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財団法人日本ユニセフ協会




アフガニスタン緊急・復興支援 第8報
女の子たちの「希望の窓」

【2009年8月11日 アフガニスタン発】

アフガニスタンは、人口の半数以上が18歳未満の子どもたちです。しかし、子どもや若者の識字率は低く、特に女の子や若い女性の状況は深刻です。

多くの女の子たちは、時に14歳の若さで結婚させられています。そして、その多くが早産、性的虐待、家庭内暴力に直面しているのです。また、職業訓練や雇用の機会が少なく、多くの若者は現状に失望し、やむなく危険な仕事に就いたり、薬物に手を出す人もいます。

アフガニスタンの若者たちは、非常に複雑な環境の中で生きています。日々相反する価値観に直面しているのです。暴力や死は、アフガニスタンの社会から切り離せない一部分となっています。

しかし、より良い未来への希望が、完全に失われたわけではありません。

若者に未来を切り拓く機会を提供する場所
© UNICEF/2009/ Tuladhar
ユニセフが支援しているジャララバードの青少年情報交流センターで、コンピューターの授業を受ける女の子たち。

若者が、人生の様々な場面で正しい知識や情報に基づいた決断をし、また、彼らが、コミュニティの中でも積極的に発言できるように、ユニセフは、アフガニスタンの文化青少年省とともに、2007年、アフガニスタンの6つの州に青少年情報交流センター(YICC)を設立しました。このセンターでは、12歳から25歳までの働く若者たちに、様々な問題を解決するための技術や知識を身につけられるよう、様々なサポートを提供しています。

「私は、詩を書くことが大好きです。長い間、暴力や不正に苦しんでいました。紙とペンを手にするまでは、そのことを表現することができませんでしたが、YICCで英語を習い、コンピューターの使い方も教わりました。センターで教わったことを生かして、いつの日か、誰もが知る詩人になりたいと思います。」ニラブ・ランハルさん(16歳)は話しました。

信頼を築くこと

このセンターの活動は、アフガニスタンの武力紛争の影響を受けた子どもたちを守るために、ユニセフとアフガニスタン政府によって設置された子どもの保護行動ネットワーク(CPAN)の取り組みのひとつである、地元のNGO「社会ボランティア基金」の活動にヒントを得て始められました。

センターが開設された2007年当時、女の子たちは、親から討論会に参加することを禁じられていました。そこでユニセフは、センターと親との信頼関係を強化するため、女の子たちを家からセンターまで送迎する女性スタッフを雇いました。これによって、この国で女性が一人で外出する際にしばしば直面する問題を解決したのです。

壁を越えられるように
© UNICEF/2009/ Walther
青少年情報交流センターに通うニラブさん(16歳)は、平和について書いた詩を披露してくれました。

現在、数百人の女の子たちが研修や討論会に参加しています。しかし、全ての問題が解決されたわけではありません。

「私の家族は全員読み書きができるのに、私の親は、私を読み書きができない人と婚約させました。」と、ニラブさん。「センターに行きたいときには、いつも彼に子どもみたいに懇願しなければなりません。結婚に興味はありません。でも、自分で書いた詩をまとめて出版したいと思っています。そのために、私は多くの人と関わる必要があります。でも、家族は私を家から出してくれないのです。今日は、伯父が私に付き添っているので、センターに来ることができました。」

毎週火曜日、ニラブさんはジャララバードにあるこのセンターで、他の女の子たちと一緒に彼女たちが抱えている問題を話し合います。

「女の子たちは目覚め始めています。いま私たちが毎週行っている結婚や人間関係についての話し合いや、専門家の意見を聞いたりすることは、2年前には考えられないことでした。」YICCのダオウド・ノオル・アゴハ・ゾアグセンター長は話しました。

「全ての問題に対応できているとは言えませんが、状況は少しずつ改善されています。ユニセフやアフガニスタン政府などと一緒にやってきたからこそ成し得たことです。みんな一丸となって、さらなる前進を目指しています。」(ゾアグセンター長)