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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

イエメン 15年ぶりの調査
極めて不利な立場にある女の子
若年婚や世界ワーストの低体重児の割合

【2014年6月17日 サヌア(イエメン)発】

水を汲む女の子たち
© Yemen/2012/Abdulrahman Al-Adimi
水を汲む女の子たち

ユニセフとイエメン政府は本日、15年ぶりに実施した調査で、就学や自身の能力を引き出すことにおいて、男の子に比べ、女の子が不利な状況にあること、さらに、若すぎる結婚を強いられ、妊産婦死亡率が高くなる危険にあることを発表しました。

ユニセフ・イエメン事務所代表のジュリエン・ハーネイスは「イエメンでは、法律や政策において進展はありました。しかし、子ども、特に女の子の権利を満たすためには、依然としてこれらの進展は具体的な変化を生み出せていません。有害にもかかわらず伝統的に続いている習慣や、女性の権利に有害な社会規範や価値観といった問題に対応するため、国中でコミュニティでの対話を重ね、力をつけていく必要があります」と述べました。

女の子は様々な点で不利な立場に

イエメンの女の子
© UNICEF/NYHQ2010-2951/Lopez
イエメンの女の子

15年ぶりとなる調査は、女の子は様々な点で不利な立場に置かれていることを強調しています。多くの少女は、若年での結婚を強いられています。学校に通える女の子は男の子より圧倒的に少ない一方で、学校を中退するのは男の子よりも女の子のほうが多いのです。教師や保健スタッフ、裁判所の職員、警察官になる女性はほとんどいません。死亡する妊産婦の3人にひとりは、思春期の少女です。多くの保健施設では、女性の医療スタッフがおらず、女性、特に思春期の少女の利用を低下させています。 調査では、以下の点も明らかになりました。

  • イエメンは、アラブ諸国の中で最も水事情が厳しい国の一つ。水源は減少しており、適切なトイレが利用できる世帯はわずか53%。少なくとも20%の世帯が屋外排泄を余儀なくされており、学校の47%には給水設備やトイレ、手洗い場などの衛生設備がない。
  • 栄養不良率が極めて高い。5歳未満の子どもの約43%が低体重、19%が重度の低体重。世界ワースト1位の割合(2009-2011年調査)。
  • 食糧難に苦しむ世帯の割合は、32%から45%へ上昇し、最も厳しい食糧難にある世帯は、12%から22%へとほぼ倍増(農村部では27%)。国の貧困レベルは、54%に上る。

基本的な権利を満たすため、取り組みの強化を

イエメン計画・国際協力省のモハメド・アルサディ大臣は「この調査で、イエメンの子どもたちが悲惨な状況にあることが改めて明らかになりました。子どもの福祉のために、あらゆる立場の人が、取り組みを計画し実行しなければなりません」と述べました。
今年は子どもの権利条約25周年にあたります。イエメンのように、基本的な人間開発指標を満たせず、ミレニアム開発目標をひとつも達成できない国々は、すべての子どもの基本的な権利を満たすために、政策またコミュニティレベルにおいて、何倍もの取り組みが求められます。

■参考情報:出典ユニセフ『世界子供白書2014−統計版』

人口:2,385万2,000人(18歳未満1,148万5,000人、5歳未満339万7,000人)
5歳未満児死亡率:出生1,000人あたり60人(世界で43番目の高さ)
栄養:重度中度の低体重 43%、発育阻害58%、消耗症15%
改善された水源を利用できる割合:全国55%、都市部72%、農村部47%
改善されたトイレを利用できる割合:全国53%、都市部93%、農村部34%

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