に建設する余裕は、タジキスタン政府にはありません。」

ヴァリクホジャエバさんは、「子どもから子どもへ」アプローチは、農村地域のニーズに見合った形で、小学校教育への準備を強化する、幼稚園に変わる新しい方式だと言います。

具体的な進展

参加している教師たちは、このプロジェクトの成果に興奮気味です。

「最初は、子どもたちが他の子どもたちに教えるだけのものと思っていたので、ほんとうにうまく行くのかどうか分かりませんでした。でも、最初の数週間が過ぎただけで、どれだけの成果があがっているかが分かりました。」第33番小学校で、「子どもから子どもへ」アプローチの教室を監督している先生が話します。

「通常なら、子どもたちは学校に上がっても、最初は鉛筆さえ持つことができません。でも、このプロジェクトを受けている子どもたちは、既に数の数え方やいくつかの文字や数の読み方も知っているんです。このプログラムを卒業した子どもたちが私の学級に入ってくれることを願っています。」

その他の先生たちは、このプロジェクトが、ヤング・ファシリテーターと呼ばれる4年生の子どもたちのリーダーシップ能力を養う手助けにもなっていると言います。また、既に学習した知識を応用して、その知識をまとめたり、強化したりするのに役立っています。

効果は明らか

この取り組みの初期の成功は、農村部、ルミ地域での学校視察で明らかになりました。

教室では、幼い子どもたちが夢中になって小石や松ぼっくりを数え、それに合う数字カードを先生たちに報告しています。この先生は、ヤング・ファシリテーターである4年生の子どもたち。熱心に幼い子どもたちの興味を引き出し、参加を促し、優しく間違いを正していました。

20-30人の子どもたちから成るクラスは、「子どもから子どもへ」アプローチの訓練コースに参加している4年生担当の先生たちによって監督されています。この先生たちは、2009年秋、学校に入学する小さな1年生の担任になる予定です。

好機の提供
© UNICEF / Tajikistan / 2009
タジギスタンのルダキ地区にある第40小学校で休み時間に輪になって遊ぶこどもたち。

タジギスタンの就学前教育の機会は非常に限られており、幼稚園に通っている子どもは、全国でもわずか9パーセントです。子どもたちは、7歳になると小学校1年生になりますが、多くの子どもたちが、小学校の授業に上手に参加する能力や物事を覚えていくのに必要な認知能力や社会的スキルがないままに小学校に上がってきます。

2008年秋から、ユニセフは、1,000人以上の子どもたちの早期教育の準備を後押しするため、「小学校入学に向けて:子どもから子どもへアプローチ」を20校で支援しています。

このプログラムのインパクト(影響)は、幼い学習者のニーズを改めて実感した学校経営陣たちにまで広まっています。

「子どもから子どもアプローチが評価されてから、幼い子どもたちには、年上の子どもたちとは異なる学習ニーズがあることが分かりました。」第50番学校の校長、ショミルゾエブ・ウメド校長先生は話します。「年上の子どもたちには適切な、従来の教師対生徒といった関係は、幼い子どもたちにはあてはまらないのかもしれませんね。」

初期成果

この計画は、教育省による監督、ユニセフの支援、地元の早期教育専門家の協力のもと実施されています。

最初のベースライン評価によると、国や地域の役人、教師、学校関係者、生徒、親が、早期の学習機会が必要だと認識しているところから、国レベルのプログラムにもつながる可能性が高いことが分かりました。

ユニセフはすべての材料を提供、これらはタジク語に翻訳され、地元の文化に合った形で提供されました。

この「子どもから子どもへ」アプローチは、タジギスタンで大きな可能性があることを示してくれました。ユニセフは、ミレニアム開発目標を世界中で前進させるためにも、この「子どもから子どもへ」アプローチのようなプログラムをさらに支援していくことを目指しています。

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