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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

イエメン:生まれて初めて「学校」に通う避難民の子どもたち

【2009年12月7日 ニューヨーク発】

© UNICEF/NYHQ2009-1732/Brekke
イエメン・ハッジャのハラド地区にあるアル・マズラク避難キャンプの入り口で、支援物資の配給を待つ人々。イエメンでは、サアダで武力衝突が始まった2004年以降、約17万5,000人もの人々が、こうした避難生活を余儀なくされています。

イエメンの子どもの半数以上は、慢性的な栄養不良のために、発育上の問題を抱えています。ユニセフは、イエメン北部で継続する武力紛争によって避難を強いられた多くの子どもたちが直面している、深刻な栄養不良の問題に対処するために活動しています。

「避難を強いられたイエメンの子どもたちは、命を脅かす健康上の課題のほかにも、教育の機会も制約を受けています。」イエメンの避難民キャンプの視察から戻ったばかりのユニセフ中東・北アフリカ地域事務所のシグリッド・カーグ代表は、こう指摘しました。

慢性的な栄養不良

多くの子どもたちが慢性的な栄養不良の危機に見舞われている中、カーグ代表は、治療や支援を拡大するために、栄養の専門家を増員する必要があることを付け加えました。また、栄養や保健分野での支援と並行して、教育の支援も続けなければならないと指摘しました。

ユニセフは、現地で活動するNGOと共に、避難キャンプの中に「学校」として使えるスペースの確保を急いでいます。カーグ代表によれば、避難キャンプの「教室」は、既に子どもたちで溢れかえっています。

避難キャンプでの女の子の教育
© UNICEF/NYHQ2009-1732/Brekke
ユニセフが、アル・マズラク避難キャンプ内20箇所に設置した給水タンクから水を汲む人々。この地域では、続く武力衝突の影響で、約500世帯が避難を強いられました。

現地では、女の子には、女性教員が担任にならなければならないという習慣が根強く、避難キャンプで女の子に教育の機会を提供するにあたって、もう一つの課題になっています。
「農村地域で働いてくれる女の先生を見つけるのはとても難しいことなのです。」(カーグ代表)

それでも、今避難キャンプに設置されている仮設教室は、一部の避難民の子どもたちにとっては、生まれて初めての学校なのです。

「私が出会った子どもたちの多くにとって、勉強することや、教室にいること、アルファベットを学習することは、生まれて初めての経験でした。ですから、この仮設教室の開設は、非常に重要な機会を子どもたちに提供しているのです。」(カーグ代表)

武力紛争の影響を受けた子どもたちへの支援

ユニセフは、こうした形で正規の学校教育の機会を提供しているほか、避難キャンプ内外で「課外活動」を拡大していきたいと考えています。

しかしながら、多くの人々がイエメン北部で続いている紛争地域で身動きが取れないままとなっています。避難を余儀なくされている人々を受け入れている地域では、慢性的な貧困と基礎的なインフラ設備の不足から、こうした何万人もの弱い立場の人々が、飢えと病気のまま取り残されており、事態を一層深刻化させているのです。

ユニセフは、避難を強いられた人々に、水の浄化フィルター、飲料水用ポリタンク、衛生キットを提供しているほか、栄養不良の子どものための給食センターや「子どもに優しい空間」、仮設教室を設置しています。イエメンでは、現在の政情不安が始まった2004年以降、住みなれた町や村を追われた人の数は、約17万5,000にのぼっています。

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